1.集中力が低下する理由
集中力が低下する理由には、糖質不足や身の回りが整理整頓されていない状況にいること、緊張や興奮の程度が高すぎたり低すぎたりすることなどが挙げられます。
1-1.糖質不足
人間の体は炭水化物を分解して糖質を作り、糖質からエネルギーを得ています。
炭水化物を過剰に摂ると肥満の原因になることから、ダイエットのために炭水化物を食べない方もいるでしょう。しかし、糖質が足りないと集中力が低下したり、疲れが出てしまったりして、場合によっては意識がはっきりしなくなることもあります。
1-2.身の回りの環境が整っていない
人間の脳は整理された状態を本能的に好むため、整理整頓されていない状況にいると、集中力が低下する原因になります。
乱雑な環境や余計なものが視界にある状態は、集中力にとって悪影響です。作業に関係のないものが近くに置いてあると、つい気になってしまったり、何か別のことを始めてしまったりと、集中が途切れるきっかけになってしまうでしょう。
1-3.そのときの心理状態が不安定
「集中しよう」というときの気分や心理状態によっても、集中度合いは左右されるものです。
人は、緊張や興奮の程度が弱すぎるとぼんやりしてしまい、強すぎると注意が散漫になる傾向があります。緩みすぎず、緊張しすぎず、ちょうど良い緊張度合いを保つことが大切です。
2.集中力を高める方法
ここからは集中力を上げる方法について説明します。
デスクワークや勉強中でも取り組める方法を紹介しますので、ぜひ取り入れてみてください。
2-1.糖分を摂る
糖分は過剰にならず、かつ、少なすぎない量を摂ることが大切です。
糖分の摂り過ぎは肥満や生活習慣病につながりますが、一方で、糖分が不足してしまっても体に悪影響をおよぼしてしまいます。
糖分は脳が使える貴重なエネルギー源です。脳が働かずに仕事が進まないといった事態を防ぐためにも、適度に糖分を摂ることを心がけましょう。
2-2.ガムなどを噛む
よく噛むことにはさまざまなメリットがあります。集中力の面では、あごが動くことで血流が良くなり、脳へ酸素や栄養が届くようになるため、脳が活性化し集中しやすくなるでしょう。
集中力以外には、食べ過ぎを防げることや唾液の分泌を促進することによる口腔内の殺菌、表情筋を動かすことで活力のある印象になるなどのメリットが挙げられます。健康な生活のためにも、よく噛む習慣を身につけましょう。
2-3.軽く運動をする
運動をすることで脳への血流が良くなり思考力や集中力が高まります。
ずっと同じ姿勢でいると血流が悪くなりますので、仕事や勉強が行き詰まったと感じるときは軽いエクササイズや散歩をしてみるとよいでしょう。
2-4.注意を切り替える
つい別のことに気を取られてしまった際、短時間で集中を戻すためには、何か特定のものを見たら集中する、というルールをあらかじめ決めておくことが有効です。
例えば、デスク上にあるお気に入りの写真がそれだとしましょう。集中力が切れたとき、その写真に視線を向け、さらに「さあ行こう!」などと自分の気が引き締まるような言葉を声に出してみます。OFFになりかけていた気持ちが、ONに切り替わるきっかけとなるかもしれません。
2-5.整理整頓をする
環境を整えると、余計なものが目に入らなくなるので、集中力を妨げる要因を解消することができます。本やスマートフォンなどは視界に入らない場所に置いておき、作業に必要なものだけをデスクの上に置いておきましょう。
また、自分に合った道具を使うことも集中を助けてくれます。使いにくいペンや、身長に合わないデスクは、気付かないうちに疲れたり、使いにくいと感じたりすることで集中力の低下の原因となっているかもしれません。
2-6.しっかり睡眠をとる
集中力を高めるためには、睡眠習慣を整えることも重要です。睡眠は脳の休息に欠かせないため、自分の体に合った質の良い睡眠時間を確保しましょう。
また、仕事や勉強している最中にどうしても集中できない場合は、思い切って休んだり、仮眠をとったりすることも一つの手段です。
休んだあとは頭も気持ちもリフレッシュでき、集中力が戻ることがあります。
体調と環境を整えて集中力を高めましょう
集中力は、周囲の整理整頓などの物理的な問題や、心理的な問題などによって途切れてしまいやすいものです。
集中したいときに集中し、仕事や勉強を効率良く進めるためには、適度な糖分を摂取したり、質の良い睡眠をとったりするなど、食生活や睡眠環境の改善から検討してみるとよいでしょう。また、デスク周りにスマートフォンなど、集中力を途切れさせてしまうものを置かず、必要最低限のものだけが視界に入る環境が理想です。
それでもなかなか集中できないときには、思い切って休んでしまうのも得策といえます。心身ともにリフレッシュすることで、集中力を取り戻すきっかけとなるでしょう。
監修者情報
氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。