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食のちから 体を養い心を磨く 第10回:筍

食のちから 体を養い心を磨く

指導・監修

並川悦子先生

家庭料理研究家。「おふくろの味会」代表。地元・京都府長岡京市の特産品のメニュー開発などを積極的に行い、料理講習の講師としても活躍。特に筍料理には造詣が深く、『[遊び尽くし]産地発 たけのこ料理』(創森社)などの著書がある。

まっすぐ伸びる生命力を丸ごといただく

筍は、日本の春の味覚を代表する食材です。
書いて字のごとく、旬日(10日間)で
竹になることから、
古より強い生命力が宿る食べ物とされています。
特に早春の掘りたての独特の香りと食感は、
この季節ならではの味わい。
その風味と生命力を
そのまま体に取り入れる知恵を、
日本有数の産地・長岡京市で筍料理を指導する
並川悦子先生に教えていただきました。

天に向かい成長する筍は大地のちからと恵みの象徴

 冬の間、滋養をたっぷりためて、いよいよこれから育つエネルギーを充満させた春の植物の「新芽」たち。「筍」もその一つ。竹の地下茎から出る若芽です。その成長は非常に早く、まっすぐに伸びる姿は、昔から生命力の象徴でした。『竹取物語』ではかぐや姫が3カ月で成人になるように、竹には神秘的な特別のちからがあると考えられていたようです。
 春の訪れを実感するには欠かせない筍。特にとれたての若い筍を食べるのは、その生命の息吹を全身に取り入れて一年の活力にしたいという願いが込められています。
 筍の苦みに含まれる成分や、独特の風味を形成している特有のアミノ酸が、筍の驚異の成長力を支えているのです。

皮ごと火を入れ、風味を丸ごと閉じ込める「焼き筍」

 筍の栄養も風味も存分に味わえるのが、地上に出る直前に「ホリ」という独特の道具で掘り取った筍です。すぐにゆでてお刺身にすると絶品ですが、土中で蓄えてきた香気と精気を丸ごと味わい尽くすなら、生の筍を皮付きのままホイル焼きにするのが一番です。
 皮の香りとシャリッとした歯ごたえは、旬ならではの醍醐味。サツマイモくらいの小ぶりの筍を使うと、中まで火が通り美味しさを閉じ込めます。下にオーブンを使った作り方をご紹介しましたが、屋外で焚き火をして焼くのも一興。
 筍が出回り始めるこの季節、その楽しみ方は多彩ですが、新鮮な筍が手に入ったら、ぜひ作ってみてください。


今月のレシピ

筍のホイル焼き(4人分)

材料(4人分)

掘りたての筍(10cmくらいの小ぶりのもの1本)、ゴマだれ(練りゴマ大さじ2、しょうゆ大さじ1、レモン汁小さじ2、砂糖小さじ1、だし汁大さじ1)、梅肉だれ(梅肉大さじ2、みりん大さじ1、薄口しょうゆ大さじ1、砂糖大さじ1)

作り方

  • 1.筍は外側の皮を2~3枚むいて先端を切り落とし、深めに切り込みを入れアルミホイルで包む。
  • 2.竹ぐしで数カ所つつき空気穴をあけ、200℃に熱したオーブンで約30分焼く。
  • 3.食べやすい大きさにカットし、2種類のたれを添える。

春を告げる“筍”の上手な選び方&活用術:一般に出回るのはほとんどが孟宗竹(もうそうちく)という品種で、2月下旬から収穫され始めます。新しいほど風味が良く、先端から根元に向かうほど硬くなりますが、逆に旨みは増してきますので、上手に活用しましょう。

ずんぐり型がおすすめ

太く短く、ずんぐりとして、持った時にずしりと重いものが良品。皮にツヤがあり、切り口が白くみずみずしいのが新鮮な証しです。

部位別のおすすめの食べ方

幅広い料理に利用できる点も筍の魅力。それぞれの味わいややわらかさに合わせて使い分けましょう。


えぐみの出ないうちに素早くゆでる

米のとぎ汁や米ぬかを加えた湯で約1時間ゆでれば、えぐみが除去できます。水を張ったボウルに入れて冷蔵庫で保存すれば4~5日は風味を保てます。ただし水は毎日取り替えましょう。


穂先:椀だね、酢の物、和え物、サラダなどに
穂先近くのやわらかい部分:木の芽和え、サラダ、焼き物などに
中間部:若竹煮、炊き合わせ、炒め物、天ぷらなどに
根本:きんぴら、筍ごはん、おろし揚げ、ポタージュなどに

旬ならではの絶品デザート「シロップ煮」

コンポートのような味わいが楽しめる旬ならではの逸品。赤ワインを使うと深みのあるコクが出ますし、白ワインを使えばさわやかな風味です。ケーキやヨーグルトに加えても美味。

作り方

  • 1.鍋にワイン(1カップ)、水と砂糖(各2カップ)を入れて弱火にかける。
  • 2.筍(生500g)は2~3mm幅の半月切りかイチョウ切りにする。
  • 3.12を入れ、落としぶたをして、時々木べらで混ぜながら弱火でゆっくり加熱する。
  • 4.シロップがとろりと煮詰まったら火を止め冷ます。

※冷凍庫で約1年保存できます。