1.黒豆(黒大豆)とは
日本では、おせち料理の定番として知られる黒豆。手軽に入手できるため、正月だけではなく、日常的に食べることも可能です。
ほんのり甘い黒豆の原材料である黒大豆は、古代より体に良いとされ、和漢の世界では秘草として扱われていました。とくに黒大豆の産地として有名な丹波地方や美作地方では、古くから健康に良いものとして親しまれ、調子の上がらないときには黒大豆の煮汁を飲むと良いと言い伝えられています。
黒大豆は大豆の一種で、「畑の肉」といわれるほど良質なタンパク質をはじめ、美容や健康にいい栄養が豊富に含まれた食材です。そんな健康に良いとされる黒豆ですが、おせちの黒豆に込められた意味をご存じでしょうか。地域によって諸説ありますが、黒く艶やかな黒豆には「まめに健康に暮らせるにように」と無病息災の意味合いがあるとされています。
1-1.黒豆の主な種類
丹波黒(たんばぐろ)
<産地>兵庫県、岡山県、京都府、滋賀県など
丹波黒は、一般的な大豆と比べると粒が大きく、極大に分類される高級種です。他の黒豆にはないモチモチとした独特の食感を持っています。そのため、煮豆にして食べるのに適しており、おせち料理の黒豆としてよく食べられます。
また、丹波黒はさやが緑色のまだ若い時期に収穫される枝豆もおいしいと人気があります。丹波黒は生育期間が長くかかるとされる極晩生(ごくおくて)であり、栽培に非常に手間がかかるため、大量生産は難しい品種です。
中生光黒(ちゅうせいひかりくろ)
<産地>北海道
中生光黒は名前の由来になるほど表面に艶やかな光沢があります。また、北海道産黒大豆としては粒が小さいのが特徴です。
玉大黒(たまだいこく)
<産地>長野県、北関東、北陸地方
粒の大きさは極大に分類されており、粒の表面の光沢はあまりありません。丹波黒と同じように煮豆に適しています。
雁喰(がんくい)
<産地>東北地方
平たいのが特徴です。鳥の雁(がん)が食べたように見えることから「雁喰」と呼ばれるようになりました。また、平らな黒豆であるため、「黒平豆(くろべらまめ)」と呼ばれることもあります。
2.黒豆に含まれる栄養成分(働き)
日本古来から健康に良いといわれている黒豆には、さまざまな栄養成分が含まれています。この豊富な栄養成分が、健康的な生活をサポートしてくれます。ここからは黒豆に含まれている栄養成分の紹介とその働きについてご紹介します。
2-1.ポリフェノール(アントシアニン、大豆イソフラボン)
黒豆といえば、表面の黒い皮が特徴です。その皮には多くのポリフェノールが含まれています。ポリフェノールは、若々しく元気な身体づくりの一助となります。
2-2.大豆タンパク
大豆タンパク質は、必須アミノ酸9種をバランスよく含む良質なタンパク質です。日常的に脂質の多い食事をする方は、積極的に摂りたい成分です。特定保健用食品の機能成分として認可されています。
2-3.大豆サポニン
大豆サポニンとは大豆を茹でたときに見られる泡を指します。大豆サポニンにはえぐみや渋みがありますが、若々しくありたい方に人気の成分でもあります。
2-4.大豆ペプチド
ペプチドとは、タンパク質の分解過程でできるタンパク質とアミノ酸の中間物質のような物質です。大豆のタンパク質が酵素分解や発酵することで生成されるのが大豆ペプチドです。
2-5.食物繊維
体内環境を整えることから「第6の栄養素」といわれ、注目を集めています。この食物繊維が黒豆には豊富に含まれています。
2-6.ミネラル
黒豆には、カルシウムやマグネシウムなどのミネラルが豊富に含まれています。
2-7.ビタミンB1・B2
黒豆には、生活習慣が気になる方の強い味方であるビタミンB1・B2も含まれています。
黒豆を上手に食生活に取り入れましょう
黒豆には、若々しさをサポートするポリフェノールやビタミンE、体内環境に優しい食物繊維など、年代を問わず必要な栄養素が豊富に含まれています。近年は健康志向が高まっていることもあり、健康維持に欠かせない栄養成分を豊富に含む黒豆は、今後もさらに注目を集めるでしょう。
煮豆だけではなく、スイーツやお菓子、お茶など黒豆を使った食べ物が多いのも魅力のひとつです。そのときの気分や自分の好みに合わせて上手に黒豆を食生活に取り入れ、健康的な生活を送ってみてはいかがでしょうか。
監修者情報
氏名:河村優子(かわむら・ゆうこ)
アンチエイジングをコンセプトに体の中と外から痩身、美容皮膚科をはじめとする様々な治療に取り組む医師。海外の再生医療を積極的に取り入れて、肌質改善などの治療を行ってきたことから、対症療法にとどまらない先端の統合医療を提供している。