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食のちから 体を養い心を磨く 第25回:だし

食のちから 体を養い心を磨く

指導・監修

古田久子(ふるたひさこ)先生

料理研究家。山形中央クッキングスクール校長、山形料理学校協会会長。郷土料理や食育に関する幅広い分野で活躍中。全国料理学校協会功労賞、NHK東北ふるさと賞を受賞。『創ります!郷土の味』(みちのく書房)、『やまがた郷土料理探訪』(大風印刷)などの著書・監修書がある。

取材協力/山形県農林水産部新農業推進課

暑さに負けない夏野菜の清涼パワー

夏野菜を小さく刻んで、
しょうゆをかけていただく、
山形県・内陸地方の郷土料理「だし」。
その清涼な風味とシャキシャキとした食感は、
暑さで食欲の落ちる夏場にはもってこい。
その土地に根ざし、各家庭で受け継がれてきた
「だし」の魅力について、ご紹介します。

夏に欠かせない食卓の定番

 「みょうがが出たら、だしを作る」
 山形の内陸地方で昔から言い伝えられていることばです。山形ではみょうがが出回り始めるころ、きゅうり、なす、青じそ、長ねぎなど、夏の露地物野菜が出そろいます。これらをみじん切りにして、しょうゆと削りかつおぶしで味付けした料理が「だし」です。
 そのままおかずにしたり、ご飯にかけて食べるのが一般的ですが、冷奴に盛ったり、そうめんや納豆の薬味にしても美味しくいただけます。地域や家庭によって、乾燥させた昆布を刻んだなっとう昆布やおくら、油揚げのみじん切りを加えるところもあります。
 発祥や名前の由来について正確なことは分かっていませんが、今も昔も食卓に欠かせない家庭の味。台所でトントンと野菜を刻む音は、初夏を告げる山形の風物詩です。

農繁期に重宝なスピード料理

 身近な材料で簡単にできる「だし」は、素朴ですが、夏の体に補給したいビタミンやミネラルが豊富な料理です。ちょうどこの季節、農家は田んぼの草取り作業でおかず作りの時間も惜しいほどの忙しさ。また、暑さのために食欲も落ちやすくなります。
 そんな時にパッと作れ、涼しげで、ごはんが進む「だし」は、まさにうってつけの一品。様々な夏野菜に含まれるビタミン・ミネラル類がバランス良く摂れ、長ねぎやしょうがの香味成分には、新陳代謝を活発にする働きがあります。「だし」は、夏を元気に乗り切るため、田畑に生きる先人が残してくれた郷土食です。

浅漬けではなく生野菜のおかず

 近年は全国的に知られるようになり、デパートなどで「だし」を目にする機会も増えてきました。
 ただ、市販の「だし」は、刻んだ野菜を浅漬けにしたタイプの商品が多いようですが、伝統食の「だし」はあくまでも生野菜。本来は、新鮮な野菜のちからをそのままいただく家庭料理です。
 暑くなるこれからの季節、食が進まない時に、ぜひ作ってみてはいかがでしょうか。

シャキシャキした食感が魅力 伝統的な「だし」の作り方

材料(4人分)

きゅうり ・・・1/2本
なす(中) ・・・1本
みょうが ・・・1個
青じそ ・・・5枚
しょうが ・・・1かけ
長ねぎ ・・・10cm
青とうがらし ・・・1本
削りかつおぶし ・・・適量
しょうゆ ・・・適量

作り方

  • 1きゅうりとなすは5mmくらいの粗みじん切りに、みょうがは薄切りにしてからみじん切りにする。青じそ、皮をむいたしょうが、長ねぎ、青とうがらしも、みじん切りにする。
  • 21の材料を水に入れてかき混ぜ、アクぬきをする。ザルに取り、ペーパータオルで水気を取る。
  • 3小鉢に盛り、お好みの量の削りかつおぶしとしょうゆをかけ、よくかき混ぜていただく。

美味しくいただくポイント 1.シンプルな料理だけに、新鮮な野菜を使うことが大切。 2.お好みで、粘りの出る食材を加えると、とろとろとした食感になります。 3.辛さが苦手な方は、青とうがらしを控えめに。

「だし」を使った創作料理

「パスタ」~和風タルタルソースのような風味が新鮮~

材料(4人分)

スパゲッティ ・・・300g
にんにくのみじん切り ・・・1かけ分
オリーブオイル ・・・大さじ2
ベーコン ・・・50g
塩、こしょう ・・・各適宜
パプリカ(飾り用) ・・・1/4個
だし ・・・1カップ
A マヨネーズ ・・・大さじ4
しょうゆ ・・・大さじ2
生クリーム ・・・大さじ3

作り方

  • 1フライパンにオリーブオイル、にんにくを入れて火にかけ、香りが立ったら5mm幅に切ったベーコンを炒めて塩・こしょうをする。さらに硬めにゆでたスパゲッティを加えてさっと炒める。
  • 2Aの材料を混ぜ合わせてソースを作る。
  • 3器に1を盛り、2のソースをたっぷりかけ、パプリカの千切りをあしらう。

「餃子」~野菜のさわやかな甘さが後を引く一品~

材料(4人分)

餃子の皮 ・・・20枚
だし ・・・2カップ
A 豚ひき肉 ・・・100g
米粉(または小麦粉) ・・・大さじ3
にんにくのみじん切り ・・・小さじ1
しょうがのみじん切り ・・・小さじ1
ごま油 ・・・大さじ1/2
・・・少々
油(焼き用) ・・・適宜
酢、しょうゆ、
ラー油(たれ用)
・・・適宜

作り方

  • 1米粉以外のAの材料をボウルに入れ、ねっとりするまで混ぜ、最後に米粉を加えてよく混ぜ合わせる。
  • 2餃子の皮で1をしっかり包む。
  • 3フライパンで油を熱し、5個(1人分)ずつ焼く。
  • 4熱いうちに、たれにつけていただく。

Aに豆板醤・甜麺醤を各小さじ1加えると、さらに良い風味になります。