1.寝つきが悪くなるおもな原因
寝つきが悪くなる原因はいくつかあります。騒音などの環境が要因となっている場合もあれば、不安や心配事があるとき、人間関係などのストレスによるものなど、その原因はさまざまです。
また、ニコチンなど嗜好品に含まれる刺激性の成分や、心の病気などに起因することもあります。
1-1.長期の睡眠不足によって起こる症状
睡眠が十分に取れない状態が1ヶ月以上続くと、起きている間にだるさや集中力が続かなかったり、食欲が出なくなったりと不調が出ます。
おもなタイプには、次の4つがあります。
長期的な睡眠不足は、睡眠を取れない点が問題だと思われがちですが、それよりも“日中の活動に支障が出ること”が問題です。睡眠時間は個人差によって3~10時間と幅が広く、人によっては3時間の睡眠でも日中に問題なく活動できる人もいます。そのような人は、睡眠不足とは診断されません。
2.寝つきが悪いときの対処法
ひとことで寝つきが悪いと言っても、ストレスの状態や環境など原因は人によってさまざまです。ここでは、良い睡眠のためにできることを7つ紹介しますので、思い当たる原因にあわせて取り入れてみてください。
2-1.体内時計を整える
快適な睡眠には体内時計への意識が大切です。
就寝・起床のリズムは体内時計によって左右されるため、早朝に光を浴び、夜は強い光を避けるように心がけましょう。
人間の体は、太陽光を浴びた14時間以降に眠気が生じると考えられているため、早寝をしたい場合は早起きから始めると効果的です。
また、週末や休日も普段と同じ時間に就寝・起床することが体内時計の調整をするうえで大切です。休日の前の日に夜更かしをすると体内時計が狂ってしまい、週の始まりにうまく寝つけなくなります。
2-2.睡眠時間にこだわらない
睡眠時間がどれくらい必要かは個人差があるため、自分に合わない睡眠時間の目標を立てる必要はありません。
8時間寝ても足りないと感じる人がいる一方で、5時間でも問題なく日中を過ごせる人もいます。
立てた目標時間のとおりに睡眠が取れず、布団の中で過ごす時間が多くなると休んだ実感が得られにくくなります。
2-3.軽い運動を取り入れる
適度な肉体的疲労は眠気を引き起こします。よって、有酸素運動のような負荷が軽い運動をしてみるのもよいでしょう。
ただし、負荷の高い筋力トレーニングや全力で行なうような激しい運動は、おすすめできません。刺激によって寝つきが悪くなるため避けましょう。
なお、運動の時間帯は午後のほうが良いと考えられています。
2-4.リラックスタイムを設ける
良い睡眠を取るには、副交感神経を優位にすることが重要です。
睡眠時間が近くなってきたらお風呂にゆっくり入るなど、自分にあったリラックス方法で過ごしてみましょう。
ただし、リラックスの手段がお酒の方は注意が必要です。飲酒後は寝つきが良いように感じられるかもしれませんが、お酒は眠りが浅くなってしまうため、早朝に目覚めてしまうことにつながりますので、節度ある適度な量にするようにしましょう。
2-5.ストレスをためない
不安や心配事など、特に対人関係で感じるストレスによって寝る直前まで悩まされる方も少なくないかもしれません。ストレスを解消するためには、「体を思いっきり動かして気分転換をする」「音楽を聴いて癒される」など、自分に合った方法を見つけておくとよいでしょう。
2-6.睡眠環境を整える
睡眠時に使うベッドや布団、枕など、自分に合ったものを選んで睡眠環境を整えることも大切です。身体は深い眠りのために汗をかくことで熱を放出します。そのため、寝具には吸湿性・放湿性・保温性の良いものを選ぶのがおすすめです。
また、部屋の温度は20度前後、湿度は40~70%に保つと快眠につながるでしょう。
2-7.タバコやカフェインの摂取を控える
ニコチンには覚醒作用があるため、就寝前の喫煙は避けてください。また、同じように覚醒作用のあるカフェインを含んだコーヒーや紅茶、緑茶、チョコレートなども節度ある適度な量にするようにしましょう。
寝つきが悪い場合は睡眠の質を高めましょう
睡眠の質は日々を楽しく健康に過ごすために欠かせないもの。自分にとって効果のありそうなものや、無理なく生活に取り入れることができるものはぜひ試してみてください。
監修者情報
氏名:梅村 将成(うめむら・まさなり)
外科医として地方中核病院に勤務中。
消化器外科のみならず総合診療医として、がん治療(手術・抗がん剤・緩和治療/看取り)を中心に、幅広く内科疾患・救急疾患の診療を行なっている。
資格:医師免許・外科専門医・腹部救急認定医