女性に多い自律神経失調症のおもな原因・症状とは?
自律神経を整えるためのポイントを紹介

自律神経失調症は女性に多くみられる現象です。その理由には、女性特有の生理現象のサイクルやホルモンの変化が関係しています。

そこでこの記事では、女性に多い自律神経失調症のおもな原因と現象、自律神経を整えるためのポイントを紹介します。

1.自律神経失調症のおもな原因・現象とは

はじめに、自律神経失調症のおもな現象と原因について解説します。

1-1.自律神経失調症について

自律神経失調症は、ストレスが原因で自律神経の働きが崩れることによって起こるさまざまな現象です。

自律神経は、自分の意思とは関係なく、刺激に反応して体を動かしています。例えば、暑い夏に、汗を出そうと思っていないのに勝手に汗が出てしまうのは、自律神経が働いているからです。

自律神経には、交感神経と副交感神経の2種類が存在し、対となる役割を担っています。積極的に体を動かすときには交感神経が優位になり、体を休め、動かしていないときには副交感神経が優位になります。

しかし、お互いの神経のバランスが崩れてしまうと体を制御できなくなり、次のような肉体的・精神的な状態の変化がみられます。

【肉体的な変化】

  • ・頭痛や頭が重い感じ

  • ・疲れ目やまぶたのけいれん、ドライアイ

  • ・耳鳴りや耳の閉塞感

  • ・口の渇きや味覚異常

  • ・動悸やめまい、冷え

  • ・息苦しさや息切れ

  • ・吐き気や胃の不快感

  • ・手足のしびれや痛み、冷え

  • ・肩こりや筋肉の痛み

  • ・だるさや疲れ、食欲不振 など

【精神的な変化】

  • ・イライラ

  • ・すぐ悲しくなり落ち込む

  • ・気力がない

  • ・不安感

  • ・集中力が続かない など

これらは複数が同時に出たり、時間経過とともに変化したりすることもあり、個人によって差が大きいのが特徴です。

1-2.自律神経失調症のおもな原因

自律神経失調症は、さまざまな原因で起こりますが、おもな原因は以下のとおりです。

  • ・精神的ストレス

  • ・生活習慣の乱れ

  • ・更年期障害(ホルモンバランスの乱れ)

  • ・先天的要因

適度なストレスは、生きるために必要です。しかし、あまりに過剰なストレスを受けると交感神経が常に働いている状態になります。体は休めないのに、疲れやダメージだけが蓄積されていくのです。

生活習慣が乱れて自律神経が常に興奮するような状況には、注意が必要です。また、更年期になるとホルモンバランスが崩れるため、自律神経失調症になりやすいでしょう。

2.自律神経失調症が女性に多いのはなぜ?

自律神経失調症は、女性に多い傾向にあります。その理由は、排卵・月経・妊娠・更年期といった女性に特有な性周期で分泌されるホルモンと自律神経に深い関わりがあるからです。

自律神経には、ホルモンを調整する働きがあり、ホルモンが低下すると自律神経も乱れます。例えば、更年期になると女性ホルモンのエストロゲンの分泌が減少します。そうすると、自律神経を統括している視床下部という脳の機能が乱れ、血管の収縮・拡大の調整が適切にできなくなり、急な顔の火照りや多汗、のぼせといったホットフラッシュという現象が出ます。

また、更年期障害も、自律神経失調症と同じような現象がみられるのが特徴です。例えば、身体的な変化では動悸・息切れ・異常な発汗・のぼせ・耳鳴り・めまいなど、精神的な変化ではイライラ・不安感・不眠などがあります。

更年期障害は正しい知識を身につけ、事前に対策をしておきましょう。

3.自律神経を整えるためのポイント

乱れた自律神経を整えるポイントは次の4つです。

  • ・生活習慣の改善

  • ・ストレスを溜め過ぎない

  • ・十分な睡眠をとる

  • ・運動を習慣化する

人間の体の中にある体内時計は、一日の行動サイクルに沿って調整されており、神経や内臓が動くようになっています。

規則的な生活や食事を含む生活習慣は、自律神経を整えるために重要なことです。起床・就寝や食事の時間を決め、それに沿った生活を送るとリズムが整いやすくなるでしょう。また、ストレスを溜め込まないように、うまく発散することが大切です。ついネガティブな考え方をしてしまう方は、ポジティブに考えることを意識しましょう。

睡眠をしっかりとり、休息時間を設けることも大切です。体を動かす習慣を身につけることも、自律神経失調症の予防・改善に役立ちます。

女性に多い自律神経失調症はホルモンが影響

自律神経失調症は、特に女性に多い傾向にあります。なぜなら、排卵・月経・妊娠・更年期などの周期で分泌されるホルモンと自律神経に関連があるからです。

自律神経は、ホルモンの分泌にも関与しており、ホルモンの分泌状況に合わせて自律神経も影響を受けます。自律神経失調症にならないように対策を立てるのであれば、生活リズムを整えて、きちんと休憩を取ることが大事です。また、定期的な運動も効果的です。

自律神経失調症で悩んでいる方は、規則的な食事や生活、ストレス解消を心がけ、睡眠や休憩を十分とり、運動を習慣にしましょう。

監修者情報

氏名:高橋健太郎(たかはし・けんたろう)
循環器内科医として臨床に関わりながら、心血管疾患のメカニズムを解明するために基礎研究に従事。現在はアメリカで生活習慣病が心血管疾患の発症に及ぼす影響や心血管疾患の新しい治療法の開発に取り組んでいる。国内・海外での学会発表や論文報告は多数。
日本内科学会認定内科医、日本循環器学会所属。