尿切れが悪い場合の原因とは?尿が出る仕組みについて解説

「水分摂取が多いわけではないのにトイレが近い」 「尿意がありトイレに行ってみたものの、尿が出にくい」 「尿の勢いが弱と感じる」

加齢にともない、排尿のお悩みを抱える方も多いのではないでしょうか。 周りに相談しにくいからといって放置していると、大きな病気のサインを見逃してしまうことも考えられます。 今回は、尿が出る仕組みや尿切れが悪くなる原因をご説明します。

1.尿が出る仕組み

実際に、尿はどのようにして作られ、排泄にいたっていのるかをご存知でしょうか。

1-1.尿は腎臓で作られる

人間の体で重要な働きをする臓器の一つとして腎臓があります。腎臓は背中の腰の上あたりに背骨を挟んで両サイドに一つずつ配置されています。

腎臓の働きで代表的なものは「尿の生成」です。尿の生成の仕組みは、まず腎臓の糸球体という部分で血液濾過することから始まり、1日約180ℓ程度の原尿が作られます。原尿には体にとって必要な栄養素も多く含まれているため、続く尿細管という部分でその約99%を再吸収し体に取り入れます。最終的に残った約1%が老廃物として「尿」となり排泄されています。

1-2.膀胱は尿の貯蔵タンク

腎臓でできた尿は膀胱で貯められます。150~250mL程度貯まると尿意を感じ、400~500mLを超えてくると膀胱圧による筋肉の収縮により排尿が促される仕組みです。

2.尿切れが悪いおもな原因

尿切れや尿の出が悪い・勢いが弱い・残尿感もあると感じている場合は、何らかの疾病が隠れていることも考えられます。 思い当たる場合は、迷わずにかかりつけ医へご相談することをおすすめします。

以下では、排尿のトラブルで考えられる4つの原因について詳しく説明しますので、確認してみてください。

2-1.前立腺肥大症

前立腺肥大症は前立腺の内部が肥大化する病気で、60歳以上の男性のうち、約60%が発症するといわれています。

排尿に関するトラブルとして、夜間頻尿、残尿感、尿の勢いが弱まる、突発的な尿意を我慢できない、力を入れないと排尿が難しいなどの症状が代表的です。

2-2.更年期障害

性別を問わず、40歳前後になると、性ホルモンの分泌量の減少により情緒不安定やさまざまな体調不良を感じるようになります。

更年期障害によって現れる症状は男女によっても違いますが、特に女性の場合は閉経後に膀胱炎や尿失禁などの症状が見られる方もいるでしょう。

2-3.医薬品によって引き起こされる場合もある

医薬品による副作用により、排尿障害を引き起こす場合もあります。

  • ・胃腸薬

  • ・下剤止め薬

  • ・抗うつ薬

  • ・過活動膀胱治療薬

上記の薬を服用中で、かつ、尿意があるにも拘らず排尿できなかったり、排尿中に尿が途切れたり、残尿感などの排尿障害がある場合は、主治医や薬剤師に相談することをおすすめします。

一人で抱え込まず医師に相談を

排尿トラブルに関する悩みは非常にデリケートであるため、気軽に周りに相談しづらく、一人で抱え込んでしまう人も少なくありません。排尿トラブルは更年期障害や前立腺肥大症以外にも、飲んでいる薬の副作用によるもの、何らかの疾患が原因となる場合があります。

一人で抱え込むことなく、早めに周りに相談することで、大きな病気の早期発見や改善策が見つかる可能性が高まります。取り返しのつかない病気を放置しないためにも、日頃から自身の体調と向き合い、いつもよりも違和感を覚えたら、医療機関への受診も検討するとよいでしょう。

監修者情報

氏名:梅村 将成(うめむら・まさなり) 外科医として地方中核病院に勤務中。 消化器外科のみならず総合診療医として、がん治療(手術・抗がん剤・緩和治療/看取り)を中心に、幅広く内科疾患・救急疾患の診療を行なっている。 資格:医師免許・外科専門医・腹部救急認定医