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新しい音楽ライフ始めよう

ギター派? ウクレレ派?「新しい音楽ライフ始めよう」

2020年は“ステイホーム”をきっかけに、新たな趣味として楽器演奏を始めた人が多かったようです。特に“ギター”と“ウクレレ”に人気が集まったようですが、皆さんの中にも「弾いてみたい」と思っている方がいらっしゃるのでは? 今回のコラムをきっかけに、「弾けたらいいな」から一歩踏み出して、新しい音楽ライフを始めてみてはいかがでしょう。

ギターとウクレレ、日本人と出合うまで

指で弦をはじいて音を出す「爪弾く(つまびく)」という言葉がありますが、平安時代に流行した『源氏物語』にはすでにこの表現が使われていたそうです。平安貴族が爪弾く琴(箏)や琵琶の音色は、さぞかし風流だったことでしょう。琵琶は、中東のペルシャ(現在のイラン)あたりが発祥の“ウード”という楽器がシルクロードを通って中国、日本へと伝わったものだといわれ、反対に、西へ広がったウードは“リュート”や“ギター”へと姿を変えていったそうです(諸説あり)。

「撥弦楽器の世界への広がり」の画像

こうして“指で弦をはじく楽器”はさまざまに枝分かれしましたが、ギターが世界を巡り日本に最初にやってきたのは、江戸時代末期、二度目のペリー来航の年(1854年)なのだそう。ペリー一行は江戸幕府の要人を招き、なんとか開国させようと飲めや歌えの大宴会。当時を記した『黒船来航絵巻』には、バイオリンやタンバリンなどと一緒にギターも入ったバンド演奏の様子が描かれています。この音楽外交が功を奏したのか、その後日本が開国を迎えたのは歴史が示す通りです。

一方ウクレレの歴史は、1878年にハワイへ渡ったポルトガル移民が手にしていた“ブラギーニャ”が始まり。ブラギーニャは“ピラ・リイリイ”と名前を変えて王室献上品となり、19世紀末には、農民たちが仕事終わりに音楽を楽しむ楽器“ウクレレ※”として広く普及しました。そして1920年代、ギターとウクレレなどで編成されたハワイアンバンドがアメリカ本土で活躍し、ウクレレブームが到来。同じころ日本でも第一次ウクレレブームがありましたが、ハワイに寄港した日本人船乗りたちが祖国にウクレレを持ち帰ったことから広がったのでは、といわれています。

※ウクレレ・・・ハワイ語で「飛び跳ねるノミ」(uku=ノミ、lele=跳ねる)という意味。

ギターとウクレレ、流行を振り返る

「主演映画『ブルー・ハワイ』のオリジナル・サウンドトラック」の画像

主演映画『ブルー・ハワイ』のオリジナル・サウンドトラック(写真)でウクレレを抱えるエルヴィス・プレスリー。

©️ソニー・ミュージックレーベルズ

高度成長期を迎えた日本に外国文化が流入した1960年代、若者はエレキのサウンドに酔い、ビートルズに熱狂し、フォークソングに心を揺さぶられ・・・その中心にはいつもギターがありました。ロックを盛り上げるエレキギター、弾き語りにはアコースティックギター、どんな曲でも万能にこなすクラシックギターと、さまざまなスタイルのギターは音楽に豊かな表情を生み出します。また、演奏人口が多いため教本も豊富で、「弾きたい!」と思った曲の楽譜が見つけやすいのもギターの魅力でしょう。

戦争で下火となったウクレレブームでしたが、1961年のサントリー(当時の株式会社寿屋)の広告「トリスを飲んでHawaiiへ行こう!」でハワイが大衆の憧れとなり、ヒット映画『ブルー・ハワイ』(’61年)や『ハワイの若大将』(’63年)で、それぞれ主演のエルヴィス・プレスリーと加山雄三がウクレレを手にしていたことから、“夢の国ハワイ=ウクレレ”という図式が出来上がり、ウクレレは一気に身近な楽器に。その後“ウクレレの神様”ハーブ・オオタやジェイク・シマブクロなど日系アーティストによる演奏がウクレレ独自のジャンルを築きました。「ポロロン」とどこか愛嬌(あいきょう)があり、温かみのあるサウンドが魅力です。

では、実際に弾いてみるならどっち・・・? ある楽器店の売り上げランキングでは、2020年6~8月に最も売り上げを伸ばした(前年同時期比)楽器はなんとウクレレ!※ 手軽に始められる楽器として初心者にも人気のようです。「でも、ウクレレの演奏ってハワイアンだけじゃないの?」。そんな疑問をお持ちの方へ、ウクレレでどんな曲が弾けるのか、次章で講師の方に聞いてみました!

※共同通信PRワイヤー 山野楽器『おうち時間が増えて「売れた商品」ランキングTOP10』を公開(2020年9月23日) より

今年は「ウクレレで弾き語り」も夢じゃない!?

「実はいろんな楽器で挫折して、たどり着いたのがウクレレなんです」と笑顔で話してくださったのは、ウクレレ演奏歴23年の鈴木舞里(すずき・まり)先生。「手の小さい私でも扱いやすく、他の楽器より演奏しやすかった」ことや、何よりも、ウクレレに合わせて歌うのが気持ちよかったことが長続きした理由だとか。ではさっそく、ウクレレサウンドを聴いてみましょう。

▲動画をご覧になるには、こちらをクリックください。
(音量にご注意ください)

干支で「丑(うし)年」にあたる年は、牛の歩みのようにゆっくりと、しかし着実に目標に向かって、コツコツ努力するのに向いている年だそうです。長年やりたかったことや、途中で挫折したけれど・・・ということにチャレンジするのに、丑年は向いているのかもしれませんね。

【参考文献】
『図説 ギターの歴史』(現代ギター社)
『ギターと出会った日本人たち ~近代日本の西洋音楽受容史~』(ヤマハミュージックメディア)
『丸ごと一冊ウクレレ』(枻出版社)

「「ジェントリー・ウィープス」ジェイク・シマブクロ(ウクレレ)
今月の1枚

ウクレレ界の第一人者ジェイク・シマブクロが、ウクレレの持つ魅力と可能性をあらゆる角度から追求したこのアルバムは、まさに小さな楽器が描き出す音楽の小宇宙。これからウクレレを始めようという方にもお薦めです。
「ジェントリー・ウィープス」ジェイク・シマブクロ(ウクレレ)

ウエルネスライフマガジン 2021年1月号掲載分

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