1.高血圧とは?
高血圧は血圧が高くなる病態で、繰り返し測った数値で最高血圧が140mmHg以上、または最低血圧が90mmHg以上を示すと、高血圧と診断されます。
自宅で測るよりも病院で測ると血圧が高くなるという人もいます。これは「白衣高血圧」と呼ばれる状態で、緊張が血圧の上昇を引き起こすものです。
また反対に、病院では血圧が落ち着いているのに対し、自宅では上がってしまう場合が多い人もいて、この状態は「仮面高血圧」と呼ばれます。
これらのような事例もあるため、家庭での血圧測定も大切です。家庭血圧の場合は最高血圧が135mmHg、最低血圧が85mmHg以上の場合が高血圧とされています。
2.血圧が高いと注意が必要な理由
高血圧は、喫煙とともに生活習慣病に大きく関与するリスク要因です。
血圧が高い状態が続くと、血管の壁は徐々に厚く硬くなります。
3.高血圧を予防するために心がけること8選
高血圧を認める人は一昔前よりも大幅に減少したものの、現在でも成人の2人に1人が高血圧に該当するとされ、奇しくも日本人にとっては身近な症状となっています。
ここからは、その高血圧への対策方法を解説します。
3-1.塩分を摂り過ぎない
日本人が高血圧になる最大の原因は、塩分の摂取過多です。
塩分を摂り過ぎてしまうと、体内での水分蓄積をまねき、血流量を増加させ血圧上昇につながります。そのため、なるべく塩分を控えることが大切です。
すでに高血圧の人に関しては一日の食塩量は6g未満にすることが推奨されています。減塩食はおいしくないイメージを持つ人も多いかもしれませんが、味付けを工夫したり、メニューにメリハリをつけたりすることで、減塩食でもおいしく食事ができるでしょう。
例えば、柑橘類や酢の酸味や香辛料などをうまく取り入れた味付けや、塩分が多くなりやすい外食や加工品、漬物はなるべく控え、麵類のスープは残す、などの工夫がおすすめです。
3-2.栄養バランスの良い食事を心がける
野菜や果物に多く含まれるカリウムという栄養素は利尿作用があるため、血圧を下げる働きがあるとされています。野菜を使ったメニューを摂ることを心がけ、果物は一日あたりバナナとオレンジを、それぞれ1個程度を目安に摂りましょう。
ただし、カリウムの摂りすぎに注意が必要な人もいます。そのため、医療機関に受診している人は必ず医師に確認してください。
3-3.適正体重を維持する
適正体重よりも重い体重の場合、心臓に負担がかかり血圧を上げる要因となります。できる限り適正体重を維持するようにしましょう。
肥満判定基準では、BMI(体重÷身長の2乗にて算出)が25以上の場合は肥満とされています。ただし、急激な減量が正しいとは限りません。まずは医師にどのくらいの期間での減量が望ましいのか相談してみましょう。
3-4.運動習慣を身に付ける
定期的な運動習慣によって、血圧を下げることが期待できます。速足のウォーキング・軽めのジョギング・水中運動などの中等度の有酸素運動を、できる限り毎日、定期的に30分以上行なうのが理想です。また1回10分以上であれば分けて運動し、合計30分以上としてもよいでしょう。
3-5.アルコールは節度ある適度な量にする
一日の適量は、男性の場合、純アルコール量で20~30mlまでとされています。日本酒なら1合、ビールなら中瓶1本程度です。また、女性はその半分を適量としています。週1日以上はお酒を飲まない「休肝日」を設け、適度な飲酒を心がけましょう。
3-6.禁煙する
喫煙の影響で血管が収縮し、一時的に血圧は上がりやすくなります。また血流も悪化させます。喫煙は「百害あって一利なし」のため、禁煙をしましょう。
3-7.温度差に気を付ける
急に寒いところへ行くと血管が収縮し、血圧が上がりやすくなります。寒い季節は急な温度差に気を付けましょう。温度差が起こりやすいトイレや入浴前後は特に注意が必要です。
3-8.ストレスをためないようにする
ストレスも血圧を上げる要因の一つと考えられています。ストレス解消法を見つけ、規則正しい生活と十分な休養で疲れを残さない工夫が大切です。
血圧が気になったらまずは生活習慣の改善を
高血圧は、成人の2人に1人が該当するとされる病態です。喫煙と併せて、生活習慣病のリスク要因となっているため、日頃からの予防が大切になります。
高血圧の予防で特に実践したいのは、日本人が高血圧を呈する最大の原因が過剰な塩分摂取だとされていることから、塩分を控えた食事を習慣にすることです。
その他、肥満の解消、節度ある適度な量の飲酒を順守、禁煙、定期的な運動なども高血圧対策には有効とされています。
これらすべてを一度に実践することは難しいかもしれません。そのため、まずはご自身で無理なくできそうなところから生活習慣を見直してみましょう。
監修者情報
氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。