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第107回 植物由来の乳酸菌のめぐみ 京の漬物

監修 大原 千鶴(おおはら ちづる)先生 [料理研究家]

京都・花背の料理旅館「美山荘」の次女として生まれ、幼少のころから料理に触れて育つ。料理研究家として雑誌やテレビ、料理教室、講演会などで活躍。NHK Eテレ「きょうの料理」にレギュラー出演、NHK BSプレミアム「あてなよる」「京都人の密かな愉しみ」などの番組出演や料理監修も手がける。『大原千鶴の和食』(高橋書店)ほか著書多数。

古くから日本の食卓に欠かせない漬物。京都では伝統の京野菜に独自の技巧を凝らし、漬物の名産地としての歴史を育んできました。中でも昔ながらの乳酸発酵で作られるしば漬けは、独特の香りと酸味が魅力。近年はその健康作用にも注目が集まっています。

伝統の乳酸発酵が引き出す野菜の旨み

特有の気候風土と洗練された文化に育まれてきた京の漬物。四季折々の漬物がそろうのは、良質な野菜の産地であることに加え、海から遠い盆地にあり保存技術が発達したことや、寺社が多く精進料理や茶懐石が発展した歴史的背景があったからでしょう。

塩漬けと発酵によって生野菜とは違う旨みを引き出す漬物作りには、先人たちが培ってきた知恵と工夫が詰まっています。

深い紅色に秘められた植物由来の乳酸菌のちから

数ある京の漬物の中で、この季節に味わいたいものの代表が「しば漬け」でしょう。初夏に収穫した赤じそとナスなどの野菜を塩のみで漬け込み、乳酸発酵させた、大原地方に古くから伝えられる郷土食です。

赤じその鮮やかな色あいと爽やかな酸味が特長で、その味わいを決めるのが乳酸菌。長年のあいだ蔵や樽(たる)にすみついた乳酸菌が、野菜に付着して発酵を進めながら、野趣あふれる特有の風味を醸し出します。

熟成を重ねる過程の味わいの変化も楽しみ

八月中旬ごろに新漬けが樽出しされますが、初秋からは熟成が進み本格的な味わいに。さらに季節とともに熟成を重ねると風味も深さを増すので、時季による味の違いを楽しむのも一興でしょう。

夏疲れで食欲が落ちるこの時季にうれしい赤じその香りと酸味。活力が蘇(よみがえ)る植物由来の乳酸菌のちからを食卓に取り入れてみませんか?

料理に使っても美味! しば漬けアレンジレシピ

上品な酸味でさっぱりと 豚肉のしば漬け煮

豚肉のしば漬け煮
材料(2人分)
しば漬け
・・・・・・80g
豚薄切りロース肉
(しゃぶしゃぶ用)

・・・・・150g
だし
・・・・・・50ml
薄口しょうゆ
・・・大さじ1/2
作り方
(1)
鍋にしば漬けと、Aを入れて火にかける。
(2)
(1)が沸騰したら豚肉を広げながら入れて味をなじませるように混ぜ、豚肉に火が通ったら出来上がり。

※煮汁が足りないようであれば、適宜だし(分量外)を足してください。

赤じその風味が食欲をそそる とろろしば漬け

とろろしば漬け
材料(2人分)
しば漬け
・・・・・・60g
おろした長芋
・・・1/2カップ
ポン酢しょうゆ
・・・小さじ2
作り方
(1)
しば漬けは粗く刻む。
(2)
合わせておいたAを器に盛り(1)をのせる。食べる時によく混ぜる。

こんな食べ方もおすすめ!

  • お茶漬け

    乳酸發酵ならではの酸味と
    歯ごたえは、お茶漬けにも。

  • ポテトサラダ

    ハムの代わりに
    ポテトサラダに加えても。

  • チャーハン

    ちりめんじゃこと一緒に
    チャーハンの具に使っても。