宮廷の広間(Chamber)で演奏された音楽が語源といわれるチェンバーミュージック。
クラシックの中でも特に奥行きの深いジャンルと言われる「室内楽」は、美しい旋律の宝庫だということをご存じでしょうか。本来は王侯貴族の館で演奏される音楽の総称である「室内楽」は、英語ではチェンバーミュージックと呼ばれて親しまれています。
その内容は、複数の奏者が共演するスタイルを基本に、小規模な管弦楽編成までをカバーする、いわばクラシック音楽のエッセンスをギュッと詰め込んだようなジャンルなのです。弦楽器はもちろん管楽器や打楽器に歌声など、その組み合わせは自由自在。古今の作曲家たちの創作意欲を刺激するに充分な土壌がここにあると言っても過言ではありません。
そのためでしょうか、「室内楽」分野の作品数は、クラシックの全てのジャンルの中で最大です。代表的な編成としては、デュオ(二重奏)、トリオ(三重奏)、クァルテット(四重奏)、クインテット(五重奏)、ゼクテット(六重奏)、ゼプテット(七重奏)、オクテット(八重奏)などが挙げられますが、その内訳となる楽器編成がさまざまなのも「室内楽」の面白さ。例えばトリオ(三重奏)を例に挙げてみると、ピアノ・トリオ(ピアノ、バイオリン、チェロなど)や、弦楽トリオ(バイオリン、ヴィオラ、チェロなど)のほか、クラリネット・トリオ(クラリネット、バイオリン、チェロなど)のような編成が存在します。ちなみに同じピアノ・トリオでもジャズの世界では、ピアノ、ドラムス、コントラバスの組み合わせがスタンダードになるのも押さえておきたいポイントです。