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食のちから 体を養い心を磨く 第38回:加賀れんこん

食のちから 体を養い心を磨く

取材協力/金沢市農業センター、金沢市農産物ブランド協会

滋味あふれる根菜のちから

金沢の郷土料理“はす蒸し”には欠かせない
食材として親しまれている『加賀れんこん』は、
もちもちっとした歯ごたえが特徴の
“地野菜”と呼ばれる伝統野菜の一つです。
土の中の養分を取り込み、成長し、
滋養成分をたっぷり含んだれんこんは、
秋口からの食卓をほっこり彩ります。

観賞用に親しまれた蓮(はす)は、米の代替作物として食用に

 金沢とれんこんの関わりは古く、加賀藩五代藩主・前田綱紀(つなのり)が金沢城内に植えたのが始まりといわれています。日本三名園に数えられる兼六園も、別名「蓮池庭(れんちてい)」と呼ばれ、当時は、夏に咲く白く可憐な花を愛でる観賞用として親しまれていました。藩政時代には米以外の作物を作ることは禁止されていましたが、日当たりの悪い場所では、れんこんだけが作ることを許され、次第に食用として扱われるようになりました。

8月中旬から出荷される初物は特に色白

 金沢では、まだ残暑が厳しい8月中旬ごろから、『加賀れんこん』の初物の出荷が始まります。この時期は、まだ生育途中ということもあり、通常1本あたり4から5ある節(ふし)も3節ほどしかありませんが、中身が白くきれいなため、料亭などでは喜ばれます。その後は、葉から取り込む酸素が表皮から放出され、土の中の鉄分と結合し、表面が赤みを帯びる時期がありますが、葉を刈り取るとその色も消え、9月下旬には出荷の本番を迎えます。

独特の食感に含まれた滋味あふれるちから

 『加賀れんこん』の特徴は、肉厚で節間が短いこと。そして、すりおろした時のもっちり感にあります。独特の粘り気は、れんこんをすりおろし、水気を軽く切っただけで団子状になるほどです。これは、豊富なでんぷん質によるもので、“はす蒸し”や、れんこんの“すり流し汁”といった、金沢の人々が愛してやまない郷土料理の食味を一層際立たせています。
 また、昔から金沢では、れんこんを食べると母乳の出が良くなるといわれていますが、これは土の中の栄養を蓄え成長する根菜類特有の滋養成分によるもの。さらに、コレステロールを抑える働きがあるといわれる、食物繊維なども豊富です。また、アクが強く、皮をむくとすぐに黒ずんでくるのは、タンニンを含んでいるからです。
 独特の食感が、郷土の食文化と深く関わり愛されてきた『加賀れんこん』。先が見通せることから縁起がいい食材としてお馴染みですが、滋味あふれる根菜のちからで、夏の疲れを癒やし、じっくり体をいたわりましょう。

秋から旬を迎える 加賀れんこん

収穫されたばかりの新鮮なれんこんは、水分を多く含むため、ずっしりとした重量感があります。旬のはじまり、滋味あふれるれんこんを食べて、体をいたわり、整えましょう。

もっちりとした食感が老若男女を問わず人気 金沢の郷土料理「はす蒸し」

材料(4人分)

加賀れんこん ・・・大1/2節
えび ・・・5~6尾
ぎんなん(缶詰でも可) ・・・50g
きぬさや ・・・適量
・・・小さじ1/3

つなぎ

卵白 ・・・1/2個分
片栗粉 ・・・大さじ1

くずあん

だし汁 ・・・2.5カップ
しょうゆ、酒 ・・・各大さじ1
・・・小さじ1/2
片栗粉 ・・・大さじ1

作り方

  • 1加賀れんこんは皮をむき、酢水に30分ほどさらしてから、すりおろす。
  • 21につなぎと塩を入れ、茹でて皮をむいたえびを一口大に切ったものと、茹でたぎんなんを加え、混ぜ合わせる。
  • 3器に団子状にした2を盛り、蒸し器に入れ、中火で20分くらい蒸す。
  • 4鍋にだし汁、しょうゆ、酒、塩を入れ、ひと煮立ちしたら水(分量外)で溶いた片栗粉でとろみをつけて、くずあんを作る。
  • 53の上に茹でて刻んだきぬさやをのせ、4をかける。

※他の産地のれんこんで作る時は、つなぎの量を多めにご調整ください。
※細かく刻んだれんこんを加えると、アクセントがきいた食感が楽しめます。

お茶請けにぴったりな逸品「蓮根羹(れんこんかん)」

作り方(6人分)

  • 1加賀れんこん(200g)は皮をむいて、すりおろし、棒寒天(1本)は洗い、水に浸けておく。
  • 2鍋に寒天と水(400~500cc)を入れ、10分ほど煮溶かす。
  • 32に砂糖(80g)を入れ、煮溶かしたら、すりおろしたれんこんを加えて、混ぜながら火を通す。
  • 43をぬらした型に入れ、冷やし固める。
  • 5固まったら、型から出して切り分け、器に盛り、お好みで黒糖蜜を添える。

※粉寒天を使用する場合は、4gを2分程度沸騰させ煮溶かしてください。

美味しい『加賀れんこん』の選び方

  • ずっしりとした重量感がある
  • ふっくらとした形で、節の両端が締まっている
  • 切り口が白くつやつやしている

※『加賀れんこん』以外でも同様の選び方です。