脳を健康に保つには?健康維持に役立つ生活習慣5選を紹介

「最近、物忘れが多いなぁ」家族と会話をしていてこんな話題が出たり、自分自身が忘れっぽくなってきたりということは、年齢を重ねれば多くの人が経験するでしょう。これは何らかの要因で、脳の働きが悪くなってきている可能性があります。

では、脳の健康を維持するにはどうしたらいいのでしょうか。

今回は脳の健康維持に役立つ生活習慣についてお伝えします。

1.脳の健康を保つために必要なこととは?

脳の健康は、生活習慣病との関わりが深いとされています。

つまり、生活習慣病を予防するための食生活や運動へのアプローチは脳の健康につながる可能性があるということです。

また、海外では脳の働きを維持するために「運動」「頭を使うこと」「食事の見直し」「レジャー」が役立つと報告されています。

2.脳の健康維持に役立つ生活習慣

ここからは、脳の健康のために役立つといわれている生活習慣を5つ紹介します。

2-1.運動習慣を身につける

脳にある「海馬」は記憶を司る器官で、中高年になると1年間に1~2%ほど小さくなるとされています。しかし、速歩きの習慣を続けることで縮小が抑えられるとの報告があります。速歩きの方法としておすすめなのは「インターバル速歩」です。

インターバル速歩は、3分間のゆっくりとした歩行と、3分間の速歩きを交互に繰り返すウォーキングで、筋トレとしての効果も期待でき、生活習慣病の予防にも役立つでしょう。

2-2.食生活を改善する

日頃からいろいろな食品を食べている人は、そうでない人に比べて、脳の働きが低下しにくいという報告があります。いろいろな食品を食べる人は、必然的にあらゆる種類の栄養素を摂取する量も多くなるため、この栄養が脳の機能を維持することに役立っていると考えられているのです。

またいろいろな食品を食べるということは、買い物をする、メニューを考える、調理をするなど体を動かす機会も増えやすいため、このことも脳の機能維持に関係している可能性があります。

脳の機能維持のためには、野菜や魚の多い食事を積極的に摂りましょう。また、おかずの量が少ない日が続いていると思った人は、ぜひ旬の食材を使ったメニューを足してみてください。

また、脳の機能と関係があるとされている生活習慣病予防のためにも、過剰な糖質や食塩を摂りすぎないこと、飲酒は適量を維持することなども大切です。

2-3.レジャーなどリフレッシュする時間を設ける

レジャーで外出したり、気分転換をしたりする時間を意識的に取りましょう。

また、囲碁や将棋などは頭も使いますし、人と交流する楽しさも加わるためおすすめです。

2-4.社会活動に参加する

仕事のほかにスポーツや地域のボランティア、趣味などの社会活動へ参加することなど、目的意識を持つことが脳の働きを維持することに役立つといわれています。

2-5.意識して頭を使う

  • 頭を使うトレーニング

    ジグソーパズルやゲームなどは頭を使うため脳を活性化させます。
    また、新聞の社説を読み内容を理解しながら、同時に別の頭を使う作業をすることや、100から7を順番に引いていくような計算などの「ワーキングメモリー」と呼ばれるトレーニングも効果的です。

  • 体を使うトレーニング

    頭だけでなく、体を使うことでも脳のトレーニングにつながります。例えば、これらは体を使うワーキングメモリーのトレーニングの一種です。

    – 机の上に両手を置いて右手は開いた状態で前後にスリスリ動かし、左手は握った状態で上下にとんとんと動かし、5回やったら入れ替えるというのを繰り返す

    – 右手は鼻をつまみ、左手は右の耳をつまんで1拍数え、次に左手は鼻をつまみ、右手で左耳をつまむというのを交互に繰り返す

  • 周りの人を一日5回褒める

    会話をするときに、相手の良いところを探そうとすることで感情を司る前頭葉が活性化しやすいといわれています。相手を褒めることはより良い人間関係にもつながるでしょう。

脳の健康は体の健康とつながっている

物忘れは加齢によって起こるものですが、ときに体験したことそのものを忘れてしまったり、物忘れの自覚がなかったりする症状が現れることがあります。

脳の機能を維持するためには、食事の改善や運動習慣だけでなく、社会活動への積極的な参加や、レジャーなど心身のリフレッシュ、頭や体を使った脳のトレーニングなどが有効とされています。また、これらは生活習慣病の予防にもつながるため、積極的に取り入れることがおすすめです。

監修者情報

氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。