1.花粉症とは
花粉症は、花粉を原因とするアレルギー疾患の総称です。全国調査の結果では、国民の4人に1人、およそ25%もの方が花粉症を患っていると考えられています。花粉症の約70%を占めるといわれるのが、スギ花粉が原因の「スギ花粉症」です。これは日本において、スギ林の面積が広いことが影響しています。
花粉症の症状はくしゃみや鼻水などが代表的ですが、それ以外にも以下をはじめとするさまざまな症状が現れる可能性があるでしょう。
花粉症の症状は、風邪と似ていることもあります。そのため、初めて花粉症になったときには、風邪と勘違いしてしまうかもしれません。花粉症は医療機関で行なうアレルギー検査である程度原因が判断できるので、花粉症の季節に風邪のような症状が続く場合は一度医療機関で調べてみることをおすすめします。
2.花粉症を和らげるための対策方法
花粉症対策には、「花粉を付けないこと」と「避けること」が重要です。また、生活習慣を見直し、体調を整えることも症状の改善につながります。
医療機関で花粉症と診断されたときや、自分で花粉症かもしれないと感じたときは、症状を和らげるために以下のような対策を試してみましょう。
2-1.外出時の対策
花粉が飛散している季節に外出する場合は、花粉がなるべく体内に入らないように工夫する必要があります。
外出の際は、メガネやマスク、帽子などを活用しましょう。メガネは、「ダテメガネ」でも有効ですが、しっかりと対策したい方は「花粉防御用メガネ」の使用を検討してみてください。
服装は、ポリエステルなど表面がスベスベした生地の衣類を選びましょう。ニットや毛織物の上着・コートと比べ、衣服に花粉が付くのを防げます。
また、コンタクトレンズを使用している方は、可能であればメガネに替えたほうがよいでしょう。コンタクトレンズは、花粉がレンズと結膜の間で擦れたり、レンズの刺激が花粉による目のアレルギー症状を悪化させたりする可能性があります。
2-2.帰宅時の対策
帰宅時は、いかに花粉を家の中へ持ち込まないかがポイントです。玄関先で衣服に付いた花粉を払い落して、家の中に入りましょう。
さらに、帰宅後は手洗い・うがい・洗顔をしっかりと行ない、体に付いた花粉を落としてください。また、髪の毛にも花粉が付着するため、毎日欠かさずシャンプーをするのもおすすめです。
2-3.家庭内での対策
花粉が飛散している季節は、屋外に洗濯物や布団を干すのは避けましょう。洗濯物は部屋干しにするか、乾燥機を利用するのがおすすめです。
布団は室内で干すスペースを確保しにくいため、屋外に干す方も多いかもしれません。その際は、取り込む前に花粉をしっかりと払い落とし、家の中に持ち込まないようにしましょう。
また、室内を掃除するときは、できるだけ花粉を舞い上げないようにするのがコツです。最初に拭き掃除をして花粉を取り除いたあとに掃除機をかけると、花粉が舞いにくくなります。
他にも、新聞やテレビの花粉情報に注意して、飛散量の多い日は窓を全開にしての換気は控えましょう。窓から大量の花粉が入らないように換気をするには、窓を10cmほど開け、レースのカーテンを併用するといった方法が有効です。
2-4.症状改善につながる生活習慣
ストレスや疲労、睡眠不足は体調に悪影響をおよぼし、アレルギー反応が起きやすくなります。
花粉症対策には、栄養バランスの良い食事や十分な睡眠など規則正しい生活を心がけることが大切です。また、喫煙は控え、お酒に関しても節度ある適度な量にしましょう。
食生活では栄養バランスの良い食事を基本としたうえで、以下のような食材を積極的に取り入れるのがおすすめです。
ただし、医学的には花粉症に良いからと1つの食材だけを多く食べても、症状に大きな変化は起こらないとも考えられています。特定の食材にこだわらず、さまざまな食材を取り入れてバランスの良い食事を目指しましょう。
花粉症の解消にはしっかり対策をとるようにしましょう
花粉症は多くの方が悩まされる疾患です。目や鼻だけでなく、頭痛や食欲不振などさまざまな症状が現れることがあるため、まずは自分でできる対策をしっかりと行ないましょう。
例えば、家の中に入るときは衣服に付いた花粉をしっかり落とす、洗濯物は屋外に干さないなどが挙げられます。また、規則正しい生活を心がけて健康な状態を保つことも大切です。
なお、症状がひどい場合や原因となる花粉を特定したい場合などは医療機関を受診することをおすすめします。花粉症の正しい知識と対処法を身に付け、快適な日々を過ごしましょう。
監修者情報
氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。