世界のハーブ知恵袋
世界各地で親しまれているハーブの活用方法や暮らしの知恵をご紹介します。気軽に挑戦できるアレンジレシピも続々登場!
06 刺身の“ツマ”は極上ハーブ

ハーブのさまざまな魅力や楽しみ方をご提案する『ハーブズ コラム』。
今回は“ハーブと和食”の深いつながりをご紹介します。

「和食なのにハーブ?」意外に思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、
ハーブは日本の食文化にも深く根付いています。
たとえば、和食の花形「お刺身」には、ご存知“ツマ”がつきものですよね。“ツマ”とは、刺身の横や前にあしらわれるもの全般を指す名称。“ケン”と呼ばれる大根をはじめ、海藻類やキュウリ、花穂、ミョウガなど、さまざまなものがあります。他にも、いわゆる薬味として使われるワサビやショウガ、シソなど、和食には欠かせない“ツマ”は、すべてハーブと呼ぶことのできる食材です。

和食には欠かせない”ツマ”はすべてハーブと呼ぶことのできる食材です。

香りを料理に活かすだけでなく、その成分特徴もしっかりと活用し、さらにはそれをお料理の彩りとして捉える・・・。お刺身の“ツマ”は、日本独自のハーブ文化の象徴と言えそうです。

そこで今回は、和食の中のハーブに着目してみました。私たちの暮らしに密着した
ハーブのことが分かると、毎日の食事がもっと有意義になるはずです。

和食とハーブの密接な関わり
ユネスコの無形文化遺産に登録された「和食」

昨年、ユネスコの無形文化遺産に登録された「和食」。
「一汁三菜」を基本とする優れた栄養バランスにはじまり、日本人の繊細な感性が生み出した彩りの美しさ、年中行事との関わり、四季折々の新鮮な食材と調理法など、和食全体にまつわる日本独自の「食の文化」が評価されたのです。

和食は「うまみ」を上手に活かすことで、動物性油脂の少ないヘルシーなメニューを実現し、日本人の健康的な暮らしを支えてきました。全体的に薄味なのに充足感を得られるように工夫されたメニューの中で、ハーブは和食の名脇役として密かに活躍しています。
シソやワサビ、お寿司に欠かせないガリ、鍋ものをおいしく彩るポン酢や大根おろしなど。これらは、風味に奥行きをもたせるだけでなく、とても合理的な役割を持っています。また、和食は自然を敬愛する食文化です。同じシソでも、おなじみの「大葉」だけでなく、「芽ジソ」、花をつけた「花穂(はなほ)」、果実である「シソの実」、種子から採りだした「シソ油」など、ひとつの食材を余すことなく取り入れる工夫が脈々と受け継がれてきました。

”ツマ”は「残さず食べる」が正解!

お刺身の“ツマ”って、飾りじゃないの?
食べてもいいの?そう疑問に思ったことがある人は、きっと少なくないはずです。
そもそも“ツマ”には、お刺身の水気をきったり、食材の生臭さを和らげたりするほかに、毒消しといって口やお腹をさっぱりさせる役割もあるようです。単に彩りを美しくするためのものではないので、お料理と一緒に食べて余すことなく健康に役立てたいところです。

お刺身の種類によって“ツマ”もさまざま。それぞれの役割や添えられている意味を、もう少し詳しくご紹介しましょう。

1 香りや辛味で食欲を刺激する

ワサビやショウガ、ミョウガなどは“薬味”とも呼ばれ、味を引き立てる“影の主役”。鮮烈な香りやピリッとした辛味は、食欲を刺激し、消化のはたらきを助けます。

2 生臭さを和らげ消化を助ける

“ツマ”の代表格である大根には、消化を助ける酵素が豊富に含まれています。刺身本来の美味しさを引き立てながらも、生ものを食べるリスクを減らすという役割も担っているようです。

3 食材を傷みから守る

あわせる食材や調理法を問わず、お料理に使いやすいシソは、「蘇る」という漢字が使われている通り、さまざまなものの元気を蘇らせるはたらきに優れています。また、香りの強さは、植物が虫や菌から自分のからだを守った印。食中毒予防に役立つので、ぜひ一緒に食べましょう。

今回の『ハーブズ コラム』はいかがでしたか? 
刺身に添えられる“ツマ”は、私たちの身体を気遣い、
食への楽しみをかきたてるメッセージ。
残さず食べて、その恩恵にあずかりましょう。

ウエルネスライフマガジン 2014年4月号掲載分