煮物やお吸い物などの具としておなじみのお麩。
軽くてふわふわしていて、それほど栄養がないように見えるかもしれませんが、実は精進料理をルーツにもつ、肉や魚にも負けない高タンパクの健康食材。
その魅力を上手にとり入れるための食べ方のコツをご紹介します。

お麩のルーツは中国で、仏教上の交流の際に日本に伝えられ、室町時代には僧侶の精進料理として使われていたと推測されます。
生麩と焼き麩がありますが、保存がきく焼き麩は大変重宝され、全国各地に様々な焼き麩製品が見られるのは、修行僧らが作り方を広めたからだといわれています。
ひと口サイズの小町麩や渦模様の観世麩、棒に巻いて焼いた車麩がおなじみですが、板状の庄内麩、油で揚げた仙台麩、関西の四角い丁字麩なども有名です。
また、千利休が焼き麩を茶会の菓子として使ったという興味深いエピソードも残されています。

お麩の原料は小麦粉に含まれるグルテンという植物性のタンパク質。小麦粉やもち粉を混ぜ合わせて成形して焼き、乾燥させたのが焼き麩です。体に大切な必須アミノ酸のほか、鉄や亜鉛、カリウム、マグネシウムなどのミネラルも含まれています。
また、高タンパクで低エネルギーなのもうれしい点。やわらかくて消化吸収が良く、満腹感が得られるので、子どもからお年寄りまで、幅広い年代の方々におすすめ。ヘルシーフードとして見直したい伝統食材です。

焼き麩は戻して使うのが基本ですが、使う前に水気をぎゅっとしぼるのがコツ。煮汁などをよく含んでくれます。また、味や香りにくせがないので、そのまま食べたり、焼いたり、砕いてひき肉料理のかさ増しに使ったりなど、いろいろな料理にアレンジできます。
体にやさしい伝統食材を食卓にとり入れてみませんか?