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食のちから 第49回:芋煮

食のちから 体を養い心を磨く
取材協力/山形県東京事務所 山形中央クッキングスクール
参考/『やまがた郷土料理探訪』(山形県グリーン・ツーリズム推進協議会)

山形の秋の風物詩

東北地方では、秋になると河原は芋煮の鍋を
囲む人々で賑わいます。
その元祖といわれているのが、
約三百年の歴史がある山形の芋煮会。
里芋が出盛るこの季節、
芋煮は家庭料理としてもよく作られますが、
秋空の下で、家族や仲間とつつく芋煮の美味しさは、また格別です。

最上川が育んだ、船頭の鍋料理

 山形県内を貫流する最上川。舟運の歴史も古く、元禄のころに船頭たちが、河原で里芋を棒鱈などと煮て食べていたのが「芋煮会」の始まりとも伝えられています。
 「芋煮の鍋を地元では『いもこ汁』と呼びます。もともと山形は、春の『たけのこ汁』や冬の『納豆汁』など、東北地方の中でも 〝汁もの〟の料理が多い県。大人数分でも一度に作れ、栄養を無駄なく摂るための知恵ですが、そうした食文化も背景にあったのかもしれません」(山形県東京事務所・須藤英克さん) 
 農家ではちょうど稲の収穫が終わり、ひと区切りの時期。9月から10月に河原で行う芋煮会は、長く厳しい冬を迎える前の大きな楽しみであり、秋に欠かせない恒例行事として定着していったようです。

芋煮会の主役はあくまでも里芋

 「いもこ汁の材料は、里芋、牛肉、こんにゃく、長ねぎの4種類で、しょうゆ仕立てが基本。かつては具に棒鱈や鶏肉などを使っていましたが、昭和に入ると、しょうゆに合う牛肉が定番になっていきました」(須藤さん)
 庄内地方など、豚肉を使って味噌仕立てにする地域もありますが、主役はあくまでも里芋。屋外で調理する時は、皮をむいた里芋を下茹でせず、汁をはった鍋に直接加えて煮、野趣あふれる滋味を楽しみます。

寒さに備える栄養がたっぷり

 芋煮会で子どもも作るといういもこ汁は、シンプルな料理ですが栄養は豊か。里芋は炭水化物やタンパク質を多く含み、ビタミンB6、ビタミンE、カリウム、食物繊維が豊富で、しかもカロリーが低いのが特徴です。肉や野菜が加わって、味も栄養バランスにも優れたいもこ汁を、ぜひ味わってみませんか。

体も心もほっこりと元気に!「いもこ汁」の作り方

しょうゆ仕立ての本場といわれる村山地方と、味噌仕立てで知られる庄内地方の伝統的な作り方をご紹介します。最後に汁が残ったら、うどんを入れて煮込むのもおすすめです。

甘辛い定番の味 牛肉で作る しょうゆ仕立ての”村山風”

  • 作り方

    (1)
    里芋は皮をむいて一口大に切り、塩でよくもんでから水洗いしておく。
    (2)
    牛肉は4cm幅に切る。長ねぎは斜めに切る。
    (3)
    こんにゃくは手やスプーンで一口大にちぎって、さっと茹でてざるにとり、水気を切る。
    (4)
    鍋に分量の水と酒大さじ2を入れ、里芋、こんにゃくを煮る。
    (5)
    里芋に箸の先がささる程度まで煮えたら、牛肉と残りの酒大さじ2、砂糖、しょうゆ、塩を入れる。
    (6)
    あくを取りながらさらに煮て、里芋がやわらかくなったら長ねぎを加える。

    ※先に牛肉を炒めたり、きのこやごぼうなどの野菜を加えたりと、作り方や材料は地域や家庭によって様々です。

  • 材料(4人分)

    里芋 ・・・・600g
    牛肉(薄切り) ・・・・400g
    こんにゃく ・・・・・1枚
    長ねぎ ・・・・・4本
    ・・・6カップ
    酒・砂糖 ・・各大さじ4
    しょうゆ ・・・大さじ6
    ・・・・  少々

豚汁風のコクが魅力 豚肉で作る 味噌仕立ての“庄内風”

上記の材料の中で、牛肉を豚肉(薄切り400g)に、こんにゃくを厚揚げ(1枚)に、
しょうゆを味噌(大さじ6)に、それぞれ変えて作れば、庄内風のいもこ汁になります。
厚揚げは一口大に切り、(4)の段階で加えます。

山形の内陸で広く親しまれているしょうゆ仕立てと、
庄内伝統の味噌仕立て。味比べしてみてはいかがでしょうか。