北海道の太平洋岸にすむシシャモは、産卵のために河川に戻ってくる10~11月が漁期。きれいに縄がけした「すだれ干し」は季節の風物詩です。丸ごと食べられ、様々な栄養を無駄なく摂れるのも魅力。身は小さくても、サケのように川をさかのぼる、元気のパワーを美味しくいただきましょう。

シシャモといえば、メスの「子持ちシシャモ」の生干しが有名。濃厚でプチプチした卵の風味が珍重されていますが、身が大きく卵に栄養を取られないオスの美味しさを好む人もいます。シシャモは日本の固有種で、漁場や漁期、漁獲量が限られるため、今や高級魚の一つになりました。
一方、シシャモと同じキュウリウオ科の魚で、オホーツク海や北極海の浅海域、太平洋、大西洋の寒帯域にすんでいるのがカラフトシシャモ。こちらは漁獲量が多く、子持ちの生干しが手ごろな価格で市場に出回っており、柔らかい身とあっさりとした味わいが楽しめます。

頭から尻尾の先まで食べられますから、身のタンパク質に加えて、骨のカルシウムや内臓に多い亜鉛、鉄など、多彩な栄養を一度に摂れるのも利点。特にカルシウムが、豊富に含まれています。
ビタミンでは、成長に欠かせないビタミンB2や若々しさのもとであるビタミンEが比較的多いのが特長。また、不飽和脂肪酸のDHAやEPAも豊富です。

子持ちシシャモの生干しは、網で軽く焼くのが一般的な調理法ですが、天ぷら、フライ、唐揚げ、南蛮漬け、マリネや昆布巻き、甘露煮にしても美味。また、炊き込みごはんにしたり、チーズや牛乳と合わせたりすると、ひと味違った新鮮な美味しさが楽しめます。シシャモを、様々な調理の工夫で味わってみませんか。