善玉菌を増やす方法とは?摂取すると良い食べ物についても解説

お腹の調子を整えるのに良いといわれる善玉菌。健康のためにヨーグルトや納豆などの発酵食品を積極的に食べているという方もいるのではないでしょうか。

善玉菌は腸内環境を整えるのに役立つのはもちろん、免疫機能にも深い関係があります。健康を守るためにも、善玉菌を増やしていきたいものです。

では、どうすれば善玉菌を増やすことができるのでしょうか。今回は善玉菌を増やす食べ物について詳しく解説します。

1.善玉菌とは

善玉菌とは、腸に良い働きをもたらす腸内細菌のことで、ビフィズス菌や乳酸菌などが善玉菌として知られています。
善玉菌には腸を酸性に保つことで、悪玉菌の増殖を抑え、腸の運動を促進させる特徴があります。さらに、食中毒をおこすような菌への感染予防や、ビタミンB1やB2、葉酸などの産生、免疫機能の調整や、コレステロール値を低下させたりする働きも担います。

近頃では、免疫機能を整える働きが注目を集めています。
人間が持っている免疫細胞のうち、約60~70%が腸内にあることから、善玉菌の働きにより腸内環境が整うとこれらの細胞が活性化され、免疫機能が整うのです。このように善玉菌は、私たちの健康を守るうえでとても大切な役割を担っているといっても良いでしょう。

なお、腸内細菌にはこの善玉菌のほか、腸内で有害物質を生成する悪玉菌、そのどちらでもなく、どちらかの優勢なほうに加担する日和見菌が存在します。

腸内にどの種類の菌がどれくらいの割合で存在するのかは、個人によって異なるものです。食生活や人種などによってもそのバランスは変化します。
また、菌の数は年齢に応じて変動はあるものの、基本的に菌の種類は生涯を通じてほぼ変化はないといわれています。抗生物質を飲んだり食中毒にかかったりすると、腸内細菌のバランスは一時的に大幅な変動が見られますが、時間が経てば自然に元の状態へと戻っていく傾向にあります。

2.善玉菌を増やす食べ物

お腹の調子や免疫機能を整える働きがある善玉菌。毎日を健康に過ごすためにも、日頃から善玉菌を増やすよう意識しておきたいものです。

善玉菌を増やす鍵となるものとして、次に紹介する「プロバイオティクス」と「プレバイオティクス」が知られています。

2-1.生きた善玉菌「プロバイオティクス」を摂取する

プロバイオティクスとは、健康にとって有益な作用をもたらし、生きた状態で腸に到達可能な善玉菌のことです。乳酸菌やビフィズス菌が該当し、納豆やヨーグルト、乳酸菌飲料などに多く含まれています。

ただし、プロバイオティクスは食事から摂取しても、一定期間は腸内に残るものの、ずっと定着するわけではありません。時間の経過とともに減ってしまうので、継続的にプロバイオティクスを摂取していく必要があります。できるだけ毎日ヨーグルトや納豆を食べ、補充していきましょう。

2-2.善玉菌を増やす作用が期待できる「プレバイオティクス」を摂取する

プレバイオティクスとは、プロバイオティクスを含む腸内にもとから存在する善玉菌を増殖させる作用を持つ微生物のことで、オリゴ糖や食物繊維が代表的です。

オリゴ糖は大豆や玉ねぎ、にんにくやバナナなどに含まれます。また、食物繊維は不溶性食物繊維と水溶性食物繊維に分類され、不溶性食物繊維は豆類、水溶性食物繊維はきのこやこんにゃく、ごぼうなどに多く含まれています。

食品から摂るのが難しい場合は、オリゴ糖や食物繊維が配合された特定保健用食品を利用することも検討してみてください。効率的に継続してプレバイオティクスを摂取できます。

ただし人によっては、オリゴ糖を多量に摂取するとお腹を下してしまうこともあるので注意しましょう。最初は少量から摂取し、様子を見ながら量を調節してみてください。

善玉菌を増やして健康な体を手に入れよう

善玉菌には、お腹の調子を整えたり免疫機能を調整したりする働きがあります。その他、食中毒菌や病原菌の感染を防いだり、ビタミンを産生したりする働きがあることも特徴です。

善玉菌を増やしたいと考えている方は、健康にとって有益な作用をもたらし、生きた状態で腸に届くプロバイオティクスや、腸内にもとから存在する善玉菌を増殖させるプレバイオティクスに着目してみましょう。プロバイオティクスはヨーグルトや乳酸菌飲料を摂ることで、プレバイオティクスは大豆やバナナ、ゴボウやキャベツなどを食べることで摂取できます。

うまくプロバイオティクスやプレバイオティクスと摂取して、腸内の善玉菌を増やし、腸内環境や健康状態を良い状態でキープしていきましょう。

監修者情報

氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。