ダイエット情報館

ダイエットのための「カラダ」と「栄養学」基礎 賢くやせ、気持ちよく生きるための「大人の食育」

栄養素のはなし

たんぱく質

たんぱく質は約20種類のアミノ酸が長~くつながったものです。カラダの中に入るときにばらばらになってアミノ酸になり、いろいろな種類のたんぱく質に再合成されて、筋肉や血液、骨・・・など私たちのカラダの重要な部分をかたちづくります。コラーゲン、ケラチンもたんぱく質です。そのほか、カラダの中で起こるさまざまな反応をスムーズに進める酵素、生体内の微妙な調節を行うホルモンの一部、体内に入った敵(異物)を追い払う「抗体(こうたい)」も、みんなたんぱく質からできています。

私たちのカラダを支えたり動かしたりする筋肉(骨格筋)のほかに、心臓の拍動や腸の蠕動(ぜんどう)運動が絶えず行われていることからも分かるように、内臓も筋肉でできています。筋肉はおもにたんぱく質からできていますので、減量してもこの大切な筋肉部分を減らさないために、食事からのたんぱく質の確保はとても重要です。筋肉が減ってしまうと基礎代謝が落ち、一日の消費エネルギーも減ってしまいます。

理想的には、 標準体重×1.0~1.2g のたんぱく質を、食事からとるのが良いとされています。
たとえば身長160cmの人なら、
(標準体重56kg)×1.0~1.2=56~67g
のたんぱく質をとっていれば、筋肉が減ることはありません。一日、約50~80gを目安に、ダイエット中でもしっかりとるようにしましょう。

たんぱく質を含むおもな食品は、卵・豆・豆製品・肉・魚・乳製品など。
先にご紹介した80kcal=を1点(1単位)として計算する方法なら、卵や乳製品から3点、お肉やお魚から3点分を目安にとると、バランスが良くなります。また、卵はさまざまな栄養素がいっぱい詰まった、「完全食品」とも言われるとても優秀な食品ですから、たんぱく源として1日1個(1点)はとりたいもの。生、ゆで、焼・・・など、献立の展開がしやすい嬉しい食材でもあります。

☆★doughnuts time★☆ アミノ酸でやせる?

上に述べたように、たんぱく質はアミノ酸の集合体です。日本人がとっているタンパク質は平均75-90g、アミノ酸のドリンクに入っているアミノ酸は、せいぜい2g(2000mg)程度です。1日何十gもとっているところに、わずか2gをプラスしたところで、何らかの効能があると考えるのは、少々期待のしすぎかもしれません。ごはん1杯に含まれているアミノ酸(たんぱく質)でさえ、2g以上あります。「アミノ酸をとると筋肉が増える→基礎代謝が上がる→やせる」と考えている人がいますが、この理論であれば、たんぱく質を普通にとっていれば済んでしまう話です。

アミノ酸はたんぱく質よりも吸収が良いといわれます。たしかにたんぱく質は、消化酵素によって細かく切断されてアミノ酸になる「消化」という行程がありますから、最初から「アミノ酸」のかたちでとればこの行程をふまなくてよい分、体内に入るのが多少は早いと思われます。はげしく筋肉を使うスポーツの後にすみやかにアミノ酸を補給し、筋肉の疲労を軽くしたい、というような場合でしたら、アミノ酸をとるのも多少は意味のあることかもしれません。しかし少なくとも、「アミノ酸で体脂肪が燃える・やせられる」という根拠は残念ながらありません。

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脂質

脂質の役割は、先に詳しく述べた通りです。では、どれくらいとれば不足せず、とりすぎにならないのでしょうか?

脂質は、炭水化物・たんぱく質とともに、重要なエネルギー源となる栄養素です。よって、脂質の摂取量を考えるときは、炭水化物・たんぱく質とのかねあい、つまり「炭水化物 : たんぱく質 : 脂質」の配分を考えることが大事です。脂質の配分、すなわち「全摂取エネルギーのうちどれくらい分を脂質からとるか」ということを「脂肪エネルギー比率」といいます。たとえば、「脂肪エネルギー比率が50%」だったら、摂取エネルギーのうち半分を脂肪で、残り半分を炭水化物とたんぱく質でとっている、ということになります。アメリカの見解では、脂肪エネルギー比率は30%以下がよい、とのことですが、もともと脂肪の摂取量がそれほど多くない日本では、現状を考えて25%以下を目標としています。具体的に計算してみると、

1日1600kcalをとる方は、脂肪の摂取を 1600(kcal)×0.25=400kcal 以下、 1日2000kcalをとる方は、 2000(kcal)×0.25=500kcal 以下

におさえましょう、ということになります。
脂肪は1g=9kcalですので、 400kcal⇒脂肪44g、500kcal⇒脂肪56g に相当します。

一方で、脂質の中には、体内でビタミンと同じような生理作用を発揮するものもあり(必須脂肪酸)、不足すれば体にいろいろな不具合が生じてしまいます。また、お肉やお魚など、脂質が多く含まれる食品には、同時にたんぱく質も多く含まれる傾向があり、極端な低脂肪食にするとたんぱく質まで足りなくなってしまうことがあります。脂質と一緒に体内に吸収される脂溶性ビタミンも、吸収がうまく行われずに、不足してしまう可能性があります。このような意味あいから、最低でも脂肪エネルギー比率で20%、脂肪の量で36gくらいはとる必要があります。

脂肪の量で何g、といわれても、具体的にどのくらいの量を食品からとったら良いのか、イメージするのはとても難しいでしょう。実質的には、調理に使う油やバターを大さじ1杯強(1.5点分)までにおさえ、卵や乳製品、肉、魚、豆製品などからたんぱく質を適切にとっていれば、脂質量はだいたい適正な範囲内におさまると考えられています。揚げ物のとりすぎや、パン(とくにデニッシュ系)やお菓子にひそむ隠れた油に注意しながら、適量を美味しくとりましょう。

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炭水化物

炭水化物には、ブドウ糖や果糖などの糖類、ブドウ糖が長くつながったデンプンなどがあります。ご飯、パン、麺などの穀類に多く含まれ、体温を保ったりカラダを動かしたりするための大切なエネルギー源となります。余ってしまうと脂肪にかえられて蓄えられてしまうので、とりすぎは禁物です。しかし、脳をはじめとして、神経組織や赤血球、尿細管(腎臓)、精巣など、エネルギー源としてブドウ糖しか使えない組織がいくつかあり、炭水化物を極端に抑えてしまうのはたいへん危険です。最低でも1日100g(ごはん茶碗半分くらい、または食パン1切れくらい)はとるようにしましょう。

お砂糖も炭水化物ですが、ごはんやパンなどの穀類にはたんぱく質やビタミン、ミネラル類も含まれるのに対し、お砂糖にはほかの栄養素がほとんど含まれません。お砂糖は、料理を美味しく味付けする調味料として、1日大さじ1杯強を上限と心得ましょう。

☆★doughnuts time★☆ ローカーボダイエット考

炭水化物をほとんど摂らずに、高たんぱく・高脂肪の食品を中心にした食生活を送りながら体重を減らそうという「ローカーボダイエット(低炭水化物ダイエット)」。テレビで紹介されて火がつき、当時は飛びついた方も少なくないかもしれません。アメリカの医師R.C.アトキンス氏が糖尿病治療のひとつとして考案した方法がもとになっていて、「アトキンス式」とも呼ばれます。もともとは真面目な治療法として提唱されたものであったはずですが・・・。

いちばんの問題点は、「ごはんさえ食べなければお肉は食べ放題!」といったような誤解をしている人が少なくないことです。とくに「焼肉大好き、でも太りたくない」という女子高生たちにとっては、かつてない魅力的なダイエット法に見えるようで、これが流行に拍車をかけました。ちょっと立ち止まって考えてみれば分かることですが、忘れてはいけないのは、「太る/太らない」はエネルギーの収支に基づいているという基本、大前提です。炭水化物をとろうとたんぱく質をとろうと、【摂取エネルギー】が【消費エネルギー】を超えていたら、決してやせることはありません。したがって、「焼肉は食べ放題!」なんていうことはありえないのです。

「炭水化物を徹底的にさける」というやり方にも、危険な落とし穴があります。先にお話している通り、脳は糖質以外の栄養素を使うことができません。脳に栄養をあげないと、仕事や勉強の能率が上がらないだけでなく、昼間でも眠気が襲ったり、イライラしたり。イライラするのには理由があって、糖分が足りないと気持ちを落ち着かせる「セロトニン」というホルモンが脳に運び込まれなくなるからなのだそうです 。イライラしてダイエットを放棄してしまうようなことになっては、元も子もありません。 

さらに、肝臓に負担がかかる可能性もあります。人のカラダは糖分が足りなくなると、肝臓のはたらきでたんぱく質から糖をつくりだします。また、たんぱく質を分解して使うとき、必ず出来てしまう副産物がアンモニアです。アンモニアは人体にとって有毒な物質ですから、すぐに無毒な「尿素」に変えられ、尿に溶けて排出されます。このアンモニア→尿素への変換を行うのも肝臓です。糖のない状態での多すぎるたんぱく質は、肝臓にとても負担をかけるのです。極端な話、遭難して命からがら下山してきた登山者に、力をつけてもらおうとステーキを食べさせたらみんな死んでしまった、という話もあるくらいです。

アトキンス氏のやり方はある程度の成果を上げたようですが、効果があったのは「糖尿病で肥満のアメリカ人」であって普通の日本人でないことも無視できません。日本人が長い間主食としてきたのは、消化・吸収に時間のかかる米や雑穀。ですから遺伝的に、欧米人より腸が長いのです。そこに大量の肉類が投入されたら、腐敗の早い肉は長い腸の中を進むうちに良くないガスを出したり、腸内環境を悪くしたりすることも考えられます。肉を大量に処理できる体質ではありませんから、痛風になる危険性も高まるかもしれません。

少なくとも、「太るしくみ」を知っていれば、いま流布されている情報には理論的な欠陥があることにすぐに気が付きます。「流行に乗って楽しむ」というくらいの感覚で体験してみるなら大いに結構ですが、「しくみ」そっちのけで、他人の言うセンセーショナルな話題に振り回されたりすることなく、情報の洪水にはスマートに対処したいものですね。

*http://sugar.lin.go.jp/japan/view/jv_0401c.htm#4

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ビタミン

体内で自らつくることができませんが、ないとカラダに不調をきたしてしまう大切な栄養素です。自分でつくることができないので、食品から確実にとらなければなりません。ごくわずかな量で、カラダの機能を調節したり、酵素のはたらきを助けたり、皮膚や粘膜をはじめカラダ全体を健康に保つために欠かせないはたらきをしています。

油に溶ける脂溶性ビタミン(ビタミンA・D・E・K)と水に溶ける水溶性ビタミン(ビタミンB群・C)があります。どちらも(とくに水溶性ビタミンは)何日も体内にとどまることができませんので、一度にたくさんとっても意味がありません。毎日コンスタントに摂取することが大切です。

ミネラル

骨や歯をつくるカルシウムやマグネシウムをはじめとして、血液をつくる鉄分、体液の濃さを調節するナトリウムやカリウム、他にも神経のはたらきを調節したり、酵素のはたらきを助けたりと、カラダの非常に重要なはたらきを担う栄養素です。ビタミン同様、エネルギーとなることはありませんが、体内でつくることができないので、量はごく微量でも食事から確実にとらなくてはいけません。

栄養バランスとしては「理想的」と称される日本食ですが、唯一といってもいい欠点は、カルシウムが不足しがちになること。欧米人はチーズやヨーグルトなどの乳製品を日常的にとるので、カルシウムは日本人よりも充実しているのです。

ダイエット中も、コップ1杯の牛乳(低脂肪・無脂肪乳でもOK)を飲むことは習慣にしたいものです。これでカルシウムの目標量の半分近くが足りてしまいます。しかも牛乳のカルシウムはカラダに吸収されやすいという利点もあります。

しかし日本人は歴史的に乳製品を食べ慣れていないこともあり、牛乳を受け付けない体質(乳糖不耐症)の人も比較的多くいます。そのような方は、野菜、海藻、大豆製品などを意識して多くとるよう心がけてください。

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食物繊維

食物繊維は炭水化物の仲間ですが、デンプンなどが「消化される炭水化物」だとすれば、食物繊維は「消化されない炭水化物」です。消化されないので当然エネルギーになることもなく、たくさん食べても太らない、ダイエットの強い味方です。人のカラダにとっては栄養とならなくても、腸内のビフィズス菌や乳酸菌にとっては大事なエサとなることも多く、腸内の環境をととのえ腸のはたらきを良くしてくれます。

食物繊維には、水に溶けにくい不溶性食物繊維と水に溶ける水溶性食物繊維があります。不溶性食物繊維は、水を吸収して便のかさを増やしたり、腸を刺激したりして便通を良くします。水溶性食物繊維は、糖やコレステロールを吸着して体内への吸収をゆっくりにしたり、余分な分を外に排出したりしてくれます。

ダイエットで食事の量を減らすと、水分や食物繊維の摂取量も必然的に減ってしまいがちです。ダイエット中に便秘になる人が多いのは、このことが一因としてあるでしょう。ダイエット中にはいつもより意識して、いろいろな食物繊維をいろいろな食品からとるように心がけましょう。ごはんに押し麦や雑穀を加えて炊くのも良い方法です。

【不溶性食物繊維】
・セルロース・・・野菜、果物、いも、きのこ
・イヌリン・・・ごぼう
【水溶性食物繊維】
・マンナン・・・こんにゃく、やまいも、さといも
・アルギン酸・・・昆布、わかめ
・ペクチン・・・柑橘類、トマト

野菜や果物は、ジュースにすると、搾汁、ろ過の過程で多くの食物繊維が除かれるので、なるべく生、あるいは調理して用いるのが良いでしょう。

☆★doughnuts time★☆ 単品ダイエットはなぜいけないか

リンゴ、キャベツ、こんにゃく、卵、バナナ・・・。これまでに色々な単品ダイエットが流行り、その度にたくさんの人がチャレンジしてきました。今ではだいぶ「単品ダイエットは体に良くない」「効果がない」などの認識が広まり、安易に手を出す人も少なくなったのではないかと思います。それでも、「○○だけを食べる」「食べる量は無制限」という、なんともシンプルで手軽な方法、そして安価で、「体重」という面では確実に効果が出るからでしょうか、良くないと知りながらもやりたいと思う人は、まだまだいるようです。

単品ダイエットの欠陥、それはご存知の通り、「必要な栄養が充分に摂れないこと」です。では、必要な栄養素をプロテインやサプリメントで補えばそれでOKでしょうか。そうではありません。私たちは、おそらく自分が考える以上に多種多様な栄養素を、食品から得ています。たとえば「食物繊維」だけを見ても、上に挙げたように様々な種類の食物繊維が、様々な食品に含まれているように、食品はそれぞれ特有の成分をたくさん持っています。キノコのグルカン、納豆のナットウキナーゼ、梅干のクエン酸、トマトのリコピン、ナスのナスニン、にんにくのアリシン、キャベツのキャベジン、カレーのクルクミン・・・これらはほんの一例に過ぎません。たんぱく質や油脂も、食品ごとに色々な種類があります。さまざまな食品を使った食事のちからは、そういう意味ではかりしれないのです。仮にビタミンやミネラルを完璧に満たした食品があったとしても、それだけを食べていたら、ふだん何気なくとりいれていた色々な成分の多くを、一切とれなくなってしまいます。

炭水化物以外であればかなり色々な食品をとれるローカーボダイエットも、ごはんを食べないだけでなく、サツマイモやジャガイモ、コーン、カボチャ、果物まで、炭水化物を多く含むという理由からとれなくなります。すると水溶性・不溶性食物繊維やビタミンC、βカロテン、ポリフェノール・・・などなど、これらの食材からとれる多様な栄養素までカットされてしまうのです。

「○○だけ食べる」というダイエットはもちろん、「××はカットする」的なダイエットも、必然的に栄養素の偏りを招いてしまいます。そうなれば、健康的でないだけでなく、効果のほうもあまり上がらないだろうと考えるのが、自然なのではないでしょうか。

「必要量」の考え方

栄養素の「一日に必要な量」を知っていることは大切ですが、「必要量」にしばられないのも大事です。摂取カロリーや栄養素は、長いスパンで考えましょう。

「卵を1日1個」と言いましたが、レストランでオムライスを食べたりしたら、軽く3個はとれてしまいます。3個はとりすぎだから、オムライスは絶対にさけるべきか。そうではありません。とりすぎた日があったら、控える日があればよいのです。目安としてはだいたい1週間くらいの単位で振り返ってみて、1日の平均がだいたい必要量に近くなっているかどうかを判断してください。お肉の献立が続いたから今夜はお魚にしよう、昨日は海藻をとらなかったから今日はたべよう、今日はゼイタクをしたなあと思ったら2、3日は粗食で過ごす、そういうことで良いのです。厚生労働省で決められた食事摂取基準や学校給食も、長いスパンで見て判断することを前提としてつくられています。何がどのくらい必要なのかを把握しつつ、昨日の穴は今日明日の食事で埋めながら、変化のあるバラエティに富んだ食生活を送ってください。

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