• メールで送る

食のちから 体を養い心を磨く 第22回:“ふっくら”“もちもち” 酵母がくれる恵み 古代よりパン作りに欠かせない発酵作用に美しさを育てるヒントが!

食のちから 体を養い心を磨く

監修

村上祥子(むらかみ さちこ)先生

料理研究家・管理栄養士。
東京と福岡でクッキングスタジオを主宰。電子レンジを活用した合理的なアイデアと、手早い調理法に定評がある。“食べる”総合学習として教育現場で子どもたちに「お料理手品」を教えるなど、健康な食生活への提案に情熱を注ぐ。著書は『村上祥子さんのいちばんカンタン!おうちパン』(ベネッセコーポレーション)など200冊を超える。
http://www.murakami-s.com

酵母のちからが、ふっくらとしたきめ細かさを作っていたのです。

「発酵」が生かされた食の知恵

 食べ物は、人間が自然界からいただく”いのちのもと”。毎日を美しくすこやかに生きるためのエネルギーになるものです。
 主食として食卓にのぼる機会が多いパンは、まさしくその代表。酵母という自然の恵みの働きが、小麦粉の糖分を分解して発酵させ、ビタミンやアミノ酸、βグルカンなどの栄養成分を加えたり、焼き上がりに香ばしさやふっくらとした弾力を与えています。
 すでに古代エジプトの壁画には、小麦をひいた粉を練って成形し、発酵させ、かまどで焼く工程が描かれています。こうしたパンの作り方の基本は、現在でも変わっておらず、パンは生きるための“いのち”を象徴する食べ物として、世界中に広がりました。

なぜパン職人の手は、白くてきれいなのだと思いますか?

 酵母による恩恵は、風味や栄養面だけではないようです。西洋では昔から、“パン職人の手は白くてきれい”といわれます。日本でも酵母は、みそやぬか漬けなどの伝統的な発酵食品作りに欠かせませんが、“ぬか床を毎日かき回していると手がすべすべになる”といった話を耳にします。実際に心当たりのある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
 これも、酵母が育てた微生物たちによるうれしい働きといえるかもしれません。紀元前からの人類の良きパートナーである酵母には、私たちの細胞を、体の内側と外側から元気に輝かせてくれる不思議なちからがあるようです。

パンの香りは、食卓を幸せに包んでくれますよね

 パンの香りが漂う食卓は、それだけで幸せな気持ちになります。ただ、パン作りは手間がかかる、オーブンがないと作れないと思われている方も多いようです。
 でも、イースト菌と電子レンジを使う下記の方法なら、生地の発酵もスピーディー。電子レンジのマイクロウェーブにより、温めながら軽い振動を与えることで、小麦粉の糖化酵素とイーストが目を覚まし、活発に発酵活動をするからです。パンはオーブントースターで焼いても美味しくできますので、ぜひお試しください。
 自家製の焼きたてパンをいただけば、酵母のちからと恵みをきっと実感できると思います。

「酵母のちから」を実感!自家製パン作りにトライ

市販のイースト菌と電子レンジを使えば簡単!下記の分量で直径5~6cmくらいのプチパンが30個できます。1の段階で小分けし、ビニール袋に入れて冷蔵しておくと4~5日間保存でき、食べたい時に3から作れるので便利です。※例えば5等分すれば、1袋(約150g)でプチパン6個分になります。

材料

強力粉 ・・・500g
 〃 (打ち粉用) ・・・適宜
ぬるま湯(約40℃) ・・・380mL
オリーブオイル ・・・大さじ3(約40g)
・・・小さじ1(5g)
ドライイースト ・・・20g

作り方

1

ボウル(大)にぬるま湯とオリーブオイル、ドライイーストを加えて1分おいてから、塩、強力粉を加え、箸で混ぜる。

2 一次発酵

焼く分の生地をビニール袋に入れて袋ごと電子レンジに入れ、弱(100~200W)で30秒加熱。

3 整形

打ち粉をしたまな板の上に生地を取り出す。ゴムべらで押さえてガスを抜いたら、まわりに打ち粉をして放射状に6等分し、生地の形を丸く整える。

4 二次発酵

電子レンジ弱(100~200W)で30秒加熱後、クッキングシートを敷いた天板に並べ、2倍にふくらむまで10~20分おく。

5 焼く

160~180℃に温めたオーブンまたはオーブントースター(500~600W)で12~15分焼く。焼く前に刷毛で打ち粉を振りかけると仕上がりがきれい。

※電子レンジを使わない場合は、1の後カバーをして30~40分、温かい場所(22~23度程度)で2倍にふくれるまでおく(二次発酵も同様)

アレンジ 3の成形のあと、生地を丸く延ばして指で穴をあけ、オリーブオイルを塗って焼くとフォカッチャに。油で揚げてグラニュー糖とシナモンをまぶせばドーナッツに。生地を使ってご自由にパン作りをお楽しみください。