骨格筋とは?筋肉の働きや種類・特徴について解説

筋肉と一口にいっても数が多く、形状や役割はそれぞれ異なります。そして、その筋肉の大半を占めているものが「骨格筋」です。

骨格筋は日常生活における基本的な動作に関連しているため、筋肉のメカニズムや働きといった知識を押さえておけば、健康の維持・促進にも役立つでしょう。

今回の記事では、骨格筋の概要を踏まえつつ、おもな働きや骨格筋の種類・特徴について解説します。

1.骨格筋とは

筋肉は大きく分けると、以下の3種類があります。

  • ・骨格筋

  • ・心筋

  • ・平滑筋

ここでは、骨格筋にフォーカスして基礎的な情報をまとめています。

1-1.骨格筋について

骨格筋とは、骨格に沿って付いている筋肉のことです。平滑筋と、表面に横じま模様が入っている横紋筋に分類されます。

通常“筋肉”と呼ぶのは、この骨格筋であることがほとんどです。人体にはおよそ400種類もの骨格筋が分布しているので、筋肉の代名詞的存在といえるでしょう。

骨格筋は運動神経の支配下に置かれていて、自分の意思で動かせる随意筋であるのが特徴の一つです。

1-2.骨格筋の働き

骨格筋は人体を動かすうえで重要な筋肉で、体を動かしたり姿勢を保ったりする際に使われます。そのため、筋力トレーニングや有酸素運動できちんと鍛えることが大切です。

体を動かす際には、骨格筋が主動筋や拮抗筋という2つの役割に分かれ、前者は文字どおり主軸として動き、後者は主動筋と真逆の動きをします。膝を伸ばす動きを例に挙げると、主動筋にあたるのが大腿四頭筋、拮抗筋にあたるのがハムストリングスです。

また、姿勢を維持する動作は、関節・足裏などの感覚や視覚から得られた情報が脳で処理され、骨格筋に指令が送られることで成立します。

2.骨格筋の種類と特徴

骨格筋は筋繊維という、直径20~100μmほどの極めて細い細胞が集まって構成されているものです。収縮速度や構造などの違いから、筋繊維は以下の2種類に分けられます。

  • ・速筋(白筋)

  • ・遅筋(赤筋)

それぞれ特徴を解説します。

2-1.速筋(白筋)

速筋は「白筋」とも呼ばれるように、白っぽい色をした筋肉です。負荷が大きく、少ない回数で行なうトレーニングで、効率的に鍛えられます。

速筋は収縮速度の速さから、大きなパワーが即座に発揮できることが特徴です。ウエイトトレーニングや瞬発力が求められる短距離走などでは、速筋の働きが重要になります。ただし、速筋は持久力に乏しいので、長時間にわたって収縮を維持することはできません。

また、20歳頃から衰え始めるなど、後述する遅筋と比べて老化しやすいことも欠点です。

2-2.遅筋(赤筋)

遅筋は「赤筋」とも呼ばれるように、赤みを帯びて見える筋肉です。小さい負荷で回数を多くこなすと、効率良く鍛えられるでしょう。

遅筋は、速筋とは対照的に収縮速度が遅く、大きなパワーを出せません。その代わり持久力に優れ、一定の張力を長くキープできる特徴があります。持続的な運動力が求められるマラソンなどでは、遅筋の働きが重要です。

また、遅筋は加齢の影響を受けにくく、衰える速度が遅いことも強みといえるでしょう。

健康維持には骨格筋のトレーニングが必須

骨格筋は、体を動かしたり姿勢を保ったりと、最も基本的な動作を担っています。人体において重要な筋肉であるため、日頃から筋力トレーニングや有酸素運動に取り組んで、しっかり鍛えたいところです。

骨格筋はさらに速筋と遅筋に分かれ、それぞれ異なる特徴を持っています。その違いも押さえておけば、より効率的なトレーニングを実践できるでしょう。

監修者情報

氏名:梅村 将成(うめむら・まさなり)
外科医として地方中核病院に勤務中。
消化器外科のみならず総合診療医として、がん治療(手術・抗がん剤・緩和治療/看取り)を中心に、幅広く内科疾患・救急疾患の診療を行なっている。
資格:医師免許・外科専門医・腹部救急認定医