過眠症とは?
過眠症のおもな種類や原因、受診すべき医療機関について紹介

十分に睡眠をとっているはずなのに、「日中眠くてたまらない」「眠気に耐えられず居眠りしてしまう」ということはありませんか?

意志の力で目覚めていられない場合は、睡眠障害の一つ「過眠症」の可能性があります。

この記事では、過眠症の概要と、過眠を起こす病気の種類と原因について解説します。また、受診を考えるならどうすべきかについても紹介しているので、過眠が気になる方は参考にしてください。

1.過眠症とは?

夜間に十分寝ているにも関わらず、昼間に起きていられないほどの眠気に襲われる状態を「過眠」と呼びます。健康な人でも午後に眠気が出ることはありますが、目覚めていられないほどの病的な眠気は要注意です。

過眠があると、会議中やパソコンでの仕事中、試験時間、食事や歩行の最中など、通常では考えられないような状況においても、居眠りをすることがあります。仕事や学校生活に支障が出るだけでなく、転倒などけがの危険性も考えられます。

特に車の運転や大型機械を扱うような仕事の場合は、大きな事故につながる可能性もあるため、放置せず適切な治療を受けることが重要です。

2.過眠症のおもな種類と原因

過眠症は一つの病気のみを指すのではなく、過眠を引き起こすいくつかの病気が原因となっています。

ここからは、過眠症に含まれるおもな病気の種類と、その原因について解説します。

2-1.ナルコレプシー

ナルコレプシーは古くから知られている代表的な過眠症で、耐えがたいほどの強い眠気が突然出現し、睡眠発作を起こします。

その眠気は強烈で、食事中や歩行中、入学試験など通常なら眠れるはずのない状況でも眠り込んでしまいます。本人が眠気に気付く前に眠りに落ちてしまうので、眠ったことに気付いていない場合もあるほどです。

眠気のほかには、驚いたり大笑いしたりしたときに全身または体の一部の力が抜けてしまうカタプレキシー(情動脱力発作)、寝入りばなに出現しやすい金縛り(睡眠麻痺)や幻覚様体験(入眠時幻覚)といった症状も見られます。

ナルコレプシーの原因は、覚醒を維持する脳内物質(ヒポクレチン/オレキシン)を作る神経細胞の変性・脱落に由来するとされています。

2-2.突発性過眠症

特に睡眠不足が慢性化していない場合で、日中に強い眠気が出て日常生活に影響がおよぶ場合、突発性過眠症の可能性があります。

日中の眠気という点ではナルコレプシーと似ていますが、突発性過眠症では、ナルコレプシーに見られる情動脱力発作や睡眠麻痺、入眠時幻覚があまり見られないことで判別します。

また、幼少時からよく眠ることが多く、夜間の睡眠時間が10時間以上になるケースがあります。昼寝も1時間以上と長く、長く寝ても起きたときにすっきりしていない点も特徴です。

原因は特定されていませんが、家族間で過眠が目立つ傾向があるため、睡眠や覚醒に関わる遺伝的な背景が関わっていると考えられています。

2-3.薬剤の副作用による過眠

服用した薬の副作用により、過眠になる場合があります。

具体的には、抗ヒスタミン作用のある風邪薬・抗うつ薬・抗不安薬・抗アレルギー薬などの服用で、日中に眠気が生じやすくなります。

3.「過眠症かも」と思ったら何科を受診したらいい?

「もしかしたら過眠症かも」と思った場合、どのような病院を受診すれば良いのでしょうか。

過眠症は睡眠障害の一つですが、過眠が起こる原因はさまざまなので、検査や診断の方法も病気によって異なります。睡眠障害を専門にしている医療機関や医師が見つからない場合、まずはかかりつけ医に相談してみてください。

かかりつけ医が睡眠の専門でない場合でも、睡眠障害に関する知識がある医師なら、問診と診察で診断できる場合もあります。また、かかりつけ医から専門医療機関を紹介してもらうこともできるでしょう。

過眠症の可能性があれば「かかりつけ医」に相談を

十分に睡眠時間が確保できているにも関わらず、日中に耐えがたい眠気を感じる場合は、過眠症の可能性があります。過眠症は転倒や事故などの危険性もあるため、過眠に悩んでいる方は、必要な検査・治療を受けることが大切です。

過眠症にはいくつかの種類があるので、心配な場合はまずかかりつけ医に相談し、専門医の受診が必要かどうかなどを判断してもらうことをおすすめします。

監修者情報

氏名:高橋健太郎(たかはし・けんたろう)
循環器内科医として臨床に関わりながら、心血管疾患のメカニズムを解明するために基礎研究に従事。現在はアメリカで生活習慣病が心血管疾患の発症に及ぼす影響や心血管疾患の新しい治療法の開発に取り組んでいる。国内・海外での学会発表や論文報告は多数。
日本内科学会認定内科医、日本循環器学会所属。