1.抵抗力とは
抵抗力とは、ウイルスを含むあらゆる病原体などに打ち勝つための体力や免疫力のことです。体力と免疫力についてそれぞれ説明します。
1-1.体力とは
「体力」という言葉は、一般的には運動をするための力というイメージが強いかもしれません。
学術的にいうと体力は大きく2つに分類されます。
一つは「行動体力」といい、実際に体を動かして行動する筋力・持久力・柔軟性などの身体的能力のことを指します。体力テストやスポーツテストで数値化できる能力のことです。
もう一つは「防衛体力」といって、病気やストレス・環境の変化に適応するための自己防衛能力のことです。防衛体力が低いと、感染症などの病気にかかりやすかったり、精神的ストレスに弱くなったりします。
1-2.免疫力とは
免疫力とは、細菌やウイルスなどの感染症や、有害なものから体を守るための防御能力のことです。免疫力が低下すると、健康を害しやすくなり、風邪をひきやすくなったりするリスクが高まることがわかっています。
2.抵抗力が低下すると
抵抗力が低下する原因と、抵抗力が下がることで体のなかではどのようなことが起こりやすいのかを説明します。
2-1.抵抗力が低下する原因
抵抗力の一つである免疫力は、おもに生活習慣の乱れによって低下します。具体的には食生活の偏り・喫煙・睡眠不足などです。また、加齢やストレス、化学物質なども免疫力を下げる大きな要因となります
日頃から免疫力の低下しやすい原因を避けることで、抵抗力も低下しにくいといえるでしょう。
2-2.抵抗力が低下すると
食生活や生活習慣の乱れなどで抵抗力が低下してしまうと、鼻やのどの自浄能力も下がり、風邪やインフルエンザにかかりやすくなってしまいます。他にも口内炎がよくできる、だるさを感じる、肌が荒れやすくなるなど、体にとってはさまざまなトラブルが起きやすくなります。このように抵抗力の低下による悪影響をできるだけ防ぐには、生活習慣を意識することが大切です。
3.抵抗力を高める方法
ここからは、抵抗力を構成する「体力」と「免疫力」を高めるための方法をお伝えします。風邪などをひきにくい体を目指すために、日々の生活習慣を見直しましょう。
3-1.体力を高める方法
先述のとおり、体力は大きく分けると「行動体力」と「防衛体力」の2つに分類されます。特に抵抗力を高めるためには、防衛体力を高めることが大切とされています。
適度な運動は、ウォーキングや軽めのジョギングなど軽く汗をかく程度の運動を30分以上、週2回以上行なうとよいでしょう。楽しみながら継続できるペースで行なってみてください。
3-2.免疫力を高める方法
免疫力を高めるためには生活習慣の見直しが大切です。ここでは具体的な方法をご紹介します。
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基本は食事・運動・睡眠をしっかり整えること
免疫力を高めるためには、バランスのとれた食事、体力アップの方法でもお伝えした適度な運動、そして十分な睡眠が大切です。適度な睡眠時間は個人差がありますが、6~7時間程度の睡眠をとれると健康的な生活になりやすいといわれています。
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食事ではたんぱく質とビタミンを補給
バランスのいい食事を心がけた上で、しっかり摂っていただきたい栄養素が2つあります。1つ目はたんぱく質です。たんぱく質は抗体の材料にもなり、不足すると免疫機能を低下させます。肉・魚・卵・大豆製品などから偏らないように摂りましょう。
2つ目はビタミンです。なかでもビタミンA・ビタミンC・ビタミンEは積極的に摂ることで活性酸素の働きを抑え、免疫力を上げるために役立つ栄養素であるため、不足しないように食事から補うことが大切です。
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腸内環境を整える
腸の健康を整えることも、免疫力アップに効果的です。日々の生活で腸内の善玉菌を増やすような食事を心がけると、腸内環境が改善されやすくなります。具体的にはオリゴ糖や食物繊維(野菜・果物・豆類など)、ビフィズス菌や乳酸菌(ヨーグルト、納豆、漬物など)が多く含まれている食品をまんべんなく摂ることが大切です。
抵抗力を上げるには毎日の習慣を見直すことが大切
抵抗力が下がってしまう原因と、その対処法について解説してきました。食事や睡眠、運動不足、環境の変化やストレスでも抵抗力が下がる要因となります。
毎日の生活習慣を整え、腸内環境を元気にすることは抵抗力を上げるために役立ちます。ぜひできることから始めて健康的な体を目指しましょう。
監修者情報
氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。