1.慢性気管支炎とは?
呼吸に関わる臓器を呼吸器といい、そのなかに気管や気管支も含まれています。
慢性気管支炎とは、気管や気管支に炎症が起こり、咳や痰が出る状態が慢性化している状態です。粘度の強い痰を排出しづらくなって咳や痰が続きやすくなるほか、空気の通り道である気道が狭くなり、息を吐き出しにくくなります。
また、似たような状態になる疾患に肺気腫があります。近年では、肺気腫と慢性気管支炎を合わせて、慢性閉塞性肺疾患(COPD)と呼ばれることが少なくありません。
2.慢性気管支炎に見られる現象
慢性気管支炎では、咳や痰が続くのが特徴です。原因のわからない咳や痰が3カ月以上見られ、その状態が2年以上継続するときは、慢性気管支炎の可能性が考えられるでしょう。
また、COPDの場合は以下のような現象が生じるように、肺のほか全身にも影響するといえます。
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・呼吸困難
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・運動能力の低下
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・筋力の低下
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・貧血
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・睡眠の障害
COPDは、上記以外にもさまざまな疾患を引き起こすリスクがあるため、早期発見と早期治療が大切です。
3.慢性気管支炎を予防するには?
ここでは、慢性気管支炎と肺気腫の総称である、COPDの予防法を紹介します。
かつて、COPDは治療が難しいといわれていましたが、現在では予防や治療が可能な疾患です。COPDによって破壊された肺胞はもとに戻りませんが、早めの治療と継続的な管理によって、呼吸機能の低下を緩やかにすることはできます。
適切に治療を進めるには、主治医に自分の状態をできる限り詳しく伝えることが大切です。特に、どの程度の運動量で息切れが起こるかなどを把握しておきましょう。
そして、COPDの最大のリスクは喫煙です。COPD患者の9割以上はタバコを吸っているといわれていますが、このリスクは喫煙者本人だけではなく、受動喫煙にもあります。COPDの予防・治療の基本は禁煙とされているため、まずはタバコの煙を吸わないように心がけましょう。禁煙は、COPDの進行を抑えられるだけでなく、他の疾患予防にもつながります。
長期にわたってタバコを吸っている人でも、禁煙を始めればCOPDに罹患するリスクは減少するため、一日でも早く禁煙をスタートしましょう。
慢性気管支炎には予防と早めの治療が大切
慢性気管支炎とは、喫煙などが要因で気管や気管支に慢性的な炎症が起こり、咳や痰が継続する疾患です。
慢性気管支炎は、似た状態が生じる肺気腫と合わせて、慢性閉塞性肺疾患(COPD)と呼ばれることもあります。COPDは悪化すると、日常生活に影響するほど息切れがひどくなるため、早めに治療へ取り組みましょう。
COPDの予防と治療の基本は禁煙です。いずれにしても早めの治療と管理が大事になるため、咳や痰が長く続いているなど気になることがある場合は、早めに医師へ相談しましょう。
監修者情報
氏名:高橋健太郎(たかはし・けんたろう)
循環器内科医として臨床に関わりながら、心血管疾患のメカニズムを解明するために基礎研究に従事。現在はアメリカで生活習慣病が心血管疾患の発症に及ぼす影響や心血管疾患の新しい治療法の開発に取り組んでいる。国内・海外での学会発表や論文報告は多数。
日本内科学会認定内科医、日本循環器学会所属。