ダイエット情報館

ダイエットのための「カラダ」と「栄養学」基礎 賢くやせ、気持ちよく生きるための「大人の食育」

脂肪の分布 ~どこにどれくらいあるの?~

脂肪は全身の細胞をつくる主要な成分です。さらに、先に述べたようにたいへん効率のよい燃料です。私たちは、体温を保ったり内臓を動かしたりするだけでも、1日に1000~1500kcalものエネルギーを使っています。いざというときに細胞の原料やエネルギーが不足しないよう、人は脂肪を日々食べ物から摂るだけでなく、カラダのあちこちに蓄えているのです。

体脂肪

カラダに蓄えられた脂肪のことを、「体脂肪」といいます。体重に占める体脂肪の重さの割合が「体脂肪率」です。

皮下脂肪と内臓脂肪

体脂肪は、カラダのどこについているかによって大きく二つに分けられます。

皮膚の内側につく脂肪「皮下脂肪」は、カラダの表面をおおうクッションのような役割を果たし、衝撃から身を守ります。また、外の寒さで体温が奪われるのを防ぎ、体温を保つ役目もあります。女性は妊娠・出産のための大切な臓器や赤ちゃんを守るために、男性よりも多くの皮下脂肪をたくわえています。

一方、カラダの奥深く、内臓のまわりにつく脂肪を「内臓脂肪」といいます。血管がはりめぐらされているので、必要なときにはすぐに血管を通って肝臓へ行き、肝臓から全身に送り出されます。比較的簡単に使うことのできる、便利な燃料といえます。

☆★doughnuts time★☆ 体脂肪計の針にまどわされるな!

体脂肪計付きの体重計がご家庭にあるという方も増えてきているはず。いろいろな時間に乗ってみると、夜には低かった体脂肪率が、朝になるとぐんと上がっている!なんてことはありませんか?

実際の体脂肪の量は、朝と夜とでそんなに大きくは変化しません。では、いったいなぜこのようなことが起こるのでしょうか?

体脂肪計に表示される体脂肪率は、体にごく微弱な電流を流し、その電流が体内を通過する速さから換算して導き出します。水分は電気を通しやすく脂肪は電気を通しにくいので、電流の伝わり方が遅いほど、体脂肪が多いということになります。ただし、この電流の速さにもっとも影響をあたえるのは、じつは脂肪の量ではなく、体のおよそ60%を占める「水分」なのです。体内の水分量は、眠っているときには水分代謝が行われて減り、活動中には上昇します。そのため、朝には体脂肪率が高く、夜には低く計算されてしまうのです。

この理屈から考えれば、入浴や運動、飲水やトイレ、汗をかいたりすることも、体内の水分量が変化するので、当然のことながら体脂肪率の数字に影響します。体脂肪計にのるときは、いつも「同じ時間、同じ状態、同じ服装で」と心がけましょう。背筋を伸ばして測ることも大切です。

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脂肪細胞

ところで脂肪は、皮膚の下や内臓のまわりに、どのようにたくわえられているのでしょう?脂肪はそのまま皮下や内臓にくっつくわけではなく、「脂肪細胞」という細胞に取り込まれてたくわえられます。

脂肪をたくわえた脂肪細胞は集まって「脂肪組織」を形成します。皮下や内臓まわりには、この「脂肪組織」が広がっているのです。

脂肪細胞の中身は、約85%(ほとんど!)が右のような 中性脂肪です。中性脂肪の一部は糖からもつくられるので、脂肪の蓄積量は、食事で摂った糖分(炭水化物)の量にも大きく左右されます。

=2種類の脂肪細胞=

脂肪細胞には厳密にいうと、色の白い「白色脂肪細胞」と、少し茶色がかった「褐色脂肪細胞」の2種類があります。私たちがふだん「脂肪」「脂肪細胞」と呼んでいるのは白色脂肪細胞のことで、成人でしたらひとり300億個くらい持っています。褐色脂肪細胞のほうは数も少なく、白色脂肪細胞とはかたちもはたらきもまったく異なります。褐色脂肪細胞は、細胞の中に「ミトコンドリア」という小さな構造体をいっぱいかかえており、この中のたんぱく質(褐色脂肪細胞にしかない特殊なたんぱく質)を使って脂肪を分解し、大量の熱を発生させます。寒い地域に住んでいる人間や動物には、この褐色脂肪細胞の数が多いといわれています。

白色脂肪細胞の数は、生まれてくる直前の数ヶ月と、乳幼児期、思春期の前後など、限られた時期にしか増加しないといわれています。その後、大きく減ることはありません。大人になってからは、細胞内にたくわえる脂肪の量によって、脂肪細胞のサイズを大きくしたり小さくしたりして対応しますが、過剰なエネルギー摂取や運動不足が続けば、脂肪細胞の数はさらに増加し、肥満者では400~600億個に達することもあるそうです。*

☆★doughnuts time★☆ 嫌われ者の皮下脂肪「セルライト」

欧米で1970年代から、硬くなった脂肪のかたまりのことを「セルライト」と呼ぶようになりました。太ももやお尻、二の腕などの表面がボコボコした状態を指します。脂肪が多く血行の悪いところにできやすく、いったんできると分解されにくいなどといわれ、見た目も悪いので、女性の大きな関心の的になっています。しかし残念ながら医学的には研究途上で、しっかりとした科学的根拠は非常に乏しいのが現状です。どのようにしてできるのか、ふつうの脂肪組織とどのように違うのか、どのように分解されるのかなど、メカニズムはまだまだ不明です。セルライト対策としてよくいわれるストレッチなどは、血行をよくしたりする上で(セルライト云々というより)カラダに良いことは間違いないと思われますが、セルライト除去をうたった健康食品などはエビデンスを無視した宣伝が先行している面があり、気がかりなところです。

*Mebio (1997) Vol.4 No.11 p.11

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血液中の脂質1 中性脂肪

血液中には、いつでもエネルギーとして燃やせるように、あるいは脂肪を必要としている組織に運ぶために、そしてホルモンなど大切な成分をきちんとつくれるように、さまざまな脂肪の仲間が流れて全身をめぐっています。

中性脂肪も、常にある程度の量が血液中を流れ、いつでもエネルギー源として使えるようになっています。中性脂肪は冒頭でお話したとおり、私たちがふだん単に「脂肪」と呼ぶもので、グリセリン(=グリセロール)という骨格成分に、3つの「脂肪酸」がくっついたかたちをしています。「中性脂肪」「脂肪」のほかに、「トリグリセリド(TG)」「トリアシルグリセロール」など、いろいろな名前を持っています。

食べ物に含まれる脂肪(中性脂肪)は、小腸で「リパーゼ」という消化酵素のはたらきにより、「グリセリン」と3つの「脂肪酸」に分けられ、腸の表面から体内に吸収されます。

腸から体内に吸収されるとき、脂肪酸は脂溶性ビタミン(A,E,D,K)を一緒に体内へ連れて行ってくれます。「食後30分以内」に飲むお薬が多いのも、食事に含まれる脂肪分が、薬の成分を体内に運んでくれるはたらきを利用しているためです。

吸収されて体内(リンパ管)に入った「脂肪酸」は、再びグリセリンと結合して元のかたちに戻ります。その後、血管に入って全身をめぐり、燃料として使われたりたくわえられたりします。(一部の「脂肪酸」は元のかたちに戻らずに、そのまま全身をまわって使われることもあります。)

☆★doughnuts time★☆ 脂質(ししつ)とは

イキナリ「脂質」という言葉が登場してしまいましたが、食べ物の油やカラダの脂(あぶら)のことを、「脂質」と呼ぶことがありますよね。「脂質」とは、これから出てくる

  • 脂肪酸
  • 脂肪(中性脂肪)
  • コレステロール
  • リン脂質

のことを、全部ひっくるめてよぶ呼び方です。
食べ物の中にも、脂肪やコレステロールなど、いろいろなかたちで含まれていますので、栄養として摂る油脂分は、「脂質」と呼ぶのが正確な言い方です。食品のパックに付いている表示(栄養成分表示)にも「脂質」と書いてあります。

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血液中の脂質2 脂肪酸

脂肪(中性脂肪)を構成している3本の鎖の1本1本が「脂肪酸」です。時にはグリセリンから外れ、それぞれの脂肪酸がカラダの中でさまざまなはたらきをします。

燃料として使われるほか、他の脂質に変わったり、カラダに必要なさまざまな成分をつくるのに使われたり、再び中性脂肪になってたくわえられたり・・・。またあるものはビタミンのようなはたらきも持っています。

脂肪酸は、炭素・水素・酸素からできています。
まず炭素同士が手をつないで長い鎖をつくり、それぞれの炭素に水素がくっつき、鎖の端に酸素が付いたような構造です。
鎖をつくる炭素の数や手のつなぎ方によって、脂肪酸の性質は変わり、名前もかわります。たとえば、代表的な脂肪酸である「パルミチン酸」「リノール酸」、「DHA(ドコサヘキサエン酸)」ではこんな感じです。

パルミチン酸のように、“―”の手ばかりでつながっている脂肪酸を「飽和脂肪酸」といいます。
一方、リノール酸やDHAには、“=”(二重)の手がいくつかあるのが見えます。このような脂肪酸の仲間を「不飽和脂肪酸」といいます。不飽和脂肪酸は、空いている手(=)で空気中の酸素と手をつなぐことがあり、「酸化」されやすい性質があります。

食品に含まれる脂肪酸には、上の3つのほかにも40以上の種類があります。少しずつ違うかたちをした脂肪酸が3つ組み合わさって、中性脂肪はできています。食物に含まれる油やお料理に使うオイルも中性脂肪の集まりですから、どんな脂肪酸が多く含まれているかによって、油の性質が変わります。飽和脂肪酸が多いとバターやラードのように固まりやすい油になり、不飽和脂肪酸が多いと魚油やサラダ油のようにサラサラした液体の油になります。

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血液中の脂質3 コレステロール

コレステロールは右のような難しいかたちをした脂質の仲間です。
細胞をつつむ細胞膜の成分になったり、ホルモンの材料になったりと非常に重要なはたらきをするので、いつもある程度の量が血液中を流れながら出番を待っています。また、コレステロールからつくられる「胆汁酸」は、食事でとった脂肪の消化(分解)を助けます。

コレステロールは卵やお肉などの食品からもとれますが、それよりはるかに多い量を体内で合成しています。食事からとったコレステロールが多すぎれば、体内でつくる量がおさえられ、血液中を流れるコレステロールの量はいつも同じくらいになるように調節されています。日本人は卵を好み魚卵も食べる民族なので、コレステロールの摂取量は世界でも比較的多いほうですが、血液中のコレステロールはそれほど高いわけではありません。「コレステロールが高い」=「血管の病気になる」というイメージがありますが、食事からとる量だけを見れば、病気の発生率ともほとんど関係がないと言われています 。*

しかし、年齢や生活習慣などにより、この調節能力がおとろえ、血液中にコレステロールがたくさんあるのにまだまだつくり出してしまうことがあります。そして血液中にコレステロールがありすぎると、血管の壁に沈着して病気を引き起こす引き金になってしまうのです。こういった場合には、食事からとるコレステロールの量にも、ある程度気をつけなくてはなりません。

☆★doughnuts time★☆ コレステロール 「善玉」と「悪玉」

体内でコレステロールが合成されている場所は「肝臓」です。肝臓でつくられたコレステロールは、「LDL」とか「HDL」という名前の“船”に乗って、全身に運ばれます。どちらの船に乗っているかによって、「LDLコレステロール」「HDLコレステロール」というふうに呼び分けられます。2つの船のうち「HDL」のほうは、余分なコレステロールを肝臓に運び戻す役割もあります。血管内にHDLが少ないと、余分なコレステロールがそのまま血管に居座り、増えてしまうので、HDLコレステロールは「善玉コレステロール」と呼ばれ重要視されています。

一方、「LDLコレステロール」のほうは体内の活性酸素で酸化されることがあり、ひとたび酸化されると厄介です。体内の異物を除去する「マクロファージ」という細胞に「不要なもの」と判断され、食べられてしまいます。その後マクロファージは死に、死骸が血管にそのまま残ってしまうのです。このことから、LDLコレステロールは「悪玉コレステロール」と呼ばれます。

コレステロールそのものが悪いのではありません。悪いのは「酸化されたLDLコレステロール」なのです。

*Ascherio A, BMJ., 313,84-90 (1996)
*Hu FB, JAMA. 281, 1387-94 (1999)
*Hu FB et al, N Engl J Med., 337, 1491-9 (1997)

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細胞をつくる脂質 リン脂質

リン脂質の多くは中性脂肪と似ていますが、3本の鎖のうちの1本が脂肪酸ではなく別の物質に変わっていて、ここに「リン」を含みます。2本の脂肪酸は「脂質」ですから、当然油になじみやすいのですが、この“変わった部分”(↓囲み部分)は、水に溶けやすい性質をもつのです。これがリン脂質の最大の特徴です。この水とも油ともなじむ性質が、水と油が共存する体内において大活躍します。

この性質を利用してつくられているのが、細胞をおおう「細胞膜」です。細胞の内と外を隔てる大切な役割を果たしています。もし細胞膜が水に溶けやすい成分だけでできていたら、体液に溶けた色々な成分をなんでもかんでも通してしまい、細胞の内部で必要な化学反応ができなくなります。逆に油になじむ成分だけでできていたら、仲間同士でくっついてしまい、大半が水分でできている人間の体内で安定して存在することができなくなります。また、細胞の内部は水で満たされているためにさまざまな化学反応を行えるので、細胞膜の内側は、水になじむ性質をしていることが不可欠です。こうした非常に理に適った細胞の構造を実現しているのが「リン脂質」なのです。

体内にある60兆個(!)の細胞の膜は、すべてこのリン脂質を主成分としています。リン脂質は私たちが食べ物からとった油脂から合成されるわけですから、油に感謝はしても目の敵にはとてもできませんね。

細胞がイキイキと保たれているかどうかは、すぐに髪や肌にあらわれてしまいます。ダイエットしたら髪はパサパサになり肌もひどく荒れてしまったという方、リンゴや生野菜ばかり食べて、油をとるまいと頑張っていませんでしたか?

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