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食のちから 体を養い心を磨く 第11回:しらす

食のちから 体を養い心を磨く

取材協力/静岡県東京事務所
静岡県おさかな普及協議会
静岡県しらす振興協議会

小さくても親のイワシに負けない栄養価

しらすは、マイワシやカタクチイワシなどの
稚魚のことです。
生後1~2カ月の小さな体には、
親のイワシに負けないほどの
健康パワーが秘められています。
そのしらすを釜揚げにしたり、干したりするのは、
保存性を高め、旨みを凝縮するための知恵。
味付けは塩と太陽の光だけ。
自然のめぐみをそのままいただく健康食材です。

小さいとはいえ一匹全体を食べるすごさ!

 きれいな海の中で良質のプランクトンを食べて育ったしらすは、その小さな体に、良質なタンパク質やカルシウム、リン、鉄など、豊富な栄養と海のエキスがたっぷりつまっています。
 また、骨や内臓まで丸ごと食べられる「全体食」なので、自然の命を無駄なくいただける、まさに生命力あふれる食材です。
 春のしらす漁は、桜の開花とともに始まります。古くから有数の漁場である駿河湾では、3~6月が最盛期。旬の生しらすの美味しさも格別ですが、すぐに傷んでしまうのが難点です。
 そこで地元では昔から、保存がきくように水揚げしたしらすをすぐにゆでて「釜揚げ」し、天日干しにしてきました。半生の状態で軟らかめに干したのが「しらす干し」、さらに乾燥させて硬めに仕上げたのが「ちりめんじゃこ」です。

ゆでて、さらに干すことで、旨みも栄養価もアップ!

 そして保存のための知恵が生んだもう一つの利点が、旨みと栄養価の向上です。しらすの旨みはイノシン酸という成分で、鮮度が落ちると失われてしまいますが、新鮮なうちにゆでることでイノシン酸を分解する酵素が働かなくなり、その旨みを閉じこめます。口当たりもふんわりとして食感が増し、さらに乾燥により旨みが凝縮されて、私たちの食卓にやってきます。
 また天日に干すと、しらすの体内でカルシウムの吸収を助けるビタミンDが増えます。実際に、親のマイワシと比べると、しらす干しはカルシウムが約3倍、ビタミンDは約4.5倍です。ちりめんじゃこでは、カルシウムは約7.5倍でビタミンDは約6倍※。そのままでいただくのはもちろん、様々な料理に応用できるのも魅力。春の食卓に、ぜひしらすを取り入れてみませんか。

※参考:五訂増補食品成分表2009


わき立つ潮の香りが味わえる、ご当地おすすめの食べ方 駿河湾で獲れたしらすは、漁船と市場を往復する運搬船で運ばれ、直ちに競(せ)りにかけられます。入札後は近くの加工場で素早く処理してできあがり。加工品といっても、その工程は「ゆでる」と「天日に干す」だけ。何よりも鮮度が味の決め手です。

  • 釜揚げしらす:上品な甘みとソフトな食感が身上

    生しらすをうす塩でゆであげたもの。ふっくらと軟らかく、赤ちゃんの離乳食にも用いられています。

    だし巻き卵に加えれば、風味も栄養も一段とアップ。・しらすおろし
・しらす丼
・しらすの炊き込みご飯
・しらすのかき揚げ
・しらす入り卵焼き(上)などに。
  • しらす干し:干した旨みが絶妙のだしになる

    釜でゆでたしらすを、少しだけ天日で干したもの。適度な軟らかさと旨みのバランスは、料理素材としても重宝します。

    昆布だしに加えてしょうゆを落とせば、簡単で美味しいお吸い物に。・しらすおろし
・しらすの混ぜご飯
・しらすのチャーハン
・しらすと青じそのスパゲッティ
・しらすのお吸い物(上)などに。
  • ちりめんじゃこ:歯ごたえと旨みで料理の主役に

    しらす干しを、さらに干して乾燥させたもの。歯ごたえがあり、かむほどにわき立つ海のエキスが味わえます。

    空炒りしたちりめんじゃこを、お好みのサラダにのせるだけ。・ちりめん山椒
・ちりめんじゃこ入りおにぎり
・ちりめんじゃことピーマンの炒め煮
・カリカリサラダ(上)などに。

たたみいわし:生しらすを簾(すだれ)に広げ、そのまま干しあげたもう一つの名物

獲れたてのしらすを木枠の型に流し入れ、薄いシート状にしてそのまま乾かしたもの。一匹一匹の魚体がはっきりしているものほど鮮度が良い証し。軽くあぶって、香ばしい風味を楽しみます。ビールや酒のおつまみに、またお椀に入れてお湯をさし、お吸い物にしても美味です。