ハーブこぼれ話
ハーブにまつわる逸話や知られざる歴史など、 ついつい人に話したくなるようなマメ知識や雑学をご紹介します。
04 魔女の正体とは?

ハーブの魅力や楽しみ方をご紹介する『ハーブズ コラム』。
今回のテーマは、なんと“魔女”。
「ハーブと魔女って、一体どんな関係があるの?」と思われるかもしれませんが、
じつは魔女がいなければ、今の私たちの暮らしにハーブを役立てる
習慣が根付いていなかったかもしれないのです。
ハーブの歩みをひも解きながら、“魔女”の正体を探ってみましょう。

魔法の元は”ハーブ”だったんです!

人々は太古の昔から、こころやからだの不調を身の周りの植物で癒してきました。古代の歴史の中にはすでに、植物の知識に優れ、使いこなす技術を持つ女性たちの存在があります。ハーブを意のままに操る姿は、まるで魔法使いのように見えたことでしょう。
そうした“ハーブ魔女”とも呼べる彼女たちが、魔女のルーツだと言われています。“ハーブ魔女”は、植物に宿る神々と不調を訴える人々との間をとりもつ特別な存在として活躍しました。ちなみに、日本で魔女の乗り物と言えば“ほうき”ですが、欧米ではハーブの束に乗る姿が描かれることもあるそうです。

魔女の乗り物と言えば”ほうき”ですが、欧米ではハーブの束に乗る姿が描かれているとか。
修道院の中でハーブの活用法や保存法などの研究が進められ、独自の発展を遂げました。

時代が変わり中世ヨーロッパでは、各地に構えられた修道院の中でハーブの活用法や保存法などの研究が進められ、独自の発展を遂げることとなります。当時の修道院は、祈りを捧げる場であると同時に、貧しい村民や病人を迎え入れる機能も兼ね備えていました。神に仕えるシスターたちが、修道院の庭に農園とハーブ園をつくり、かつての“ハーブ魔女”たちと同じように、ハーブの魔法を発展させていったのです。

魔法を生んだのは家族を守る女性たちの想い。

中世も後期に入ると、民間の中にもハーブの知識にたけた女性が現れます。田舎町に暮らす庶民は交通手段などを持たないため、修道院に行くことは叶いません。そんな庶民の味方となり、日々の暮らしを支えたのが、ハーブを使いこなす女性だったのです。そもそも『魔女』とは、英語でウィッチ(witch)。これは、賢い女性(wise woman)という言葉に由来すると言われています。

ハーブの知識を駆使し、悩める人々に救いの手をさしのべる彼女らの姿は、当時の人々の目にはとても頼もしく映ったに違いありません。しかし、彼女たちはやがて、悲劇に見舞われることになります。中世末期から近代にかけて繰り返された“魔女狩り”と呼ばれる悲しい歴史の陰に、彼女たちは姿を潜めざるを得なくなったと言われています。

ハーブを使った生活の知恵は、世界各地で脈々と語り継がれてきました。

そんな悲劇の中でも、ハーブを使った生活の知恵は、世界各地で脈々と語り継がれてきました。お料理をよりいっそう美味しくするキッチンハーブや、香りを楽しむ芳香浴、ハーブティーなどとして、現代の私たちの暮らしに活かされています。“ハーブ魔女”が活躍した時代から変わらない、大切な人々を守りたいと願う気持ち。ハーブの魔法を生み出したのは、そんな女性たちの想いだったのですね。

ウエルネスライフマガジン 2014年2月号掲載分