ニラはスタミナ料理に使われることが多いため、夏が旬のイメージがあるかもしれませんが、葉が柔らかくて美味しいのは春の時季。特有の香り成分は疲労回復や滋養強壮に役立ちます。体調維持が大切な季節の変わり目、ニラの多彩なちからを美味しくとり入れましょう。

ニラには緑色の葉ニラ、光を制限して育てる黄ニラ、蕾のついた花茎を食用にする花ニラがあります。中でもよく使われる葉ニラは、スタミナ野菜の代表にふさわしい生命力を秘めています。暑さや寒さに強く、葉を根元近くから刈り取っても、後から次の新しい芽がたくましく伸びてきて、一つの株から数回収穫できます。

ニラの香り成分の硫化アリルには、ビタミンB1の吸収を良くする作用があり、新陳代謝を高めて、疲労回復を促します。また、内臓の働きを活発にして食欲を促す作用もあります。
緑黄色野菜としての栄養素も豊富です。体内でビタミンAに変わり、皮膚や粘膜を丈夫にするβ(ベータ)-カロテンの含有量は野菜の中でもトップクラス。同じく抗酸化作用があるビタミンC・Eも含まれており、相互作用で、活性酸素を抑え、美容や健康をサポートする働きが期待できます。
ほかにも、骨に大切なカルシウムやビタミンK、カリウム、葉酸や、食物繊維も含まれています。さらに漢方食材として、血液のめぐりを良くし、体を温める作用も知られています。

選ぶ際は緑が濃く、みずみずしいものを。春は葉が柔らかいので、ハーブのように生のままサラダや生春巻きに加えるのもおすすめ。旨みが凝縮している白い根の部分も、捨てずに使いましょう。
調理では、ビタミンB1を含む豚肉や卵とは栄養的にも味の面でも好相性。旬のニラを春の食卓にとり入れてみませんか。