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食のちから 体を養い心を磨く 第40回:しば漬け

食のちから 体を養い心を磨く

監修

大原 千鶴(おおはら ちづる)さん

奥京都・花背の料理旅館・美山荘の次女として生まれ、小学4年生のころから宿のまかない料理を担当し、現在は料理研究家として活躍中。著書に『京都のごはん よろしゅうおあがり』(文化出版局)、『家族が好きな和のおかず』(世界文化社)などがある。

からだにうれしい伝統の発酵食

京の洛北、鄙(ひな)びた山里の風情が
今も残る大原の地で、
古くから野菜の保存方法として伝えられてきた
しば漬けは、野菜を赤紫蘇とともに
塩漬けにした発酵食品です。
その美しい色合いと、上品な紫蘇の香りで、
京の雅を感じさせてくれるしば漬けについて、
料理研究家の大原千鶴先生に伺いました。

京の山里に伝えられた女人平家ゆかりの伝統食

 『平家物語』でも知られる京・洛北の大原の里は、古くから赤紫蘇の産地として知られ、村の人々はこの紫蘇の葉と、夏の名残のなす、きゅうり、みょうが、唐辛子などを保存食として塩漬けにしていました。
 大原の郷土食だったその漬物は、この地にある尼寺・寂光院に閉居されていた高倉天皇の中宮、建礼門院(平清盛の娘)に村人によって献上されました。すると大変気に入り、紫の葉で漬けたこの漬物にちなんで、“しば(紫葉)漬け”と名付けたといういわれが伝えられています。
 「大原の赤紫蘇は、京都でも美味しいと評判で、しば漬けや梅干しを作る際には、私も大原へ買いに行きます。寒暖の差が激しい盆地の気候が、香り高い赤紫蘇の生産にぴったりなのでしょうね」(大原先生)

“乳酸菌で発酵させて作る大原のしば漬け

 大原の里に伝わるしば漬けは、野菜を赤紫蘇と塩だけで漬け、野菜の表面に付着している乳酸菌の働きで発酵させたものです。
 「発酵させたお漬物というと手間がかかりそうに思われるかもしれませんが、しば漬けは、ご家庭でも簡単に作ることができます。
 赤紫蘇となす、きゅうり、みょうがなど、お好みの野菜を洗い、よく水気を切ったら、野菜全体の重さの約4%の天然塩を混ぜて、野菜とほぼ同量の重石をしておきます。1日ほどで野菜の水分があがってきますが、そのままそっとしておきましょう。すると野菜の表面に付着している乳酸菌の働きで発酵が促され、野菜に独特の酸味と旨みが加わります。10日間もすれば紫蘇の色素が、野菜を鮮やかな赤紫色に染め上げてくれます」

植物由来の乳酸菌で負けない体に

 発酵による独特の酸味が、紫蘇の香りと相まって、風雅な京の味覚として親しまれているしば漬け。発酵食品が健康に役立つことは、昔からよく知られています。そのちからを改めて見直してみませんか。

独特の酸味が食欲をそそる しば漬けアレンジレシピ

人気のイタリアン 白身魚のしばパッチョ

材料(4人分)

白身魚(鯛、平目など)薄造り ・・・200g

しばソース

  しば漬け ・・・20g
  ・・・小さじ1/2
  米酢、煮きり酒、エキストラ・ヴァージン・オリーブオイル   ・・・各大さじ1
   

梅ソース

  梅肉、だし汁 ・・・各大さじ1
  みりん、薄口しょうゆ ・・・各小さじ1
  粉がつお ・・・1g
ブロッコリー、カリフラワー、にんじん ・・・各適量

作り方

  • 1しばソースの材料をフードプロセッサー(ミキサーでも可)にかけ、しば漬けが細かくなるまで攪拌する。
  • 2梅ソースの材料を混ぜ合わせる。
  • 3鍋に水と5mm角に切ったにんじんを入れて火にかける。沸騰したら塩少々(分量外)と、2cmぐらいの小房に分けたブロッコリーとカリフラワーを入れて茹で、茹であがったらザルに上げて、そのまま冷ます。
  • 4平皿に白身魚を敷き、3を盛り付け、12をのせる。

ワインのおつまみに しば漬けチーズボール

材料

しば漬け、クリームチーズ・・・各適量

作り方

  • 1ラップにみじん切りにしたしば漬けをまばらに広げ、クリームチーズをのせる。
  • 2ラップをねじって団子状にする。

植物由来の乳酸菌がたっぷり 大原のしば漬け

夏の名残の野菜で漬けたしば漬けは、程良く発酵が進んだ秋が食べごろ。京・大原では、赤紫蘇の収穫期である7月から9月にしば漬けの漬け込みを行います。

ご家庭での作り方

1 なすなどの野菜を水で洗い、水気を切ったら、斜め切りにする。 2 赤紫蘇は野菜の重量の約8%を目安に、水洗いして水気を切っておく。 3 野菜全体の重さの約4%の塩を1と混ぜてから、2を加え、さらによく混ぜ合わせる。 4 漬ける野菜とほぼ同量の重石をして、冷暗所へ。 5 10日間ほど寝かせ、野菜全体がきれいな赤紫色に染まればできあがり。