1.朝なんとなく調子が悪い…その原因とは?
朝の不調の原因は一つに限らず、さまざまな視点から確認する必要があります。
そのなかでも大きな関わりがある3つの原因に絞ってご説明します。
1-1.エネルギー不足
脳は寝ている間も動いているため、朝起きてすぐの脳はエネルギー不足状態です。
朝食を抜いてしまうと、脳や体全体のエネルギー供給が不十分となるため、体温も上がらずにさまざまな不定愁訴を感じやすくなります。
1-2.体内リズムと生活リズムのずれ
人間の体は、脳内にある「体内時計」によって睡眠や覚醒の一日のリズムが調整されています。夜更かしが続き、不規則な食事時間や欠食、在宅生活が長引くことで太陽を浴びていない日が続いている場合は「体内時計」が乱れてしまい、スッキリとした目覚めを体感しづらくなります。
1-3.自律神経失調症の可能性
自律神経の乱れによっても「食欲がない」「疲れがとれない」「眠れない」などの症状があらわれることがあります。これらはストレスとの関係性も大きく、忙しい日々が続いていたり、リフレッシュする時間をもうけていなかったりする場合はさまざまな不定愁訴としてあらわれる可能性があります。
2.朝の不調を避ける対策方法
不調を感じている場合、具体的な原因もわからないまま、何をしたら良いのか戸惑う方も多いのではないでしょうか。
ここからは、すぐにでも始められる対策方法についてご紹介します。
2-1.朝食をしっかり食べる
脳のエネルギー源となるブドウ糖の補給をするためにも、少しでも朝食を摂取する習慣をつけましょう。
特にごはんなどの主食にはブドウ糖が多く含まれているため、摂取することにより仕事の集中力が増します。主食・主菜・副菜がそろった定食のような朝食が望まれますが、用意できない場合は簡単なおにぎり、お茶漬けなどもおすすめです。食欲がわかない場合は、果物や野菜ジュースだけでも口にして朝食の摂取でしっかりと一日の始まりの活動スイッチを入れてあげましょう。
2-2.規則正しい生活をする
朝の目覚めを良くするためには、規則正しい生活習慣を身につけ、体内時計が狂わないようにしましょう。
就寝時間にバラつきがあると、いくらバランスの良い食事を摂っていたとしても、質の良い睡眠が期待できません。質の良い睡眠を得るには、一定の時間に起きて、しっかりと朝食を摂取して体内時計を整えましょう。運動習慣をつけることもおすすめです。
また、就寝前の入浴は、質の良い睡眠への効果が期待できます。
就寝前に体温を0.5度ほど上げると快眠につながるとされることから、就寝の2~3時間前を目安に、42度の熱めのお湯なら5分程度、38度のぬるめのお湯なら30分程度浸かりましょう。
2-3.ストレスをためないようにする
ストレスは自律神経を乱してさまざまな不定愁訴を引き起こす大きな原因となります。職場や家庭における不安、緊張、怒りなどの心理的・社会的要因から、睡眠不足などによる生理的要因も関わるため、思い当たる原因をなるべく排除しましょう。
運動や趣味などのリフレッシュ方法を見つけてストレスをためないようすることも大切です。
2-4.病気が疑われる場合は早めに医療機関を受診する
疲れが取れない、単なる体の不調だと思っても、実は心の不調が体に不調をおよぼしているケースがあります。また、心の不調に限らず、睡眠時無呼吸症候群など自分では気付きにくい疾患が体の不調をもたらしているケースも往々にしてあるため、長引く不調がある場合や生活に支障が出ている場合は、早めに医療機関に相談することがおすすめです。
不調の原因はさまざま
朝の不調が続く原因は、生活習慣の乱れから何らかの疾患の関与まで、さまざまです。
生活習慣の乱れについては、思い当たる節がある場合は、まずはそれらを改善することも始めてみてください。特に、朝食をとることは体にエネルギーをもたらし、また朝日をあびることで体内時計をリセットすれば、不調改善の大きな一歩となることでしょう。
ストレスを感じている場合は、リフレッシュする時間をもうけて自分を労わることを優先し、心身ともにリラックスできる環境作りが大切です。
心や体の不調は誰しも起こりうることです。1人で抱え込まずに、早めに周りの方や医師に相談しましょう。
監修者情報
氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。