1.眼精疲労とは?おもな症状について
眼精疲労とは、目に疲れを感じ、十分休んでも回復しない状態のことです。眼精疲労では、目や全身に症状が現れます。
目に現れる症状は次のとおりです。
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・目が痛い
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・充血する
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・目が重い
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・しょぼしょぼする
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・視界がぼやける
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・目に疲れを感じる
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・眩しさを感じる
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・涙が出る
体に現れる症状は次のとおりです。
では、なぜ眼精疲労が起こるのでしょうか。次で詳しく見ていきましょう。
2.眼精疲労のおもな原因
眼精疲労のおもな原因には、目のピント調整機能や病気、生活環境などがあります。
ここでは、それぞれの原因について詳しく解説します。
2-1.目のピント調節がうまくいっていない
眼精疲労のおもな原因には、目のピント調整が正常に行なわれていないことが考えられます。
ピント調整とは、何かを見るときに水晶体と呼ばれるレンズ部分の厚みを変えることです。その際、近視・遠視・老眼・乱視など光の屈折に異常がある場合、水晶体の厚みを無理に変えなければなりません。そうすると、目の周りの筋肉が常に緊張した状態となります。
また、目に合わないメガネやコンタクトレンズを使うと、無理にピントを調整する必要があるため、目が疲れやすくなるでしょう。
老眼は、40~60歳頃までに症状が進むため、これまでのメガネやコンタクトレンズが合わなくなる可能性があります。
メガネやコンタクトレンズを使っている方は、定期的に視力検査をして度数を合わせることが大切です。
2-2.病気による影響
眼精疲労の原因は、目や体の病気による影響ともいわれています。
例えば、目の病気は次のようなものです。
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・ドライアイ
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・緑内障
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・白内障
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・斜視・斜位
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・眼瞼下垂
ドライアイとは、目の表面を覆っている涙の膜が崩れやすくなり、目が乾いたりかすんだりする病気です。日本では、約2,200万人がドライアイになっているといわれ、患者数は増加傾向にあります。
緑内障とは、眼圧の上昇によって視神経を圧迫し、視野が狭くなったり一部が欠けたりする病気です。しかし、視神経が弱い場合は、眼圧に異常がなくても緑内障になることがあります。視野の異常以外に、目が疲れる眼精疲労が症状として現れるケースもあるでしょう。
白内障は、加齢や薬剤などが原因で水晶体が濁る病気です。視力低下や目のかすみなどといった症状が現れ、眼精疲労につながります。
また、次のような体の不調も眼精疲労の原因と考えられています。
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・更年期障害
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・自律神経失調症
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・虫歯・歯周病
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・アレルギー性鼻炎
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・風邪
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・精神的ストレス
2-3.生活環境による影響
眼精疲労の原因には、目に負担のかかる生活環境も影響しています。特に、長時間パソコンやスマートフォンを使用する場合、眼精疲労を引き起こす原因になるでしょう。
また、十分な明るさが確保できない場所での作業や、長時間の作業なども目が疲れる原因です。さらに、モニターの位置や高さなどが合っていない場合も、目が疲れやすくなるといわれています。
3.眼精疲労の対処法
眼精疲労の症状や原因について理解したところで、ここからは眼精疲労の対処法について解説します。
3-1.眼精疲労の原因を排除する
眼精疲労を和らげるには、まず原因を把握し、取り除くことが大切です。
例えば、メガネやコンタクトレンズが合っていない方は、自分の目にあったものに作り直しましょう。また、目の病気になっている場合は治療を優先してください。
眼精疲労に対しての特効薬は存在しないものの、ビタミン剤入りの点眼薬や内服薬が効果的なケースもあります。
3-2.普段の生活でできる眼精疲労の対策
眼精疲労の対策は、日常生活のなかでも実践できます。
パソコンやスマートフォンの使用など目を使う機会が多い人は、意識して適度に休憩を取りましょう。具体的には、遠くを見たり、目を閉じて休ませたりすることが大切です。
さらに、症状に応じて目元に温パックや冷パックをするのも良い方法でしょう。しかし、このような対応は、一時的に症状を緩和しただけと考えられます。眼精疲労の予防には、目を酷使しないことがポイントです。
また、目を強く押すマッサージは、眼球に傷が付く可能性が高いため、避けた方がよいでしょう。マッサージする場合は、目の周囲を優しくマッサージする程度に留めることが大切です。
眼精疲労はこまめに目を休憩させることが大切
パソコンやスマートフォンなどで長時間作業をする方は、こまめに休憩を挟むことが大切です。近い場所をずっと見ていると、目の周りの筋肉がこわばり、眼精疲労の原因になります。
適度に休憩を取り、遠くを見たり目を閉じたりして、目を酷使しないように注意しましょう。
監修者情報
氏名:梅村 将成(うめむら・まさなり)
外科医として地方中核病院に勤務中。
消化器外科のみならず総合診療医として、がん治療(手術・抗がん剤・緩和治療/看取り)を中心に、幅広く内科疾患・救急疾患の診療を行なっている。
資格:医師免許・外科専門医・腹部救急認定医