1.ダイエットとは?
みなさんは、ダイエットにどのようなイメージを持っているでしょうか。実は、日本と海外では、ダイエットのとらえ方に違いがあるようです。
1-1.日本と海外のダイエットのとらえ方
日本で「ダイエット」という言葉は、食事の量を制限してエクササイズなどの運動を行なうなど、減量を目的として「痩せた体型」を目指すために使われます。しかし本来、英語の「diet」とは、日常的な食事や食べ物のことを指す言葉です。
多種多様なダイエット法がメディアなどで取り上げられることも多く、ダイエットに対して高い意識を持っている方が多いと考えられます。
1-2.本当に痩せる必要はあるのか?
近年、日本では食の欧米化や運動不足により「肥満」の方が増えているのも事実です。
体脂肪が過剰に蓄積した状態を放置しておくと、さまざまな病気につながるリスクがあるため、「肥満」の判定がある場合は、改善や体重維持のためにもダイエットに取り組むのはおすすめといえるでしょう。
肥満度の判定の国際的な標準指標として、以下の数値が用いられます。
もっとも疾病が少ないとされている数値は、男女ともにBMI=22.0です。
これはあくまでも目安ですが、BMIの数値に問題がなく、痩せる必要がないにも関わらずダイエットに取り組んでいる方も多くいます。
2019年の国民健康栄養調査では、次のような結果が出ています。
このように、実際に肥満の方は男性で3割程度、女性では2割程度に過ぎないことがわかります。
2.間違ったダイエットが引き起こすリスク
ダイエットは正しい方法で取り組まないと、身体に悪影響を及ぼす可能性があります。では、間違ったダイエット方法が引き起こすリスクについて、具体的に見ていきましょう。
2-1.低体重児の増加に関与
痩せるために極端な食事制限や偏った食生活を続けることにより、栄養不良になることが懸念されます。
出産適齢期の女性の痩せや、妊婦の体重増加不良が、低出生体重児の増加に関与しているといわれています。また低出生体重児は、成人後の生活習慣病になるリスクも高いといわれています。ご自身の健康の維持と増進はもちろんのこと、将来生まれてくる子どもの健康を守るためにも、極端なダイエットは避けるべきでしょう。
2-2.食事回数を減らすことにより太りやすい体質に
少しでも摂取量を減らそうとして朝食をカットするなど、食事回数を減らすことはおすすめできません。身体がエネルギーを蓄えようとして、かえって体脂肪が増加します。
痩せるために食事を無理に減らすことで、太りやすい体質になってしまっては本末転倒でしょう。肥満や脂質異常症につながる可能性もあるため、食事回数は減らさないことが大事です。
2-3.極端な食事制限により食行動の異常が起こる
ダイエットに対する意識があまりにも強くなると、食行動の異常を引き起こすリスクが懸念されます。また、太ることを極端に恐れて食事量が減ってしまうと痩せすぎてしまう可能性もあるのです。
痩せすぎてしまい栄養不足の状態になると、無月経などの月経異常・脱水・便秘・ホルモンバランスの乱れ・骨密度の低下などにつながります。
3.健康を維持しながらダイエットする方法
身体に負担をかけすぎず、健康的にダイエットを行なうにはどうすればよいのでしょうか。
3-1.カロリー計算をして極端な制限はしない
日本人の一日の基礎代謝量は、成人男性で約1,500kcal、成人女性で約1,150kcalといわれています。
適切なダイエットを行なうには、カロリー計算をして、一日の摂取カロリーよりも消費カロリーが上回るようにすることが大事です。ただし、極端な食事制限をしてしまうと、栄養バランスの崩れやストレスにもつながるため、無理な制限はやめましょう。
3-2.適度な運動を取り入れる
食事制限ばかり意識していると、筋肉が落ちてしまうこともあります。20代から筋肉の衰えは始まるといわれているため、ウォーキングやランニングなどの適度な運動を心がけて筋力や筋肉量を維持することが大切です。
ダイエットは規則正しい食生活と適度な運動を
無理なダイエットや間違ったダイエットは、身体にとって大きな負担となってしまいます。まずはご自身の体重を把握し、必要であれば健康的に無理なく続けられる取り組みを行ないましょう。
監修者情報
氏名:梅村 将成(うめむら・まさなり)
外科医として地方中核病院に勤務中。
消化器外科のみならず総合診療医として、がん治療(手術・抗がん剤・緩和治療/看取り)を中心に、幅広く内科疾患・救急疾患の診療を行なっている。
資格:医師免許・外科専門医・腹部救急認定医