「サントリーホールの顔」ともいうべきパイプオルガンの構造や、演奏の難しさについては以前にこのコラムで触れましたが、今回は、その荘厳な響きを迫力の映像とともに体感いただけるコンテンツのご紹介です。
照明を落とした無人の大ホールに、ぽっかりと浮かび上がる巨大なパイプオルガン。厳かに流れるメロディーは、一つの旋律がさまざまに形を変え、繰り返され重なっていく“変奏曲”というスタイルの「パッサカリア」。パッサカリアはイタリアやスペインで流行した舞曲で、バロック時代(17~18世紀)に様式化されたものです。
ここで演奏されるパッサカリアは、バロックの繁栄から1世紀以上を経た1863年生まれの作曲家兼オルガニスト、ウィルヘルム・ミッデルシュルテの手によるもの。最初に繰り返される「シ♭-ラ-ド-シ」の旋律は“音楽の父”バッハ(BACH)のスペルを音名変換※したもので、「バッハ、バッハ、バッハよ!」とオルガンを通して繰り返し叫んでいるようです。
お持ちであれば、ぜひヘッドファンで聴いてみてください。重厚なオルガンの音色が心を揺さぶります。