込められたのは”幸せを願う”気持ち

さて、どんな吉祥文様が
あるのでしょう?

吉祥文様とは、結婚などのお祝い事や晴れの舞台にふさわしい幸せのシンボル

漆のうつわや調度品には、幸せを願う人々の心をうつすように、縁起のよい文様が数多く描かれてきました。
結婚などのお祝い事や晴れの舞台にふさわしい幸せのシンボル、吉祥文様(きっしょうもんよう)です。
サントリー美術館が誇る漆の名品にも吉祥文様がいっぱい。一緒に探してみてください!

描かれているのは、中国の伝説で、東方の海上にそびえるという、蓬莱山(ほうらいさん)。

縁起の良い文様の
オン・パレード!

描かれているのは、中国の伝説で、東方の海上にそびえるという、蓬莱山(ほうらいさん)。
そこでは、鳥や動物がことごとく白く、不老不死の薬があり、金銀や玉でできた宮殿が建つという・・ 仙人が住む海の彼方の楽園として、いにしえの人々の憧れでした。海中にそびえ立つ岩。群れをなして大空を舞う鶴。岩の上には亀。さらに、大きな岩の上には老松が幹をうねらせ、小さい岩には若松が枝を伸ばしています。磯の風景に、鶴亀、松竹梅、洲浜などを組み合わせることは、蓬莱山を描くときの定番なんです。

「鶴は千年、亀は万年」といわれるように、鶴と亀は長寿の象徴ですね。
純白の翼を広げた鶴の高貴な美しさは、鳥の中でも別格。花嫁さんが着る、打掛の柄などにもよく見られますよね。千年の齢をたもつといわれる松も、長寿の象徴。一年中緑をたたえる常緑樹なので、うつわや着物などでも季節を問わず用いられます。いわずとしれた「松竹梅」のひとつですね。

蓬莱山は、まさに縁起の良い文様の宝庫!
鶴、亀、松などのモチーフは、それぞれが独立した吉祥文様の代表格として、今も広く親しまれています。

まばゆい金で表わされた鳥の正体は?

こちらは、書きものをするときに使う小さな机と硯箱(すずりばこ)のセット。金蒔絵や金属の板、金銀箔を重ねてまばゆいばかり。信長や秀吉、家康が活躍した桃山時代らしい、豪華で大胆なデザインですね。

書きものをするときに使う小さな机と硯箱(すずりばこ)のセット
硯箱内の水滴が、鳳凰の羽根を添えた卵の形をしていて面白いです

金色の大きな鳥にご注目ください!とさかのような飾
り、首には龍のようなうろこ、立派な尾羽。ご存知の
方も多いでしょう。中国から伝わった空想上の鳥、鳳
凰(ほうおう)です。徳の高い君主が誕生する兆しと
して、この世に現われると信じられてきました。麒麟
(きりん)、亀、龍とともに「四瑞(しずい)」と呼ば
れます。

鳳凰は、桐の木に棲んで、竹の実を食べるといいます。
その伝説の通り、桐の幹にとまって、周りには竹の葉
が描かれていますね。「鳥類の王」として格の高い吉
祥文様です。机にはオス、硯箱にはメスが描かれてい
ます。硯箱を机に載せると仲良くカップルで向かい
合っているようです。さらに、硯箱内の水滴が、鳳凰
の羽根を添えた卵の形をしていて面白いですね。

夫婦の契りを祝う
文様がたくさん。

江戸時代の盃にも、おめでたい場にふさわしい吉祥文様がちりばめられています。

神前結婚式で三々九度の儀式をご覧になったことはありますか?まあ、なつかしい、とご自身の結婚式を思い出されるかたもいらっしゃるのでは? 同じ盃(さかずき)で祝い酒を飲む、夫婦の契りです。その儀式でよく使われるのが三ツ重ねの盃です。

ご覧の江戸時代の盃にも、おめでたい場にふさわしい吉祥文様がちりばめられています。
波間に遊ぶのは、金蒔絵や白くつやめく螺鈿で表された鴛鴦。「鴛鴦(おしどり)夫婦」の言葉通り、仲睦まじい夫婦の象徴です。盃には、色や形のさまざまな美しい貝。星の形の、ヒトデも見えますね。おや、亀もいますよ。どこでしょう?盃に描かれた波の上に浮かんでいますね。盃台の側面には、菱型を組み合わせた透かし彫り。松の皮をはがしたものに見えるので、「松皮菱(まつかわびし)」といいます。

夫婦和合の鴛鴦、長寿の亀、それに常緑の松と、おめでたい席にぴったりの盃ですね。

今回は縁起の良い文様をたっぷり見ることができて、なんだかいいことありそう。
生活に取り入れたくなりますね。もっと見たい!というかたは、
ぜひサントリー美術館のサイトでもさまざまな吉祥文様を探してみてください。

さて漆の文様には、吉祥文様のほかにもさまざまなものがあります。
それを理解するには、日本の古典文学の知識が欠かせません。
次回は、そうした文様の背後に広がる美しい物語世界をご紹介します。どうぞお楽しみに!

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