クラシックトリビア

「子どもと一緒に、クラシック」のイメージ写真

聴きたい、聴かせたい! 「子どもと一緒に、クラシック」

クラシック音楽は大人の教養、と思われる方も多いと思いますが、子ども向けに作られた曲にも数々の傑作があります。脳に良い、感情を育てるなど、成果重視の選曲もありますが、今回は「無邪気な子どもに戻って楽しめる」、「子どもと一緒に面白がれる」クラシックの名曲をピックアップします。

クラシック初体験でも楽しめる。小さな子どもたちと

「『おもちゃの交響曲』に登場するおもちゃの楽器」の画像

『おもちゃの交響曲』に登場するおもちゃの楽器は、現在、ドイツ・バイエルン州の博物館に所蔵されている。

自然の音や動物の鳴き声、人の動きなどを言語化した、擬音語・擬声語・擬態語を指す「オノマトペ」。足を「ドンドン」踏み鳴らしたり、星が「キラキラ」と輝いたり・・・そんなオノマトペが音楽になったような作品を紹介します。

まずは、フランスの作曲家カミーユ・サン=サーンスの『動物の謝肉祭』。〈ライオン〉の勇ましい行進に続いて〈めんどりとおんどり〉がせわしなく動き、〈ラバ〉は大きな荷物を背負って転びそう・・・ユーモラスな楽器の響きが想像力をかき立てます。13曲目の〈白鳥〉では、水面を滑るように泳ぐ白鳥の優美さがチェロで見事に表現されています。

もうひとつは、『おもちゃの交響曲』。弦楽器のメロディーに合わせ、おもちゃの楽器のカッコウ、ウズラ、ガラガラなど(下図参照)が、にぎやかな森の動物たちを演じます。作者は諸説あり、天才モーツァルトの父、レオポルト・モーツァルトの作品として世に出たこともありますが、最近では、おもちゃの楽器の生産地(ドイツ・バイエルン州)が近いことからチロル地方の神父エトムント・アンゲラー説が有力です。

出てくる動物を予想したり、鳴き声をまねしたり。どちらも小さな子どもが夢中になりそうですね。

子どものころに見た風景や、一瞬の輝きを映し出す

「幻想的な風景」のイメージ画像

幻想的な風景を思わせる美しいメロディーは、どこか懐かしさを誘う。

次にご紹介するのは、「子どもの目で見た世界」がみずみずしく描かれ、私たち大人を懐かしい子ども時代に連れ戻してくれる、そんな作品です。

まずは、ロベルト・シューマンの『子供の情景』。繊細すぎるがゆえに早世したシューマンが未来の妻クララを想いながら「平和で、やさしく、幸福で、ちょうど私たちの未来のように・・・」と語った、2人のつかの間の幸せが凝縮したようなピアノ曲集。クララの子どもっぽいしぐさに触発されて書き始めたという曲の数々は、〈鬼ごっこ〉〈おねだり〉〈暖炉のそばで〉など、やさしさに包まれた子どもの日常そのものです。7曲目の〈トロイメライ(夢)〉はオルゴールなどにも使われますので、一度は耳にしたことがあるのでは。

クロード・ドビュッシー『子供の領分』も、子どもの観察力や奇想天外な発想にあふれた組曲。43歳のときに授かった娘のために書いたといわれていますが、ドビュッシー自身が子どもに戻って音符と遊んでいるような印象です。4曲目〈雪は踊っている〉では、はらはらと舞い落ちる雪に埋まっていくような、不思議な感覚にとらわれます。

知る人ぞ知る名作で、オーケストラの仕組みを知る

「オーケストラ」のイメージ画像

曲を聴けば、クラシック音楽の初心者にもオーケストラの楽器編成がやさしく分かるというユニークな作品。

『青少年のための管弦楽入門』という、一風変わったタイトル。「昔、音楽の授業で習った」と、ご記憶の方もいらっしゃるでしょう。英国放送協会(BBC)が製作した音楽教育映画のために作られたこの曲は、イギリス人作曲家ベンジャミン・ブリテン作“楽曲による音楽の入門書”。演奏で使用されるすべての楽器による壮大な合奏から始まり、次にオーケストラを構成する4つのグループ、木管楽器、金管楽器、弦楽器、そして打楽器が代わる代わる主題を演奏、再びオーケストラ全体で美しいハーモニーへと戻っていきます。このように、オーケストラの楽器別の役割を次々と“楽曲で”解き明かす一方、芸術作品としても高く評価されています。

タイトルの「青少年」は、若者というよりは“オーケストラの初心者”を指し、オーケストラの複雑な仕組みがやさしく学べることを示唆しています。楽器を習っている、という子どもと一緒に聴くと、より楽しめそうですね。

家族や親せきが集まるお正月やお盆など、子どもたちとのコミュニケーションが深まるひとときに、一緒にクラッシック音楽を楽しんではいかがですか?

「サン=サーンス:組曲『動物の謝肉祭』、プロコフィエフ:『ピーターと狼』」のCDジャケット写真
今月の1枚

動物を音楽で表現したクラシックの傑作といえば、サン=サーンスの組曲『動物の謝肉祭』。プロコフィエフの『ピーターと狼』をカップリングしたこのアルバムは、小さな子どもがクラシックに親しむのにピッタリの1枚です。
カール・ベーム指揮、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団「サン=サーンス:組曲『動物の謝肉祭』、プロコフィエフ:『ピーターと狼』」

ウエルネスライフマガジン 2019年7月号掲載分

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