1.髪質は年齢や性別・ホルモンによって異なる
まず髪質がなぜ変化するのか理解することが大切です。ここでは、髪質が変わる理由について解説します。
1-1.年齢
髪の質や濃さは、年齢によって次のように変化します。
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• 小児の時期は細い毛が多い
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• 思春期からは太い毛が多い
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• 青年期からは加齢にともない細く短い毛が多い
ふんわりした豊かな髪の毛は、健康的な頭皮で生まれ、育ちます。しかし、頭皮は加齢によって徐々に衰えるため、髪のハリやコシが次第に失われてしまうでしょう。
特に女性の場合は、年齢を重ねるごとに頭皮の皮脂量が減少し、乾燥したり肌荒れしたりします。頭皮環境の悪化は、健康な髪の毛の生育に悪影響をおよぼすため、髪質が低下する原因となるのです。
このように加齢によって髪の毛の太さは変化するため、20代の頃より60代のほうが髪の毛が少なく感じるのは当然でしょう。
しかしこれらの変化には個人差があるため、同じ年齢でも髪質は異なります。
1-2.男性ホルモン
アンドロゲンという男性ホルモンの作用によって、髪の毛が十分に育たないケースもあります。男性型脱毛症と呼ばれ、20歳前半から毛髪が薄くなる症状です。おもに頭頂部から前髪の部分にかけて、毛髪がやわらかく薄くなります。
日本人の成人男性の約3人に1人が男性型脱毛症であるとされ、加齢とともに進行するのが特徴です。
1-3.遺伝や先天的な病気
遺伝や先天的な病気が原因で、髪の毛が薄いこともあるでしょう。
例えば、先天的な病気の乏毛症・無毛症などは、生まれつき髪の毛が少なかったり縮れ毛だったりします。
さらに、ある酵素の遺伝子に異常が起こることで、乏毛症になるケースもあるようです。将来的には治療できる可能性もありますが、今の時点では治療法がほとんどありません。
また、髪の毛の量は多いにも関わらず、毛がもろく切れやすい毛髪奇形という病態もあります。すぐに髪が切れてしまうため、髪を伸ばすことが困難です。
2.頭皮の健康を保ち髪質改善が期待できる生活習慣
健康的な髪質は、頭皮環境が重要です。ここでは、頭皮を健康的に保ちながら髪質改善が期待できる生活習慣について解説します。
2-1.栄養バランスの良い食事を心がける
健康的な髪の毛を維持するためには、栄養バランスの良い食事を摂り、頭皮の環境を整えることが重要です。
髪の毛は、毛母細胞が猛スピードで分裂・増殖することで作られています。毛母細胞のスピードを維持するためには、様々な栄養素が必要です。そのため栄養素の不足や偏りがあると、健康的な髪の毛は育たないでしょう。
健康的な髪の毛を維持したい方は、バランスの良い食事を意識することが大切です。
また女性の場合、薄毛や抜け毛の原因の一つに、男性ホルモンの関与が示唆されています(閉経後は特に相対的に男性ホルモンの影響をうけやすい)。食事などを見直したうえで、女性ホルモンの働きをサポートしてくれるイソフラボンも上手に活用しましょう。
2-2.適切な洗髪をする
健康的な頭皮を保つためには、丁寧に洗髪をして清潔に保つことが大切です。髪の毛の汚れや頭皮の皮脂をしっかり落とすように意識しましょう。
しかし、汚れをしっかり落とそうと丁寧に洗いすぎると、頭皮環境を悪化させる可能性があります。例えば、毎日洗髪をすることで必要な皮脂まで落としてしまい、頭皮が乾燥してしまうケースも少なくありません。皮脂には、頭皮を守る働きもあるため、洗いすぎには注意が必要です。
洗髪をする際は、頭皮のうるおいを保ちながら洗うことがポイントです。爪を立てずに、指の腹で丁寧にやさしく頭皮を洗いましょう。
また髪を乾かす際には、自然乾燥よりもドライヤーで髪の根元から乾かすことが大切です。ただし、ドライヤーの熱風を近づけすぎないように注意しましょう。
2-3.ストレスをためないようにする
健康的な頭皮と髪質のためには、生活習慣を整え、ストレスをためないことが大切です。
例えば、睡眠不足やストレス、運動不足などは、体のリズムを崩し髪の成長にも悪影響を与える可能性があるでしょう。そのため、規則正しい生活やリラックスタイム、適度な運動などが重要です。
2-4.育毛剤や髪の質感を整えるアイテムなどを使用する
日頃のヘアケアアイテムから、髪をいたわるのも良い方法です。髪質改善に効果が期待できるヘアケア製品を使ってみましょう。
例えば女性の薄毛は、ヘアサイクルの不順がおもな原因とされています。そこで、ヘアサイクルを整える効果のある製品であれば、女性特有の薄毛や抜け毛の改善を手助けしてくれるでしょう。
健康的な髪質で若々しい自分へ
抜け毛や薄毛などの髪質の変化は、加齢によって起こりうるケースが多く、実際に見た目的にも、若い頃と比べると薄くなったと感じることもあるでしょう。
しかし、食事内容や生活習慣の改善、ストレスをためないように心がけることなどで、頭皮の健康を守り、理想の髪を維持できるでしょう。
また、洗髪の際は指の腹を使って適度な力加減で洗い、乾かすときにはドライヤーで根元から乾かすのも、健康的な頭皮の維持につながります。
栄養バランスの取れた食事や正しいヘアケアで、いつまでも美しい髪を目指しましょう。
監修者情報
氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。