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リコーダー

子どものための楽器、だけじゃない!? 「リコーダー」

小学生の頃、音楽の時間に吹いた懐かしのあの楽器、といえば「リコーダー」を思い出す方も多いでしょう。「縦笛」とも呼ばれていますね。日本では子どもの学習用楽器として普及していますが、どこかノスタルジックで親しみやすい音色にひかれる大人の愛好家も多いのです。今ではポピュラーな存在のリコーダーですが、実は存亡の危機を経て現代によみがえった楽器だったとか。今回は、そんなリコーダーの歴史を振り返ってみましょう。

バロック時代の花形楽器、リコーダーの栄枯盛衰

その昔、王様や貴族が愛用していたリコーダーは象牙など貴重な素材で作られていました。現在では木製や、プラスチック製のものが一般的です。

その昔、王様や貴族が愛用していたリコーダーは象牙など貴重な素材で作られていました。
現在では木製や、プラスチック製のものが一般的です。

リコーダーは約1千年前に生まれ、ルネサンス時代(15世紀~16世紀頃)のヨーロッパでその形が完成し、宮廷などで当時の王侯貴族が好んで演奏していました。バロック時代(16世紀終わり~18世紀前半)に全盛期を迎え、オーケストラの花形としての地位も獲得し、かの大作曲家バッハやヘンデルもリコーダーのための曲を書いています。

しかし横笛のフラウト・トラヴェルソ(フルートの前身)の登場により、リコーダーは徐々に姿を消していきます。演奏の場が宮殿や館からより大きなコンサートホールへと変わっていく中、あまり大きな音を出すことができず、強弱もつけにくいリコーダーは、音のコントロールが自在でより表情豊かな音色をつむぎ出すフルートに取って代わられてしまい、18世紀末にはその姿はほとんど消えてしまうのでした。

奇跡の復活劇。リコーダーの第2の人生は子どもの情操教育とともに

アーノルド・ドルメッチ(右)と息子のカール・ドルメッチ(左)。古楽器復元に取り組んだ楽器工房にて(1929年)。 Photo: By kind permission of the Trustees of the Dolmetsch Archive.

アーノルド・ドルメッチ(右)と息子のカール・ドルメッチ(左)。古楽器復元に取り組んだ楽器工房にて(1929年)。
Photo: By kind permission of the Trustees of the Dolmetsch Archive.

そんなリコーダーが復活したのは20世紀の初め、19世紀末に起こった古楽復興運動(古い時代の音楽・楽器とその演奏法を復元する運動)がきっかけでした。当時イギリスで音楽教師をしていたアーノルド・ドルメッチは、音楽史上消えていったさまざまな楽器の復元に取り組み、1919年には最初のリコーダーを製作。翌年立ち上げた楽器工房は、リコーダー製作で名声を得ていきます。

ドルメッチは積極的にアマチュアの人々へもリコーダー普及を働きかけ、めぐりめぐって1959年、日本の音楽の授業にもリコーダーが登場したのでした。以来、ランドセルからのぞくリコーダーの姿を多く見かけるようになりました。

リコーダー界にテレマンあり。まずはこの作品・・・

ゲオルク・フィリップ・テレマンと聞いてピンときた方は、かなりのクラシック通、いえリコーダー通ではないでしょうか。リコーダーのための曲を数多く残した作曲家で、存命中のバロック時代には実はバッハやヘンデルをしのぐ人気があったそうです。膨大な作品の中でも「2本のリコーダーのための6つのソナタ」は大評判を呼びました。2本のリコーダーが織りなす調和、対立、緊張と緩和・・・まさに二重奏の魅力満載の作品です。

ソプラノリコーダーの運指表

リコーダーの演奏曲としては、バロックの名曲はもちろん、今ではポップス、ジャズ、アニメソングなど膨大なレパートリーがあります。家に眠っているかもしれないリコーダー、もう一度手に取って吹いてみてはいかがですか?

【参考文献】
『世界の楽器百科図鑑 楽器の起源と発展』(東洋書林)、『笛の楽園 僕のリコーダー人生』(東京書籍)、『3日でわかるクラシック音楽』(ダイヤモンド社)、『ポケット音楽ブックス4 楽器を知ろう』(ヤマハミュージックメディア)

「テレマン:ターフェルムジーク」(全曲)/ブリュッヘン&コンチェルト・アムステルダム
今月の1枚

数々のリコーダー演奏曲を残したテレマン作品の中で、「食卓の音楽」という意味の「ターフェルムジーク」。王侯貴族が食事をする際のBGMとして作曲された音楽なのだとか。極上のリコーダー演奏を聴きながら食事を楽しんでみるのはいかがですか?
「テレマン:ターフェルムジーク」(全曲)/ブリュッヘン&コンチェルト・アムステルダム

ウエルネスライフマガジン 2017年4月号掲載分

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