1.くすみ肌とは?
1~2年前と比べて、急に肌の変化が気になり始めたという人が多くいます。しかし、それは長い年月をかけて蓄積した肌の内側のトラブルが、一気に表面にあらわれてきたものです。なかでも、顔がいつもよりも黄色っぽいような印象を受けるようになった場合はいわゆる「肌のくすみ」が起こっている可能性があります。
くすみ肌とは、メラニンを含む古くなった角質が蓄積し、肥厚することで生じるものです。
また、その角層の下にある脂質が活性酸素の影響で酸化し、たんぱく質と結合ことで、肌の表面が黄色っぽくくすんできます。
くすみ肌について詳しく知りたい方はこちらをご確認ください。
「シミ」「くすみ」「色むら」が気になる“年齢肌” | サントリー健康情報レポート
2.くすみ肌を引き起こすおもな原因
くすみ肌を引き起こす原因はいくつか存在します。それらについて、ここから詳しく解説します。
2-1.長年にわたる肌へのダメージ
くすみ肌を引き起こす大きな原因は、おもに長年にわたりさらされてきた紫外線や、体内で発生する活性酸素などといわれています。さらに、加齢にともなって起こりやすくなるとされる血行不良も原因の一つです。
このうちの一つだけでも、肌にとってはダメージであるにも関わらず、加齢とともにこれらが同時に進行し、さらに抵抗力も回復力も弱まっていくため、シミやくすみ、色むらなどの症状が出てきます。
2-2.加齢による肌のターンオーバーの衰え
また、肌のターンオーバーに関与する成長ホルモンは大人になっても分泌されますが、加齢とともにその分泌量が減少するとされています。
通常、その成長ホルモンによって、肌の細胞分裂が促進されたり、細胞の修復を行なったりして、ターンオーバーが進行します。
しかし、年齢を重ねるごとに成長ホルモンの分泌量が減ることで、肌のターンオーバーの進行が衰え、古くなった細胞が長期間肌に残ることとなり、年齢肌が進んでしまうのです。
2-3.女性ホルモンの減少
さらに、40代前後から女性ホルモンも減少し始めます。女性ホルモンは、強い抗酸化力で活性酸素から細胞を守る物質です。また、メラニンの生成を抑えたり、肌の白さを維持したりする他、肌の水分を保持し、コラーゲンを増強する作用もあるとされています。しかし、加齢にともなって女性ホルモンが急降下すると、肌は抗酸化力を失い、ダメージを受けてしまうことになるのです。
3.くすみ肌をケアする対処法
くすみ肌をケアする対処法で、代表的なものをご紹介します。
3-1.抗酸化作用のある食品を摂取する
まずは、抗酸化作用がある食品を摂取することです。
くすみを引き起こすおもな原因の一つに活性酸素を挙げました。この活性酸素は、わずかな量であれば人体に良い影響をもたらしますが、過剰に生成されることで、老化などの原因につながるとされる物質です。抗酸化作用のある食品は、活性酸素を取り除いたり、生成や働きを抑えたりする効果があるため、老化の進行を遅らせるためには抗酸化作用のある食品の摂取が大切です。
抗酸化成分には、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、ポリフェノールなどがあり、これらの栄養素を多く含む食品については、次章にて詳しく解説します。
3-2.十分な睡眠時間を確保する
肌の細胞は、睡眠の最中に行なわれています。肌のターンオーバーを促す成長ホルモンは、22時~2時ごろ盛んに分泌されるといわれていることから、良質な睡眠はすこやかな肌を保つためにも大切です。0時までに床につくことを習慣化し、十分な睡眠時間を確保しましょう。
3-3.適度な運動を行なう
適度な運動も大切です。筋肉を動かすと血液の流れが良くなり、栄養と酸素が身体の隅々まで行きわたるようになります。また、肌のくすみなどの改善も見込めるでしょう。
4.くすみ肌で積極的に摂取したい食べ物
くすみ肌で積極的に摂取したい食べ物は、抗酸化成分を含んでいるビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、ポリフェノールなどが挙げられます。
4-1.ビタミンA
うなぎ・ほうれん草・小松菜・しらす干しなどに含まれており、皮脂腺や汗腺の働きを高める効果が期待できます。
4-2.ビタミンC
オレンジ・キウイ・いちご・トマトなどに多く含まれており、コラーゲンの生成を助け、皮膚や骨などの強化につながる物質です。
4-3.ビタミンE
アーモンド・アボカド・モロヘイヤ・かぼちゃなどに含まれ、血行を良くして肌に潤いをあたえます。
4-4.ポリフェノール
ポリフェノールにも抗酸化成分があります。具体的には、大豆製品に含まれるイソフラボン、ブルーベリーなどに含有するアントシアニンなどです。
4-5.その他のおすすめ食品
くすみ肌には、マンゴーもおすすめです。抗酸化物質であるビタミンCやビタミンE、β-カロテンを豊富に含んでいます。肌の老化を抑制するだけでなく、紫外線対策の効果が期待できることから、すこやかな肌を維持しやすくなるでしょう。
さらに、最近では牛乳・乳製品の摂取で肌の悩みが改善するという研究も報告されています。
ビタミンAを多く含む食品として代表的なものは緑黄色野菜などですが、牛乳などからも手軽に摂取可能です。牛乳100gのなかにはビタミンAが38μg含まれていることは、あまり知られていないかもしれません。
ここまでに述べたように、抗酸化作用のあるビタミンやポリフェノール、牛乳など、しっかりと栄養を摂ることが、くすみ肌の改善につながると考えられます。
規則正しい生活でくすみ肌を予防しよう
肌トラブルやくすみ肌は、年齢とともに増えてくる悩みの一つです。蓄積された紫外線や、女性ホルモン・成長ホルモンの減少が原因の場合もありますが、食事や睡眠、運動などの生活習慣が大きく関与している部分もあります。
日頃から、栄養バランスの良い食生活を心がけるとともに、睡眠不足や運動不足にならないような規則正しい生活を送りましょう。
監修者情報
氏名:西原 佑一(にしはら・ゆういち)
2018年慶應義塾大学医学部外科学大学院卒業(医学博士)。
現在は関東の病院で外科医として勤務。おもにがん治療 ・外科手術 ・教育などの外科医療を提供している。