クラシックトリビア

3分間クラシック入門

皆さん、初めまして。クラシックソムリエの田中泰です。今月からクラシック音楽を楽しむための連載を開始します。タイトルは、「音の宝石箱」。これは、かの大指揮者ヘルベルト・フォン・カラヤンがサントリーホールの響きに感動して贈った愛称です。このタイトルの下、宝石箱を開くときのようなワクワクした気持ちをお届けしたい。そして、ひとりでも多くの方にクラシック音楽に親しんでもらいたい…そんな想いを込めて、レッツ・エンジョイ・クラシック!

身の回りの音楽に耳を傾けてみると・・・

ピアノ

最近、ショパンの「バラード第1番」が人気だということをご存じですか? その理由は、フィギュア・スケートの羽生結弦選手がショートプログラムで使用したから。フィギュア・スケートでは、演技の美しい動きに合わせてクラシック音楽が効果的に使われることが多いですよね。

普段の生活の中でも、病院の待合室やオフィスビルのトイレ、ホテルのラウンジ、高級レストランなど、あらゆる所でクラシック音楽は流れています。そう、私たちの身の回りにはクラシック音楽が溢れているのです。

クラシック音楽で思い出すのは、小・中学校の音楽の授業。音楽室に飾られていたバッハやベートーヴェンの肖像画を懐かしく思い出される方も多いでしょう。しかし、今や義務教育で全国民に音楽教育を行っている国は、世界中でなんと日本のみ。皆さん、クラシック音楽を楽しむ下地は充分あるはずなのです。これほど身近にあるクラシック音楽を楽しまない手はありませんよね。ということで、さっそく「音の宝石箱」を開いてみましょう。

「時代」と「ジャンル」で分類される、クラシック音楽

音楽の起源は、人の歌声だと言われています。そして、物を叩いたりこすったりして音を出す“楽器”が生まれ、音を書きのこす“楽譜”の登場により、世代を超えて同じ音楽を楽しめるようになりました。

過去から現在に至る西洋音楽の総称=クラシック音楽の歴史は、「中世・ルネサンス音楽(6世紀~16世紀)」「バロック音楽(17世紀初頭~18世紀半ば)」「古典派(18世紀初頭~19世紀初頭)」「初期ロマン派(19世紀前半)」「後期ロマン派(19世紀後半)」「近・現代音楽(19世紀末~現在)」というように時代で分けられます。

さらに、楽器や楽器編成の違いで「交響曲・管弦楽」「協奏曲」「器楽・室内楽」「オペラ・声楽曲(宗教曲)」「ピアノ・鍵盤楽器」というジャンルに分類できます。「時代」というタテ軸と「ジャンル」というヨコ軸があるのです(下図ご参照)。そして各時代の中には作曲家たちが存在し、そこに彼らの想いが込められた作品の数々が、ジャンルごとに散りばめられているというわけです。それぞれの時代・ジャンルについては、今後連載の中で少しずつご紹介していきます。

グラフ

クラシック音楽を楽しむことは、読書に親しむようなもの?

バイオリン

クラシック音楽の楽しみと言えば、長い歴史の中で生まれ、選ばれ、絞り込まれてきた名曲中の名曲を味わうことではないでしょうか。それはまさに、歴史的な文学作品を読むことに似ているのかもしれません。

バッハやモーツァルト、ベートーヴェンの曲を聴くことは、シェイクスピアやゲーテの名作に親しむことと同じなのです。そして、読書において好きな作品との出合いが重要なように、クラシック音楽でも、好きな曲との出合いがとても大切です。好きな文学作品に出合えば、その作家の他の作品を読みたくなりますよね。同じように、クラシック音楽の中で好みの曲が見つかったら、その作曲家の他の曲を聴いてみたくなるでしょう。

さらにクラシック音楽の奥深い点は、そこに“演奏者“という要素が加わることです。好きになった曲を、さまざまな演奏で聴いてみると、今度は自分好みの演奏者との出合いが待っているのです。ここまできたら、もう立派なクラシックファンの誕生です。まずは、好きな曲に出合いましょう。そして「いいな!」と思ったら、その曲名を調べてみましょう。その先に、きっと素敵なクラシック音楽の世界が広がっています。

ショパン:「バラード集/エフゲニー・キーシン(p)」
今月の1枚

ロシア生まれの鬼才・世界が注目する現代最高のピアニストの1人、
エフゲニー・キーシンによる秀逸のショパンアルバム。
ショパン:「バラード集/エフゲニー・キーシン(p)」

ウエルネスライフマガジン 2015年8月号掲載分

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