1.「スクワット」とはどのようなトレーニング?
スクワットとは、レジスタンス運動の一種です。
レジスタンス(Resistance)は直訳すると「抵抗」ですが、標的とする筋肉に繰り返し負荷をかける動作を行なう運動のことを、レジスタンス運動といいます。スクワットをはじめ、ダンベル運動や腕立て伏せなどがこれに該当します。
スクワットは自分の体重を負荷として、「しゃがむ」「立ち上がる」という動作を繰り返すことで、下肢をまんべんなく鍛えられる運動です。
特別な器具は必要なく自宅で行なえるうえに、フォームや方法を工夫すれば、負荷を調節することもできます。
スクワットは、手軽に始められる筋力トレーニングとして、無理のない範囲で継続して行なうのが効果的です。
2.スクワットの種類
ここからは、スクワットの種類をいくつか紹介します。
2-1.股関節スクワット
お尻を後ろに突き出し、上半身を前傾させて行なうスクワットです。股関節の伸展に関わるハムストリングス(太もも裏の筋肉)や大臀筋(お尻にある大きい筋肉)に、強い負荷をかけられます。
膝を痛めにくいため、安全に行なえるスクワットといえるでしょう。
【方法】
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1. 足を肩幅より少し広げて立つ。つま先は外側に少し(30度ずつ)開いておく。
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2. 膝がつま先より前に出ないように注意しながら、お尻を突き出すような形でゆっくりと膝を曲げていく。膝がつま先の方向を向いていること、呼吸を止めないことを注意しながら行なう。
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3. そのあと、ゆっくりと体を戻す。
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4. この動作を、深呼吸をするようなペースで5~6回繰り返す。
動作に不安がある場合は、机や椅子に手を添えてスクワットを行なってもよいでしょう。
2-2.椅子スクワット
高齢者など立ったままでいるのが難しく、通常の股関節スクワットができない場合は、安全に行なえる椅子スクワットがおすすめです。
椅子スクワットでは、椅子に座った状態から、ゆっくり立ち上がる動作を繰り返します。椅子に座る際には自然にお尻を突き出し、上体を前傾させる股関節スクワットのフォームになるため、膝への負担が小さく安全に運動ができます。
椅子があるため、深くしゃがみ込みすぎる心配もなく、立ち上がり動作へも少ない負荷で移行可能です。
【方法】
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1. 椅子に腰かける。
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2. ゆっくりと立ち上がる。
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3. 立ち座りの動作を繰り返す。
立ち上がり動作に不安がある場合は机を利用し、手をついて立ち上がるとよいでしょう。
2-3.膝関節スクワット
股関節スクワットは上体を立てた状態で行なうスクワットです。膝がつま先より前に出るため、膝の曲げ伸ばしに関わる大腿四頭筋(太もも前面の筋肉)が効果的に鍛えられます。
【方法】
膝関節スクワットは膝関節に強い負荷がかかり、膝を痛める危険性があることから、あまり一般には推奨されていない方法です。
2-4.ランジ
下肢の筋肉を鍛えるだけでなく、柔軟性やバランス能力もアップできるフォームで行ないます。「フロントランジ」と呼ぶ場合もあります。
ランジは片足ずつ前に踏み出して行なうため、歩行の動作に近い形でできるスクワットです。この動作により、大臀筋の外側に強い負荷がかけられます。
【方法】
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1. 軽く足を広げて立ち、手は腰に添える。
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2. 片方の足を踏み出し、ゆっくりと体重をかけて、太ももが床と並行になるくらいまで沈み込む。このとき、大きく踏み出しすぎてバランスを崩さないように注意する。
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3. 上体は良い姿勢を維持しながら、足を引き上げてはじめの位置に戻す。
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4. もう片方も同様に行なう。これをできる範囲で繰り返す。
下半身が鍛えられるスクワットを習慣にして健康的な生活に役立てよう
「老化は足から」といわれるように、加齢や運動不足により下半身の筋力は衰えてしまいます。健康的な生活のためにも、日頃からよく体を動かし、足腰を鍛えるスクワットを行ないましょう。
スクワットはレジスタンス運動であり、筋肉に負荷がかかります。そのため、筋肉の回復期を設けられるよう、週に2~3回行なうことを目安にしましょう。一度に無理をせず、継続的に行なうことを目標にしてください。
監修者情報
氏名:高橋健太郎(たかはし・けんたろう)
循環器内科医として臨床に関わりながら、心血管疾患のメカニズムを解明するために基礎研究に従事。現在はアメリカで生活習慣病が心血管疾患の発症に及ぼす影響や心血管疾患の新しい治療法の開発に取り組んでいる。国内・海外での学会発表や論文報告は多数。
日本内科学会認定内科医、日本循環器学会所属。