クラシックトリビア

音のシャワーに身を浸す快感を体験 「オーケストラを聴いてみよう!」

皆さんこんにちは。クラシックソムリエの田中泰です。前回の「コンサートホール その2」はお楽しみいただけましたか? 今回はクラシック音楽のシンボル、オーケストラの魅力に迫ります。レッツ・エンジョイ・クラシック!

チューニングは何の楽器の何の音?

オーケストラのチューニング(音合わせ)の時に基準となるのは、オーボエの「ラ」の音。

オーケストラとは、弦楽器、木管楽器、金管楽器に打楽器を加えた演奏団体の総称です。その語源は、古代ギリシャの円形劇場の舞台と観客席との間に設けられた空間を意味する言葉(オルケストラ)で、空間で演奏する合奏団そのものがオルケストラと呼ばれるようになったのです。17世紀ヨーロッパの王侯貴族たち専属の合奏団は、演奏会場が宮廷やサロンから大きな劇場やコンサートホールへと変化することによって編成が拡大され、ベートーヴェンが活躍した19世紀初頭には現代のオーケストラに近い形となりました。

ではここで、現代のオーケストラを構成する主要な楽器を紹介しておきましょう。まず弦楽器は、バイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス。木管楽器は、フルート、オーボエ、クラリネット、ファゴット。金管楽器は、ホルン、トランペット、トロンボーン、チューバ。そして打楽器は、ティンパニ、大太鼓、シンバルのほか、曲目によってさまざまな楽器が登場します。

さて、その中でオーケストラのチューニング(音合わせ)の時に、基準となる「ラ」の音を出す楽器がオーボエです。なぜオーボエかというと、長く安定した音を出しやすいことと、楽器の構造上音程を変えにくいというのが理由のようです。オーケストラをお聴きになる際には、楽器の配置のほか、チューニングの最初に聴こえる音にも注目してみてください。

オーケストラの名曲、お薦め10選

ギリシャ語で「完全なる調和の響き」という意味の“シンフォニー”を“交響曲”と訳したのは森鴎外だった。

さて、オーケストラの編成を理解していただいたところで、次はオーケストラが活躍する作品のジャンルと必ず聴いておきたい曲目をご紹介します。クラシック音楽の中でオーケストラが登場するジャンルには、「交響曲」「管弦楽曲」「協奏曲」「宗教曲」「オペラ」などが挙げられますが、今回は、作曲家たちがオーケストラのためだけに腕をふるった「交響曲」と「管弦楽曲」の中からそれぞれ聴いておくべき5曲を挙げてみます。

まずは「交響曲」。ギリシャ語の「完全なる調和の響き(シンフォニー)」という意味に由来する交響曲では、モーツァルトの第40番、ベートーヴェンの第5番「運命」、ベルリオーズの「幻想交響曲」、ドヴォルザークの第9番「新世界より」、チャイコフスキーの第6番「悲愴」。ちなみにシンフォニーを「交響曲」と翻訳したのは森鴎外であることも覚えておきたいポイントです。「管弦楽曲」では、バッハの「管弦楽組曲」、ムソルグスキーの「展覧会の絵」、リムスキー=コルサコフの「シェエラザード」、ラヴェルの「ボレロ」、ストラヴィンスキーの「春の祭典」。まずはこの10曲からオーケストラの魅力に触れてみてください。

オーケストラの響きを体験しよう

オーケストラの“生”演奏を聴いて、音のシャワーに身を浸す体験を。

オーケストラ公演を選ぶには、まずは前述のような有名曲が含まれた公演を選ぶのがお薦めです。東京には9つのプロ・オーケストラが活動しているほか、全国各地にさまざまなオーケストラが存在しますので聴き比べの楽しみを味わってみてください。さらには、有名な指揮者や海外オーケストラの来日公演をチェックするのも楽しみの1つ。同じ曲でも指揮者やオーケストラの違いによって印象がかなり変わります。

ちなみに、世界3大オーケストラとは、ベルリン・フィル、ウィーン・フィル、そしてロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の3つを指すことが多いようです。オーケストラの奏でる音のシャワーに身を浸す快感をご体験あれ。

ストラヴィンスキー:バレエ音楽「春の祭典」
今月の1枚

クラシック史上に残るスキャンダルとなった初演から100年目の録音。現代最高の機能を誇るベルリン・フィルの演奏によって新たな魅力が加えられた「春の祭典」は、現代オーケストラの底力を体験するのにピッタリの1枚。
ストラヴィンスキー:バレエ音楽「春の祭典」

ウエルネスライフマガジン 2016年3月号掲載分

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