楽器・ホール・イベント

進化するコンサートホール「コンサートホール その2」

皆さんこんにちは。クラシックソムリエの田中泰です。前回の「コンサートホール その1」はお楽しみいただけましたか? 今回はさらにホールの奥へと潜入してその魅力に迫ります。レッツ・エンジョイ・クラシック!

コンサートホールは都市のシンボル

建設中のサントリーホール

建設中のサントリーホール

ニューヨーク、ロンドン、ベルリンなど、世界の主要都市には必ず素晴らしいコンサートホールが存在します。コンサートホールは都市の機能によって輝きを増し、都市はコンサートホールを持つことによってその価値を増すのです。今から30年前の1986年に誕生したサントリーホールは、東京の魅力を高めると同時にクラシックファンにとても大きな刺激を与えてくれました。

堅苦しい印象のコンサートホールが華やかなイメージの社交場へと変わり、「サントリーホールへ行ってみたい」という声が当時話題となりました。案内役であるレセプショニストが「いらっしゃいませ」と笑顔で迎えてくれるホールの誕生は、サービスにおいてもコンサートの選び方においても、クラシック界に全く新しい価値感をもたらしたのです。「世界一美しい響き」を求めたサントリーホールは、同時に「世界一居心地の良い空間」をも目指したのでしょう。

居心地の良い空間を目指して

笑顔で出迎えるサントリーホールのレセプショニスト

笑顔で出迎えるサントリーホールのレセプショニスト

そのあたりの経緯について、サントリーホール広報部に話を聞きました。

「新たなコンサートホールを造るにあたり当時の社長であった佐治敬三が世界中のコンサートホールを見て回った中で、休憩時間にバーコーナーでお酒を飲む習慣や、お客様への手厚いサービスにとても感銘を受けたことが現在のコンセプトにつながったようです。バーコーナーでは、休憩時間を楽しんでいただくために、ワインはもちろんコーヒーの温度にまで気を使っています。音響へのこだわりはさらに強く、完成後も音響反射板の微調整などを含めたさまざまな改良が行われています。

さらには、壁面にウイスキーを貯蔵する樽の材料であるホワイトオークを使い、ステージ上のシャンデリアのデザインはシャンパングラスに立ち昇る泡をイメージしていることなども、洋酒メーカーならではのこだわりです。当初設置する予定がなかったパイプオルガンは、『オルガンのないコンサートホールは家具のない家のようだ』というカラヤンのアドバイスによって導入が決定し、今やサントリーホールの顔ともいうべき存在になっています。このような想いの積み重ねによって『サントリーホールに行ってみたい』と言われるお客様が増えたことは大きな励みになっています」。

 今では多くのコンサートホールや劇場で普通に行われているサービスが、30年前には初めてのことばかり。サントリーホールの誕生は、日本のクラシックの歴史におけるエポックメイキングな出来事だったのです。

コンサートホールを体験しよう

世界最大級の規模を誇るサントリーホールのパイプオルガン

世界最大級の規模を誇るサントリーホールのパイプオルガン

さて、そのサントリーホールを気軽に体験できる機会が用意されていることをご存じでしょうか? 1991年にスタートした「サントリーホール オルガン プロムナード コンサート」は、お昼のひと時を楽しむ無料のオルガンコンサート。世界最大級の規模を誇るサントリーホールのオルガンの響きに身を浸す時間が楽しめます。サントリーホールをもっと知りたいと思う方には、人気の「バックステージツアー」がお薦めです。

普段はなかなか見ることのできない楽屋や出演者のサイン色紙が並ぶアーティスト・ラウンジ見学のほか、パイプオルガンのミニコンサートまで用意されたこのツアーは、8月を除く毎月1回無料で行われています。さらには、毎年4月に行われる「オープンハウス ~サントリーホールで遊ぼう!」は家族連れに大人気。無料コンサートはもちろん、子どものためのワークショップやガイドツアーなどに毎年たくさんの人が集まります。コンサートホールの魅力を是非ご体験あれ。

ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団:「カラヤン/ラスト・コンサート1988」~ モーツァルト 交響曲第29番、チャイコフスキー 交響曲第6番 ~
今月の1枚

サントリーホールの響きの美しさを讃えて「音の宝石箱」という言葉を遺した巨匠カラヤン最後の来日公演を収めた感動的なライブ録音。会場となったサントリーホールの熱気を今に伝える名盤です。
ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団:
「カラヤン/ラスト・コンサート1988」
~ モーツァルト 交響曲第29番、チャイコフスキー 交響曲第6番 ~

ウエルネスライフマガジン 2016年2月号掲載分

インフォメーション