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食のちから 体を養い心を磨く 第18回:シナモン

食のちから 体を養い心を磨く

村岡奈弥(むらおかなや)先生[料理研究家]

フランスへの料理留学を経て、三ツ星レストラン「ミッシェル・ブラス」で修業。その後、「中医薬膳師」「国際中医師」の資格を取得。料理教室を主宰するほか、テレビ、新聞、講演会など多方面で活躍中。旧姓加藤奈弥での著書『からだの中からキレイをつくるパワーレシピ』(講談社)、『カンタンでおいしい手作りおやつ』(成美堂出版)など多数。

中から体を温める実力派スパイス

世界中の料理やお菓子に
幅広く使われるシナモン。
独特の甘い芳香は、特にりんごとは相性が良く、
焼きりんごやアップルパイには欠かせません。
また、血行を良くする働きがある点も
大きな特長で、温かい飲み物に加えると、
体の芯までぽかぽかに。
心まで温かくしてくれる、
冬にうれしいスパイスです。

旧約聖書にも登場する世界最古のスパイス

 シナモンはクスノキ科の常緑樹で、香辛料として用いるのは乾燥させた樹皮。旧約聖書やエジプトの古文書にも記載され、最古の香辛料の一つといわれています。中国やインド、地中海沿岸でも古くから愛好され、日本では「桂皮(けいひ)」や「ニッキ」の名でおなじみです。
 甘い芳香とスパイシーな風味、わずかに舌に残る辛みがあり、バターやクリームにも合うので、料理のソースやカレーのほか、焼き菓子や揚げ菓子、フルーツの甘煮などに幅広く使われています。
 また、シナモンには甘みを際立たせる働きがあるので、お菓子作りでは砂糖を控えめに使い、シナモンを少し加えて甘さを引き出す手法が、上品な甘さに仕上げるテクニックの一つです。

甘い刺激的な香りの中に冬の体に役立つ働きが

 そして、シナモンのもう一つの魅力が、体を温めてくれる働きです。独特の香り成分には、血行の促進、抗菌などの作用があるといわれ、古くから民間薬としても用いられてきました。現在も欧米では、寒くなってくるとシナモン入りのホットワインや紅茶を愛飲する地域も少なくありません。
 シナモンは、漢方で肉桂(にっけい)と言われ体を温めて、風邪や冷えなどに適応する代表的な生薬として知られます。
 料理やお菓子の美味しさをいっそう深め、風邪予防にも一役買ってくれるシナモン。世界のいたるところで愛されてきた理由がよく分かります。

寒いシーズンを美味しく乗り切る食卓の知恵

 手軽に使える粉末タイプに加え、最近は原形のスティックタイプも入手しやすくなりましたので、食卓に上手に取り入れて、この冬を元気に暮らしたいものです。
 ちょうど、りんごがたくさん出回るこの季節、シナモンをたっぷり利かせた本格的な焼きりんごを作ってみませんか。甘く懐かしい香りが部屋に漂い、できあがるまでの間もきっと温かで幸せな時間が過ごせることでしょう。

りんごやワインなど果実の酸味と好相性

昔からおなじみの「焼きりんご」。シナモンとバターの素朴で温かな美味しさに、ほっと心がなごみます。また温めたワインにシナモンなどを加えたフランスの「ヴァンショウ=Vin Chaud(熱いワイン)」は、冬の代表的な飲み物で、風邪予防の妙薬ともいわれています。

焼きりんご りんごとシナモンとバター三位一体の美味しさは永遠の定番

材料(2人分)

りんご
(酸味のある紅玉がおすすめです)
・・・2個
三温糖 ・・・40g
無塩バター ・・・40g
シナモンパウダー ・・・小さじ2/3
シナモンスティック ・・・2本
シナモンパウダー(仕上げ用) ・・・適宜

作り方

  • 1.りんごは芯をくりぬき、切り込みを放射線状に入れる。
  • 2.三温糖、無塩バター、シナモンパウダーを良く混ぜ合わせる。1のりんごのくりぬいた部分に詰め込み、中心にシナモンスティックをさし込む。
  • 3.りんご2個がちょうど入る程度の大きさのグラタン皿に、2を入れ、180度に温めたオーブンで30~45分焼き上げる。仕上げにシナモンパウダーをふる。

※お好みでアイスクリームなどを添えるといっそう美味しく召し上がれます。

ヴァンショウ 体が芯から温まるスパイシーなホットワイン

材料(2人分)

赤ワイン ・・・240cc
オレンジの皮 ・・・適宜
シナモンスティック ・・・1本
クローブ ・・・1粒(お好みで)
氷砂糖 ・・・20g

作り方

材料全部を鍋に入れ、弱火にかけ温め、氷砂糖を溶かす。

※沸いてくると、ワインに火が移りやすくなりますので、火加減にご注意ください。