1.レム睡眠とノンレム睡眠とは?
レム睡眠とノンレム睡眠とでは、脳波に大きな違いがあります。まずは、それぞれの違いについて見ていきましょう。
1-1.レム睡眠とは
レム睡眠とは、骨格筋の活動低下や急速眼球運動が見られる睡眠段階です。急速眼球運動を英語で表した「Rapid Eye Movements」という言葉から頭文字を取り、レム(REM)睡眠と呼ばれています。
レム睡眠は、深い睡眠であるノンレム睡眠のあとに見られるものです。レム睡眠の段階では、夢を見ていることが多いといわれています。
一晩の睡眠のうち、レム睡眠が占める割合は20%程度です。起床の時間が近づいてくると、次第にレム睡眠の持続時間が長くなっていきますが、成人以降にはこの時間が減少していきます。
1-2.ノンレム睡眠とは
ノンレム睡眠とは、副交感神経が優位になっている睡眠状態のことです。睡眠の深さによって、ステージ1から4までの4段階に分けられ、ステージが進むにつれて睡眠が深くなっていきます。
ノンレム睡眠の持続時間は、朝方になるにつれて短くなることが一般的です。また、起きている時間が長く、体をよく動かすほどノンレム睡眠の時間は長くなるといわれています。
1-3.睡眠のメカニズムについて
通常、夜になるとヒトが眠気を感じるのは、メラトニンが分泌されているためです。メラトニンは催眠作用を持つため、分泌量が増えると眠気を感じるようになります。
また睡眠欲求が強くなることも、眠くなる原因の一つです。起きている間に体をよく動かしたり、長い時間起きていたりすると、睡眠欲求が強くなり眠くなります。
睡眠欲求と覚醒力の両方がうまく働くことで、ヒトは起きたり寝たりを繰り返しています。徹夜をしても昼過ぎに眠気が引いていくのは、睡眠と覚醒のリズムがついているためです。
睡眠中には、レム睡眠とノンレム睡眠を繰り返し、90分おきにレム睡眠が現れます。
2.睡眠と健康の関係について
睡眠不足は、健康に直接影響します。そのため、質の悪い睡眠が続くと、心身には次のような影響が現れるでしょう。
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・日中に眠くなる
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・記憶力が低下する
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・意欲が低下する
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・生活習慣病にかかりやすくなる
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・イライラしやすくなる
特に生活習慣病は、睡眠と大きな関係があることがわかっています。
2日続けて睡眠不足になるだけで、食欲を高めるグレリンというホルモンが増え、食欲を抑えるレプチンというホルモンの分泌量が減少します。その結果、食欲増加により肥満になったり、血糖値が高くなったりしてしまうのです。
3.睡眠の質を向上させるためのポイント
睡眠の質を向上させて健康に過ごすためには、以下のポイントを押さえておきましょう。
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・規則正しい生活を送る
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・定期的に運動を行なう
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・朝起きたら日光を浴びる
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・朝食をとり、寝る直前の食事は控える
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・就寝の2~3時間前に入浴する
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・室内を寝やすい環境にする
運動は、ランニングや速歩など軽いもので構いません。寝る3時間前くらいから、運動を行なうのが効果的です。
また、体内時計を整えるために、朝起きたら日光を浴びることも大切です。日光を浴びて、ずれた体内時計をリセットしましょう。
食生活においては、朝食をきちんとること、寝る直前の食事は控えることが大切です。寝る前に食事をとると、消化のために睡眠が妨げられるので避けましょう。
一時的に体温を上げると寝付きが良くなることから、就寝2~3時間前の入浴にも効果があります。そして、夜寝る際には部屋を暗く静かな状態にして、光や音に邪魔されない環境に整えてください。
質を向上させて良い睡眠をとろう
ノンレム睡眠とは、副交感神経が優位になっている状態の睡眠のことです。睡眠の深さに応じてステージ1から4まであり、ステージが進むほどに眠りが深まります。
寝不足になると日中に眠くなったり、生活習慣病にかかりやすくなったりするため、日頃からしっかり睡眠をとるように意識しましょう。
睡眠の質を上げるためには、定期的に運動を行なう、就寝の2~3時間前に入浴するなど、この記事で紹介したポイントを実践してみてください。
監修者情報
氏名:高橋健太郎(たかはし・けんたろう)
循環器内科医として臨床に関わりながら、心血管疾患のメカニズムを解明するために基礎研究に従事。現在はアメリカで生活習慣病が心血管疾患の発症に及ぼす影響や心血管疾患の新しい治療法の開発に取り組んでいる。国内・海外での学会発表や論文報告は多数。
日本内科学会認定内科医、日本循環器学会所属。