更年期障害とは?男女別の症状について解説

40歳以降になると、体や精神のさまざまな不調を感じる人も多いでしょう。特に、体のほてり・発汗・イライラ・不眠などの症状は、更年期障害かもしれません。

更年期障害というと、女性を思い浮かべがちですが、男性にも起こります。ただ、男性の場合、女性と比較すると症状がわかりにくいケースもあります。

そこで今回は、更年期障害の症状について男女別で解説します。
40歳を過ぎた頃からなんとなく不調が続いている方は、ぜひ参考にしてみてください。
また更年期になる前の方は、症状について正しく理解し、そのときのために準備しましょう。

1.更年期障害とは

更年期障害とは、男女ともに40歳代に入った頃から見られる、自律神経失調症と似たような症候群のことです。性ホルモン分泌量の低下が原因とされており、さまざまな体調不良や情緒不安定といった症状が現れます。

しかし、男女で性ホルモン分泌量の低下速度は異なるため、症状の強さもさまざまです。

女性の更年期障害には、閉経の時期が大きく関係しています。
閉経の平均年齢は50.5歳といわれており、更年期と呼ばれる時期はその前後の約10年間である45~55歳頃です。その時期に卵巣ホルモンであるエストロゲンの分泌量が急速に減少し、症状が現れるとされています。

また、症状の出現については、ホルモンの分泌量以外にも、性格・体質・環境的な要因が関与するようです。
同じ更年期障害とはいえ、人によって症状の現れ方が大きく異なるでしょう。

ホルモンの分泌量の変化は、女性に比べると男性の方が穏やかです。
そのため、更年期障害の症状が出ても、老化現象の一つと判断されて気付かないことが多いでしょう。

2.女性の更年期障害で起こりうるおもな症状

更年期障害では、自律神経失調症と同じような症状が現れるとされています。そのため更年期障害に見られる症状は、身体症状から精神症状までさまざまです。

ここでは女性の更年期障害で起こる可能性のある、おもな症状について解説します。
体の不調を感じている方は、自分の症状が当てはまっていないかチェックしてみましょう。

2-1.閉経前

閉経前のおもな症状については、次のとおりです。

  • 身体症状
    月経不順・脈が速くなる・動悸や息切れ・血圧の乱れ・のぼせ・ほてり・異常な発汗・耳鳴り・頭痛・めまいなど

  • 精神症状
    うつ・不眠・興奮の亢進・不安感・イライラなど

このほかにも、さまざまな症状が起こることもあるでしょう。また、個人差があるため症状の重症度は異なります。

2-2.閉経後

閉経後は、月経不順を除く閉経前の症状に加え、次のような症状を感じることが多いようです。

  • 身体症状
    関節痛・膀胱炎・尿失禁・のどや目といった部位の粘膜異常

  • 精神症状
    無気力感

更年期とされる45~55歳頃の女性は、仕事や家庭で多大なストレスを抱えがちです。例えば、家庭では子育てや親の介護に追われていたり、仕事では責任のある立場に就いていたりなど、疲れやすい環境にある人も多いでしょう。

そのため体調に異変を感じたら、これまでの生活スタイルを見直すことも大切です。
またこれらの更年期障害は、一人で悩んだり我慢したりしないで、専門家への相談も検討するとよいでしょう。

3.男性の更年期障害で起こりうるおもな症状

男性の場合は症状の出現が緩やかなこともあり、更年期障害に気付きにくいとされていますが、人によっては症状を強く感じるケースもあります。

男性の更年期障害で起こるおもな症状は、次のとおりです。

  • 身体症状
    関節痛・発汗・ほてり・肉体的疲労感・睡眠障害など

  • 精神症状
    いらだち・精神的疲労感・無気力・不安感など

  • 性機能症状
    性欲の低下・勃起障害(ED)など

性機能の不調以外は、女性の更年期障害とほとんど同じ症状が現れるでしょう。

しかし男性の場合、女性のように身体症状で悩むことは少なく、精神症状が強く現れるようです。

さらに男性には閉経といったわかりやすい目安がないため、症状を見逃しやすい傾向です。いつの間にか深刻な不調を抱えているケースもあるため、周囲の観察と変化への気付きが大切になります。

更年期障害を理解してうまく付き合おう

性ホルモンの分泌量が低下することで起こる更年期障害は、40代以降に起こりやすく、幅広い症状が出るため対処に困ることもあります。
さらに症状には個人差があるため、不調が出た際に我慢したり自己判断で対処したりするのは避けましょう。

また身体症状よりも精神症状が強く出る男性は、家族や周囲がしっかり観察して心の不調に気付くことが大切になります。更年期では、うつ病になる男性も多いため、周囲がサポートして早めに受診を促すことが重要です。

更年期障害と上手に付き合って、快適な毎日を過ごしましょう。

監修者情報

氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。