肌がカサカサするのはなぜ?原因と対処法を解説

寒くなり、乾燥する季節になると、肌がカサカサになることはありませんか。冬になると毎年、肌がカサカサしたり、白く粉を吹いたようになったりするといった悩みを持つ方も多いでしょう。

今回は、肌がカサカサしてしまう原因や対処法について解説します。

1.カサカサ肌のおもな原因

冬に肌が乾燥してカサカサになってしまうおもな原因は、新陳代謝が低下して古い角質が残る、運動量が減ることで皮脂や汗の分泌量も減少する、暖房器具の使用で乾燥するなどです。

さらに、湿度の低さにより水分が失われやすい状態になっていたり、寒いからといって入浴時の温度を上げすぎたりすることも、肌のカサつきにつながります。

また、肌の乾燥は、アトピー性皮膚炎、老人性皮膚搔痒症、乾皮症、胆汁うっ滞性肝疾患、腎不全、甲状腺機能低下症などの病気が原因の可能性もあるため注意が必要です。乾燥やかゆみがひどい場合は、早めに皮膚科や内科を受診しましょう。

1-1.カサカサ肌が悪化した場合の疾患

カサカサ肌が悪化し、強いかゆみがある場合は、病気の可能性も否定できません。一例としては、季節の変わり目や乾燥の激しい冬に起こりやすい「皮脂欠乏性湿疹」が挙げられます。

症状が現れやすい部位は、体ではお腹や手足、顔では目・口の周りや頬などで、体の中心部から離れた部位は皮脂の分泌量が多いため、症状が強くなるのが特徴です。冬場に体が温まったときにかゆみが現れやすく、ひどい場合は夜眠れないほどのかゆみを感じることもあるでしょう。

例えば、加齢や体の洗いすぎなどにより皮脂が減少して外部からの刺激を受けやすくなり、皮膚が炎症を起こしてしまうケースが考えられるでしょう。

また、皮膚のかゆみは「皮膚搔痒症」と呼ばれ、全身にかゆみが出る「汎発性皮膚搔痒症」と、体の一部にかゆみが出る「限局性皮膚搔痒症」に分けられます。汎発性皮膚搔痒症は、原因として糖尿病、腎障害、肝障害、甲状腺機能障害などの内科的な病気が隠れていることもありますが、原因の特定が困難なケースが多いのが現状です。

2.体の内側からカサカサ肌を対処する方法

体と同様に、肌も内外からのケアが必要で、内側からは「栄養」と「休息」によるケアが欠かせません。肌本来の健やかな状態を取り戻すために、体内リズムを安定させる内側からのケアを心がけましょう。

食事面では、特にタンパク質とビタミンを積極的にとることが大切です。タンパク質は皮膚や髪の毛などを構成する成分で、ビタミンは肌の健康を維持する働きがあります。これらの栄養素をはじめ、5大栄養素をバランス良く摂取するよう心がけましょう。

また、過度にストレスがかかったり、寝不足の状態が続いたりすると、肌のダメージが十分に回復しません。ぬるめのお風呂にゆっくり浸かるといった、心身ともにリラックスできる時間を確保しましょう。なお、寝る2~3時間前に入浴すると、寝付きや睡眠の質が良くなるとされています。

さらに、体内が水分不足にならないように、こまめな水分補給を行ないましょう。ただし、甘い飲み物などは、水分の蒸発を促してしまうため避けてください。

3.体の外側からカサカサ肌を対処する方法

外側からのケアは、十分な「保湿」がポイントです。化粧水や美容液、クリームを使い、丁寧にスキンケアをしましょう。角質の保湿機能が低下している肌には、化粧水や美容液をたっぷりと与え、保湿成分を含むクリームで水分や美容成分の蒸発を防ぐのがおすすめです。

保湿成分としてよく知られているのはセラミドで、角層内の水分を維持しつつ、角質細胞同士の密着度合いを高める働きがあるとされています。そのため、肌の水分が逃げにくくなり、バリア機能の維持につながるでしょう。

また、外出するときには、日傘や帽子などを使用し、紫外線対策を忘れないことも大切です。肌にダメージを与える紫外線は年間を通して降り注いでいるので、日頃の紫外線対策も肌を安定させるためには欠かせません。

外側からの肌ケアには、入浴時に外部刺激を軽減することも重要です。お湯の温度は38~39度程度のぬるめに設定し、長湯は避けてください。また、硫黄が入った入浴剤も控えたほうがよいでしょう。

体を洗うときは、ナイロンタオルやスポンジなどで強く擦らず、低刺激の繊維を使用したもので優しく洗ってください。刺激が少ないタイプの石鹸をしっかり泡立て、手でそっと洗うのもおすすめです。最後は、肌に石鹸やボティソープなどが残らないよう、十分に洗い流すことも忘れないようにしましょう。

そして、入浴後の保湿も不可欠です。無香料無着色の化粧水、ワセリンやグリセリン、鉱物油を含む保湿用のクリームや軟膏などを使って、肌の水分を保ちましょう。

また、寒さ対策にも工夫が必要です。1枚多く羽織ったり、厚めの靴下を履いたりして、暖房の設定温度を低めにし、長時間の使用を控えましょう。暖房器具を使うときは、乾燥を防ぐため、加湿器を併用するか、室内に洗濯物や湿らせたタオルをかけておくのがおすすめです。

就寝時に使用することも多い電気毛布は、肌の乾燥を促進してしまうおそれがあるので注意が必要です。寝るときは、衣類で調節するとよいでしょう。なお、下着類はナイロンやウール製より、綿製を選ぶのがおすすめです。

カサカサ肌対策には保湿を

カサカサ肌は、皮脂や汗の分泌量が減ったり、暖房器具の使用で室内が乾燥したりするなど、さまざまな原因が重なり合って起こります。肌の乾燥が悪化すると、皮脂欠乏性湿疹といった疾患につながるおそれもあるので、カサカサしているだけと軽く考えないようにしましょう。

カサカサ肌を防ぐには、体の内側と外側からしっかりケアすることが大切です。バランスの良い食事や睡眠時間の確保など、健康的な生活習慣を心がけましょう。また、化粧水やクリームなどを使って、外側から十分な保湿をすることも欠かせません。内外からの適切なケアを続けることで、カサカサ肌にも肌本来の健やかな美しさが戻るでしょう。

監修者情報

氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。