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食のちから 体を養い心を磨く 第37回:あさづけ

食のちから 体を養い心を磨く

監修

坂谷 晃(さかや こう)さん

管理栄養士、秋田県五城目町(ごじょうめまち)食生活改善推進協議会会長。学校教諭などを経て、五城目町で昭和36年から開始された学校給食の指導に携わる。その後、地域の食生活改善のため、五城目町役場に勤務。退職後は一人暮らしの高齢者に弁当を配るボランティアに従事。2006年から全国的な社団法人である食生活改善推進協議会の秋田県五城目町支部を立ち上げ、伝承料理の保存、継承や食育活動を行っている。

米を使った和風デザート

米どころ秋田県に伝わる『あさづけ』は、
米を水で煮て、砂糖と酢で味付けした
まったりとした甘みが特徴。
古くは、農家の小昼(こびる)休みの
お茶請けとして、
また、“さなぶり”といわれる
田植えの後の慰労会で
振る舞われる料理の一つとして
農家の暮らしぶりが色濃く映し出された
郷土の味覚です。

節米の役割も果たした農家の食生活の知恵

 『あさづけ』は、米を精製した時に出る“こざき”といわれる砕け米を煮、練って作ったものであることから、秋田県南部では「こざき練り」とも、あるいは酢を使って味付けするため、地域によっては「粉なます」とも呼ばれています。
 飯米として出荷できない砕け米や、未熟米などの二番米を利用し、また少量の米でも水でのばされるため、節米にも大きな役割を果たすとして、農家で重宝されてきました。

田植え仕事の後のご馳走として

 一風変わっているのは、その調味方法です。砕いた米を水で煮、とろみがつき白く透き通ってきたら砂糖と酢を加え、冷やしてから季節の野菜や果物などをトッピングしていただきます。
 昔は、果物は使わず、きゅうりやかぶ、かぶの茎などを細かくきざんで入れていました。とりわけ田植えは女性たちの仕事でしたから、一仕事終えた後の甘い『あさづけ』は、最高にうれしいご馳走でした。また、砂糖の甘みや酢の酸味は、労働の疲れを癒やすのにも一役買っていたようです。
 また、水でやわらかくのばした『あさづけ』は消化も早く、糖質を効率良く摂れるエネルギー源であることから、夏バテをしてしまったり、風邪で食欲がない人には、ミカンの缶詰などをのせて食べさせました。これが、米の白に具の色彩が映えた美しい料理であったことから、冠婚葬祭など人が多く集まる席での取り回し料理や、来客時のお茶請けにと広まったようです。

果物をトッピングして自由にアレンジ

 現在、秋田県内各地で食べられている『あさづけ』は、地元特産のサクランボなど旬の果物を贅沢にトッピングすることもあり、さながら甘酸っぱい和風デザートのような趣で、子どもからお年寄りまで人気があります。
 米や砂糖、酢といった日本の食卓になじみ深い材料を用いて、簡単に調理できる『あさづけ』。調味料のバランスを変えたり、好きな果物をトッピングしたりして、楽しんでみてはいかがでしょう。

夏の疲れを癒やす和風デザート『あさづけ』の作り方

米をする時は、完全にすりつぶさないように。ミキサーでも代用できますが、少し粗めにしておくと、『あさづけ』本来の食感が味わえます。

材料(7~8人分)

うるち米 ・・・1カップ
・・・6カップ
砂糖 ・・・250g
・・・50cc
・・・小さじ1
きゅうり、かぶなどの薄切り ・・・適宜
ミカン、パイナップルなどの缶詰 ・・・適宜
バナナ、サクランボなどの果物 ・・・適宜

作り方

  • 1うるち米をよくといだ後、一晩水に浸け、ざるにあげる。
  • 2すり鉢に1と水1/2カップを入れ、すりこぎですりつぶす。
  • 3鍋に2と残りの水を入れ、火にかける。とろみが出てきたら砂糖を2回に分けて入れ、鍋底が焦げつかないようにへらでかき回しながら煮る。
  • 4煮立ってきたら酢、塩を加えて混ぜ、火を止める。
  • 5粗熱がとれたら冷蔵庫で冷やして、盛り付け、きゅうりなどの薄切りや果物をお好みで飾る。

アイデアいろいろ『あさづけ』アレンジレシピ

親指大ほどのしょうがをすりおろし、絞り汁を加えれば、風味が増し、大人の味わいに

水の代わりに牛乳を使用すれば、オートミールのようなコクのある味わいになり、朝食にもぴったり