副交感神経とは?高める方法や優位すぎるとどうなるか解説

「副交感神経の働きを高めるにはどうしたら良いの?」「副交感神経が高まりすぎると良くないの?」など、副交感神経に関する疑問を持っている方も多いのではないでしょうか。

自律神経の一種である副交感神経はリラックス時に働きが高まり、心拍数を下げたり、腸の蠕動運動を促進したりと全身にさまざまな作用をもたらします。副交感神経と交感神経のバランスが損なわれると心身の不調につながります。

今回は副交感神経の働きを高める生活のポイントや、副交感神経が優位すぎる場合に考えられる現象などを解説します。

1.副交感神経とは?

副交感神経は体を休めるときに働く神経で、自律神経の一種です。自律神経とは自分の意思とは無関係に働く神経のことであり、血圧や心拍数の調整、消化管運動、発汗など全身の機能に関与しています。

自律神経は副交感神経と交感神経に分けられ、静養時には副交感神経、活動時には交感神経の働きが高まります。副交感神経と交感神経は逆の働きを担っており、協調し合ってバランス良く働くことが大切です。しかし、ストレスや生活習慣の乱れなどが原因で、自律神経のバランスが乱れてしまう場合もあります。

日中は交感神経が優位な状態となって活動的に過ごし、夕方以降は副交感神経が優位な状態へと少しずつ変化して夜の眠りにつながるのが本来の状態です。しかし、自律神経のバランスが崩れると夜も交感神経が刺激されて「活動モード」の状態が続いてしまいます。自律神経のバランスが損なわれると、だるさや不眠、イライラ、下痢、便秘などさまざまな不調が出現します。

2.副交感神経を高めるためにできること

自律神経のバランスが崩れると、交感神経の優位な状態へと傾きがちになり、脳や全身が活動的な状態になってしまいます。

日常生活で意識的に副交感神経の働きを高めるようにすると、自律神経のバランスを整えることにつながります。

具体的なポイントは以下の2つです。

2-1.睡眠や運動、食事などの生活習慣

生活習慣の乱れは、副交感神経と交感神経のバランスを乱すきっかけになります。例えば、昼夜逆転のような不規則な生活リズム、睡眠不足、長時間座りっぱなしで運動量が低下した状態、栄養バランスの悪い食事などは、自律神経のバランスを不安定にさせることが知られています。

副交感神経の働きを高めるためには、睡眠の質を良くしたり、栄養バランスの良い食事をとったりすることが大切です。また、ストレッチ運動には副交感神経の活動を優位にさせる働きがあるため、積極的に取り入れましょう。気持ち良いと感じる程度の強さで、深く息を吐きながら30秒以上かけてゆっくりと筋肉を伸ばしていくと効果的です。

2-2.リラックスする時間を作る

リラックス状態になると、副交感神経の働きが高まります。ストレスは自律神経のバランスを乱す大きな原因となるため、普段から意識的にストレス対策を行ない、リラックスできるようにしましょう。

例えば、高音域の音楽や小川のせせらぎのようなゆらぎのある音を聞くと副交感神経が優位に働き、リラックス効果があるといわれています。ゆっくり読書をしたり、入浴したり、自分の好きなストレス解消法を取り入れましょう。また、半身浴は副交感神経の働きを高めることが知られています。

3.副交感神経が優位すぎるとどうなるか

日常生活では交感神経の優位な状態へと傾きがちですが、一方で副交感神経が優位すぎても不調につながります。副交感神経ばかりが活発になると心身の活動力が低下したり、泌尿器系のトラブルが起こったりする可能性があります。

泌尿器トラブルの例として、過活動膀胱は副交感神経の刺激によって引き起こされるもので、尿意切迫感や頻尿、尿漏れなどが代表的です。

副交感神経と交感神経は片方に大きく偏るのではなく、ほぼ平衡に保たれているのが健康的な状態といえます。

自律神経のバランスを維持して心身を健やかに保とう

活動時に働きが高まる交感神経と静養時に働きが高まる副交感神経は、ともに自律神経と呼ばれ、生命機能の維持のために24時間休まず働き続けています。

自律神経のバランスが乱れると、消化器や循環器など全身の不調につながるため、注意が必要です。

日頃から生活習慣を整え、ストレス対策をして、自律神経を適切なバランスに保つよう意識しましょう。

監修者情報

氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。