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食のちから 第45回:賀茂なす

食のちから 体を養い心を磨く

監修

西山 寛子(にしやま  ひろこ)先生

料理研究家。NPO日本食育インストラクター1級。辻学園日本調理師学校卒業後、同調理師学校や辻クッキング各校講師を務め、1981年京都府福知山にヒロコクッキングスクールを開校。季節の野菜を使った家庭料理を手軽に楽しく作ってもらうことをモットーに教鞭を執る。

夏来たる、京の風物詩

ふっくら丸く、存在感のある姿で、
“なすの女王”とも呼ばれる賀茂なすは、
京都の食文化のもとで育まれた
伝統野菜の一つです。
これから夏にかけて、気温の高まりとともに
出荷がピークを迎える賀茂なす、
その独特なもちっとした食感を
味わってみませんか。

都に花開いた伝統の野菜作り

 平安のころから都が置かれていた京都では、そこで暮らす多くの人々の食を支えるために、野菜の栽培が盛んに行われてきました。山に囲まれた盆地特有の気候も野菜作りに適していたため、宮廷での有職(ゆうそく)料理や、寺社の精進料理などの発達とともに、美味しい野菜が食生活に根を下ろしていきました。
 賀茂なすも100年ほど前から栽培されてきた京都の伝統野菜。現在では、地元の優れた農産物に与えられる「京のブランド産品」の一つとして認定されています。

“なす紺”といわれる色素にうれしい栄養成分

 賀茂なすは、ふっくらと丸い大きな実が特徴です。実はよく締まっているため、煮炊きしても形が崩れにくく、食べると独特のもちっとした食感があります。
 栄養成分はほかのなすよりもビタミンCで約2倍、カリウムは約1.2倍多く含まれています。近年では、いわゆる“なす紺”と呼ばれる、紫よりも深く黒光りするような皮の色素に、ポリフェノールが含まれ、若々しさを保つ働きがあることも分かってきました。

高温の油で加熱して皮の色素を閉じ込める

 昔から、なすの漬物を作る時には、古釘(くぎ)を入れたり焼きミョウバンをすり込んだりしますが、これは皮に含まれる色素を鮮やかに残すために工夫された調理法でした。ポリフェノールの存在について知られていなかった時代から、皮の色素を鮮やかに出すことがなすを美味しくいただく知恵と考えられていたようです。
 また、賀茂なすを使った京都の伝統料理といえば、田楽や揚げだしがあります。どちらも高温の油で加熱することで、色素が安定して彩りよく仕上がり、皮まで柔らかくいただくことができます。
 京都という土地で育まれた賀茂なすは、そこで生きる人々によって伝えられた食の知恵とともに、今も家庭のおばんざいや、料亭の味などには欠かせない食材として、大切に受け継がれています。皆さまもその味覚をぜひ一度味わってみてはいかがでしょうか。

皮まで柔らかく、とろけるような舌触り

賀茂なすは実にツヤとハリがあって、ガクが鋭くとがっているものを選びましょう。味噌とあわせたり、油で調理すると栄養価が上がり、美味しい料理に仕上がります。 写真提供/(社)京のふるさと産品協会

旨揚(うまあ)げだし

材料(4人分)

賀茂なす ・・・2個
ホタテ貝柱 ・・・大3個
鶏ささみ ・・・3本
エビ(またはかにかまぼこ) ・・・40g程度
青じそ ・・・5枚
小麦粉 ・・・適量
揚げ油 ・・・適量
A
・・・1/2個
小麦粉 ・・・大さじ4強
・・・少々
・・・大さじ1~2
B
みりん ・・・大さじ2
薄口しょうゆ ・・・大さじ2
・・・180cc
花がつお ・・・1パック

作り方

  • 1なすはヘタと先端を切り落とし、皮に縦方向に切り込みを入れ横半分に切り、切り口の両面に箸で穴をあける。
  • 2ホタテ貝柱、鶏ささみ、エビ、青じそは7mm角のあらみじん切りにしてボウルに入れ、Aを加えよく混ぜ合わせる。
  • 3なすの切り口(片面)に小麦粉を薄くつけ、2をのせ整える。
  • 4フライパンに1~2cmの深さまで揚げ油を入れ約180℃に熱し、3を具の方を下にして入れる。大きい泡が出るまで揚げたら裏返し、また大きい泡が出るまで揚げる。
  • 54を半分に切って器に盛り、Bを鍋で合わせてひと煮立ちさせて作った旨だしを、茶こしでこしながらかける。

※米なすでも代用できます。普通のなすは、縦半分に切ってご使用ください。

イタリアン田楽

材料(4人分)

賀茂なす ・・・1個
バジル ・・・4~8枚
ピザ用チーズ ・・・50g程度
オリーブオイル ・・・適量
A
味噌 ・・・40g
(大さじ山盛り1)
マヨネーズ ・・・大さじ4
すりおろしにんにく ・・・1片分

※Aは混ぜ合わせておく。

作り方

  • 1なすは所々皮をむき1cmほどの厚さで輪切りにする。
  • 2片面に格子状の切り込みを入れるか、箸で穴をあける。
  • 3フライパンに多めのオリーブオイルを熱し、2を並べて7割ほど火が通るくらいに両面を焼く。
  • 4オーブンの天板に3を切り込みを上にして並べ、ちぎったバジルをのせ、Aをたっぷり塗り、チーズを散らす。
  • 5220~250℃に予熱したオーブンで8~10分ほど焼く(またはオーブントースターで焦げ目がつくまで焼く)。

※米なすでも代用できます。普通のなすは縦半分に切り、切り口に切り込みを入れ、底になる部分を少々切り落としてご使用ください。